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日本の学習指導要領では、2011年度から小学5・6年での外国語活動(おもに英語)の授業が必修化されたが、おとなり中国の小学校では1年生から英語の授業が採り入れられている。

今回取材した小学校は、中国広州市の華陽小学校。こちらは公立校だが、わざわざ同校の学区に転居して通わせる親もいるほど人気の名門小学校だという。ちなみに同校は一学年8クラスで各クラスが約40人を超える、日本では考えられない規模のマンモス校だ。

同校の授業時間割は、小学1年で週28コマの授業(日本では通常24コマ)、小学3年からは週30コマの授業(日本では通常28コマ)となっていた。そのうち小学1年では週3コマが「英語」で、そのうち1コマが「英語口語」、つまりオーラルコミュニケーションの授業だ。さらに英語の授業は小学3年からは週4コマ、小学4年からは週5コマとなり、もちろん英語専門の先生が指導にあたるという。
中国でも当然ながら「できる子」「できない子」がいるだろうから、授業の進め方の工夫についてきいてみた。「もちろん子どもたちによって学習能力の差はあります。そのため、クラスの班はできる子・できない子をバランスよく編成するようにしています。それぞれの班の中で、できる子ができない子の勉強を助けることによって、“友愛”の気持ちを育てることにもつながります。そのかわり宿題については、すべての子にノルマの課題と、能力別によって追加課題を与えています。」

そもそも各クラスが40人を超える大人数だと、先生からの一方的な指導だけでは子どもたちに目が行き届かないことも多くあるだろう。そういう意味では、友だち同士で問題解決にあたらせることは合理的だし、上から教え込むことで子どもたちの自尊心を傷つけないという側面もあるだろう。

授業時間数や学級定員など、日本もさまざまな試行錯誤をしながら現在の形になっていることはたしかだろうが、これからは国内の都合だけでなく、周辺諸国の教育事情を考慮することも大いに必要だろう。
深田洋介深田洋介
学研の編集者、AllAboutのWebエディターを経て、サイバーエージェントの新規事業コンテストでは子育て支援のネットサービスでグランプリを獲得、その後独立。現在は子育て・教育業界×出版・ネット媒体における深い知識と経験・人脈を駆使して活動中。2001年生まれの娘の父。