原発事故にともなう乳幼児や妊婦の被曝リスクについては、さまざまな情報が入り乱れている。今回、原子力の専門家でもジャーナリストでもなく、医療、しかも専門医の立場からの見解を求めて、このたび日本医療学会のご協力のもと、愛育病院院長の中林正雄先生と、東京慈恵会医科大学准教授で小児科医の浦島充佳先生による「乳幼児・妊婦の方の放射能問題を考える」Q&Aに回答いただいた内容を転載させていただくことができた。

外出をどうするか?(子供たちの外での遊びについて)

テレビ・新聞等で発表されている、あるいは文科省等のホームページで公表されている放射線モニタリングデータ(マイクロシーベルト)や気象条件(風向きや雨情報など)に気をつけましょう。

例えば東京近郊のデータで、1時間あたり、仮に0.1マイクロシーベルトとすると、それを外で8時間過ごせば、それを「×8」してあげればいいことになります。0.8マイクロシーベルトの被曝となりますが、それは、東京・ニューヨーク間(飛行機での移動)の被曝が200マイクロシーベルトなので、それに比べると1/200未満に過ぎません。
urashima比較の問題かと思いますが、もし心配な方がいらっしゃれば、そういデータを元に、今日何時間出たかな、どのくらいの被曝だったなと計算してみれば、日々、知らないうちに受けていた被曝量に対して多くない、ということに気付くと思います。そうであれば、身体中を洋服等で覆って外に出るというような心配はしなくて良くなります。

ただ、今までの傾向を見ると、福島原発から、例えば東京に住んでいる人にとっては、北東の風が吹いてくる時に、たまたま福島の原発で爆発があるとか、何か大きな出来事があると、それが風に乗って運ばれて比較的高濃度になります。そして更に、雨が降ったりすると、それが地表に押し付けられてしまいます。

このように悪い気象条件が重なると東京で多少高くなることもありえます。もし外に出るのが心配だという方がいらっしゃれば、一つはその日の風向き、例えば南風であったとすると、福島原発は東京の人にとっては逆方向から吹いてくるわけなので、安心して外に出られると思います。天気の情報、特に、雨が降らないか向こうから風が吹いてこないか、といった情報を気にしてみることも一つの方法ではないかと思います。

屋内にいる場合、換気扇等、どこまで外の空気との繋がりを断つのは?

コンクリート等で囲われている家の中に退避すると、外部被曝の量を数分の1までに下げることができます。1時間あたり2マイクロシーベルトとか5マイクロシーベルトとか、高い放射線が検出されるような時には、屋内にいたほうがいいかもしれません。

年間1人平均2400マイクロシーベルトの放射線を普段でも浴びていると言われており、それを単純に365で割ると1日6.6マイクロシーベルトとなります。例えば1時間当たり、2マイクロシーベルトの放射線が仮に検出されたとすると、普段我々が被曝している量の約7倍に上がってしまうことになります。

日本医療学会
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深田洋介深田洋介
学研の編集者、AllAboutのWebエディターを経て、サイバーエージェントの新規事業コンテストでは子育て支援のネットサービスでグランプリを獲得、その後独立。現在は子育て・教育業界×出版・ネット媒体における深い知識と経験・人脈を駆使して活動中。2001年生まれの娘の父。