setsuden夏休みもそろそろ後半戦、ご家庭でお子さんたちは節電に励んでいるだろうか? 夏休み前に、「節電学習テキスト」なる経済産業省 資源エネルギー庁発行による啓蒙パンフレットが配布された学校があるときく。ホームページでは、小学校低・中・高学年用と中学生用、それぞれのテキストと解説書、夏休み節電チャレンジシートがダウンロードできるようになっている。
パンフレットはそれぞれ全8ページ。小学校低学年用では、すぐにできる節電方法をもとにして「わが家の節電メニュー」を作ったり、中学年用ではもう少し具体的に家庭の消費電力割合や1日の消費電力グラフを紹介しながら同じく節電メニューを考えさせ、高学年用ではさらに電気メーターで電気の使用量がわかることを解説しつつ、「節電リーダー」になろう!と呼びかけていたりする内容だ。
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そして付録の「節電チャレンジシート」が、その節電メニューのチェックシートになっている。また付属の作文用紙に節電に取り組んだ感想を書いて送れば、「節電感謝状」を応募者全員にくれるそうである。
(ちなみに小学校中学年用作文用紙の文字数は140文字になっている。Twitterで節電ボットでも作るつもりだろうか?)
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だがこの教材、何かこう、腑に落ちないのだ。もちろん、限られた資源で無駄な電気消費をしないという点で、節電を習慣づけることについては否定しない。わが子に指摘されれば、ちょっと不精なお父さんでも、こまめに電気を消してくれるかもしれない。

ただ、節電もけっこうだが、さかんにテレビを通じてさまざまな原発問題が報じられている日々、子どもたちがそれを知らないわけがない。いまどんなことが問題になっているのか、未来のエネルギー問題はどうしたらいいのかに子どもたちの思考を向かわせることが、次世代を作る子どもたちに向けた教育の役割なのではと思う。

啓蒙パンフレット制作費と作文キャンペーン事務局費、おそらく相当のコストがかかっているだろう。もっと優先的にお金を使うべきところがあるだろうという言葉はグッとおさえつつ、そもそも今の子どもたちに、感想を作文にして送ればもれなく感謝状をもらえるだなんて、まさに子供騙しではなかろうか? いかにも前世代の広告代理店的手法での“節電キャンペーン”には、「あ。資源エネルギー庁、丸投げしてない?」とすら勘繰ってしまう。もうそんな時代錯誤なことを教育現場を通じて行うことはいかがなものか。

もし同じ啓蒙教育にお金をかけるなら、よっぽど太陽光電池や風力キットなどを配って、自然エネルギーの可能性について考えさせたほうがよいのではないか。もしかしたら、「太陽光やっぱダメだね、パワー弱すぎ」「風力って風ないとまったく使えねー」とか子どもたちに実感させたほうが、よっぽど今後の原発世論を変える可能性を秘めているかもしれないのだから。

節電アクション 【経済産業省】 家庭向け節電サイト


深田洋介深田洋介
学研の編集者、AllAboutのWebエディターを経て、サイバーエージェントの新規事業コンテストでは子育て支援のネットサービスでグランプリを獲得、その後独立。現在は子育て・教育業界×出版・ネット媒体における深い知識と経験・人脈を駆使して活動中。2001年生まれの娘の父。