image去る17日、子ども手当の見直しについて閣議決定がなされ、多方面で物議をかもしている。そこで見直しの内容について議論をする前に、そもそもこの制度の歴史について理解することから始めてみたい。

子ども手当の前身となる児童手当制度は、「児童を養育している者に手当を支給することを通じて、家庭生活の安定に寄与するとともに、次代の社会を担う児童の健全な育成及び資質の向上に資すること」を目的に、1972年に創設されたもの。その歴史を調べてみた。
  • 1972年 制度発足
    当初は支給対象が5歳未満の第3子以降、支給額は月額3,000円だったが、段階的に拡大し、1975年10月以降は支給対象が義務教育終了前の第3子以降、支給額は月額5,000円となる。

  • 1986年 制度改正
    支給対象は義務教育就学前の第2子以降、支給額は第2子が月額2,500円、第3子以降が5,000円となる。

  • 1992年 制度改正
    支給対象は3歳未満の第1子から、支給額は第1・2子が月額5,000円、第3子が月額10,000円となる。

  • 2004年 制度改正
    支給対象は小学校第3学年の修了前までに拡大。支給額は変更なし。

  • 2006年 制度改正
    支給対象は小学校第6学年の修了前までに拡大。支給額は変更なし。

  • 2007年 制度改正
    乳幼児加算にともない3歳未満の児童にかかる手当額について第1子から一律月額10,000円に変更。3歳以降の第1・2子の支給額は引き続き月額5,000円。

  • 2010年6月 従前制度廃止・子ども手当施行
    新たに「子ども手当」での支給が開始。支給対象は中学校修了前までに拡大。支給額は対象となる子ども1人につき月額13,000円に変更。

  • 2011年10月(予定)
    3歳未満/小学生の第3子以降の支給額が月額15,000円に、3歳から小学生の第1・2子/中学生の支給額が月額10,000円に変更。
    ただし、現在子ども手当が支給されている世帯も含め、対象者は全員、市区町村に受給申請が必要となる。

40年ほど前に始まった制度ということは、ちょうど現在の子育て世代の中心層が生まれた頃に創設された制度というわけだが、その後しばらくは第3子以降が支給対象だったので、実際に恩恵を受けた人は意外に少ないのではなかろうか。

いずれにしても、現状の「子どもがいるからもらえる」特権的な子ども手当であれば、支給額が変わったところで、非子育て世帯からは引き続き、不平等や不満の声があがるのだろう。ただ、それは子育て世帯だってそんなそしりを受けることは本意ではない。いっそのこと手当という形ではなく、産科医不足や小児救急の問題、保育施設や教育投資の充実など、子育て環境の基盤整備にその予算をまわしてくれ、と言いたいくらいである。

制度導入から40年近くたち、社会構成も経済環境も大きく変化したなか、そもそもの制度の目的である「次代の社会を担う児童の健全な育成及び資質の向上に資すること」に沿うならば、制度そのものを見直すことを為政者に要望したい。


深田洋介深田洋介
学研の編集者、AllAboutのWebエディターを経て、サイバーエージェントの新規事業コンテストでは子育て支援のネットサービスでグランプリを獲得、その後独立。現在は子育て・教育業界×出版・ネット媒体における深い知識と経験・人脈を駆使して活動中。2001年生まれの娘の父。