9月に新たに発足した野田内閣の厚生労働大臣に就任した小宮山洋子氏。たばこ1箱700円発言で注目を集めた格好になったが、もともとは「子ども手当」法案そのものを推進してきた生みの親である。そのほか「DV防止法」「児童虐待防止法」「児童買春・児童ポルノ禁止法」の法案にも関わっており、女性・家族問題の政策通としても知られている。

ただ、民主党が政権交代の目玉のひとつとして挙げていた「子ども手当」は、この10月から来年3月までの特別措置として、3歳未満/小学生の第3子以降の支給額が月額15,000円に、3歳から小学生の第1・2子/中学生の支給額が月額10,000円に変更となり、小宮山氏も自身のホームページで「子ども手当を月額2万6千円とした約束を変えることは、お詫びをします」と述べている。

そのほか小宮山氏は、約5万人近くいる待機児童問題解決策としてはもちろん、就学前の子どもに幼稚園と保育園の垣根なく質の良い教育・保育を提供する上でも期待できる「幼保一体化」の推進役でもあり、今後、大臣としてどのような子育て関連政策を推進してくれるのかが気になるところだ。
そこで小宮山氏の発言を同氏のホームページ、また民主党ホームページの内容から振り返ってみたのだが、「子ども手当」への疑問に対する下記の発言に注目してみた。
「子どものいない人にとって不公平ではないか?子どものいない家庭の方が高齢になったとき、社会保障の担い手などとして社会を支えるのは、子どものいる家庭の子どもです。社会が子どもを育てることは、未来への投資です。これまで高齢者の17分の1しか社会保障給付費のなかった子どもに投資します。子どもへの投資は3倍になって社会に戻ってくるといわれています。」
(2009年11月4日、民主党政権発足後、本人のホームページより)

「子どもへの投資は3倍になって社会に戻ってくる」の根拠はともかく、子育て関連政策について継続的に発信し、かつ一貫して積極的に取り組んできた人物が、児童福祉の要である厚労相になったことは素直に歓迎すべきことだと思う。

また小宮山氏は、日本が子どものために使っている予算がGDPの0.8%と、OECD(経済開発協力機構)諸国の中でも最も低い国であることを自覚している。ちなみに3年前の調査によると、日本は教育予算についてもOECD28ヵ国中で最低となるGDP比3.4%だったことが判明している。

たばこ700円発言で注目を集めるのもけっこうだが、小宮山大臣には今後、自身が推進する「子ども・子育て新システム」関連のトンデモ発言をどんどんぶち上げて物議をかもしていただくことで、子育て世代が直面する課題に世間の耳目を集め、世界に遅れをとりかねない子ども関連の財源確保に取り組んでくれることを期待したい。

小宮山洋子氏ホームページ


深田洋介深田洋介
学研の編集者、AllAboutのWebエディターを経て、サイバーエージェントの新規事業コンテストでは子育て支援のネットサービスでグランプリを獲得、その後独立。現在は子育て・教育業界×出版・ネット媒体における深い知識と経験・人脈を駆使して活動中。2001年生まれの娘の父。