先日、筆者は長女の通う小学校に行き、半日ほどPTA活動に勤しんできた。それは文化の日に行われる文化祭のメインイベントである「バザー」を目した、商品値段つけ+仕分けという地味作業だ。

「は、小学校で文化祭?ナニそれ?」と引っかかる方もおられることだろう。筆者も長子の就学でおよそ30年ぶりに小学校という場所に足を踏み入れて後、ここ数年のさまざまな社会的背景及び要請により、公立小学校という場所が、昔よりはるかに「地域に根ざして」的スタンスを強化していることを知った。

子の学校の文化祭でも「地域に開いて」授業風景を大々的に公開する。この日以外は安全管理のため警備員常駐かつ校門施錠がデフォであることを考えると、かなり思い切った気合と緊張に満ちたイベントであることが伺えるだろう。
とはいえ多くの「地域の人」にとっては、見知らぬ子どもの授業を参観しても別に面白くも何ともないはず。地域の人に専ら喜ばれ、足を運ばれているのは何と言ってもバザーだ。

●価格破壊が当たり前の小学校バザー

このバザー、PTA主催で売り上げは学習環境向上設備購入のため、数年分プールしてからドカンとつかわれているのだが、まったくもって儲けてやろうという気がない。それは、先日値づけ作業に参加しても分かった。

基本的に商品は学童らの家庭から手作り品のほか、不用品を募る形で集められたものである。しかし不用品とはいえゴミが集まっても仕方がないので、代々厳しい基準が設けられ遵守されている。

例えば、衣料品であれば古着は一切不可。タオルシーツ石けんは新品のみ。食器や文房具も未使用品のみ。絵本は美麗なもののみ。だから集まるものの質は結構高い。

だが売れ残っても翌年まで商品を保管しておくスペースが無いことから、基本「売り切る」ことが当日は主眼とされる。混乱を避け半額とかにはしない。ゆえに、はなから値付けが凄い。

このたびも、どこかの家に長年死蔵されていたと思しき、いかにもヤバそうな古伊万里の食器が「使用品っぽいから」という理由でなんと10円に値づけされていた。たぶんその道のプロが見たら怒ると思う。
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※写真はイメージであり、本文とは関係ありません。

さて本題である。今日はここで高らかに、おもに小学校にはまだ遠い年齢(0・1・2歳といった子)が長子であるママ&パパに宛て、筆者は告げたい。

ぜひこれからの秋の2ヵ月ほどは、アンテナを張って住まいの地域の幼稚園や小学校などが主催している「文化祭、ナントカ祭り、○○フェスタ」に足を運んでみよう! そうすることで分かることが、払拭される不安が、得られるものが、ものすごーくたくさんあるから! と。

●地域社会との距離感を測れる大きなチャンス

なぜか? 筆者の身に覚えによると、長子の年齢がいわゆる幼稚園以前である頃がもっとも世の中の子どもをめぐる問題に対して疑心暗鬼だった。公園ママ友問題は聞くだに恐ろしく、子育てナントカセンターで行き会う親子連れとは微妙に距離があり、町や公園で見かける「我が子よりも大きい子どもたち」の素行はすべて野蛮に感じられ、早期教育やしつけが気になりまくり、保育園児は病原菌の塊のように見え、ゆえに家の中に引きこもりがちであった。

反面、電車内でDSに熱中する小学生を見ると「最近の子は……」なんて意味なく眉をしかめてみたり、「ああいう子の親ってどうなの?」と意味なく上から目線で断じたりしていた。まあ、要は不安だったのだ。「今の子ども界よく分かんない」っていう。

だからとりあえず、リアルな状態を見てみるに限る。まず地域の幼稚園や小学校の子どもたち、またその親たちを見れば、だいたいその地域が、その幼稚園や小学校がどのような「色」であるのかが分かるだろう。「そんなの普段から多少は目に入っている」という人もいるかもしれないが、ある程度の量をまとめて目にするそれとこれでは情報量が違う。
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※写真はイメージであり、本文とは関係ありません。

子らの態度、建物の雰囲気、汚れ具合、親たちの服装や言葉遣い、立ち居振る舞いは大きなヒントだ。その様子によっては、どうしたって「自分たちには合わない」と感じることだってある。子が小さく、住まいが賃貸であれば、遠からず転居を視野に入れることも必要になるかもしれない。あるいは私学への進学を検討する理由にもなるだろう。

逆に「思ったよりシックリ来る」こともある。「買ってよかったこのマンション」などと胸をなでおろすことができればラッキーだ。企業の社宅や官舎に住んだことのある人なら分かるだろうが、住まい周辺の同質性が高いということは、閉塞感も大きい反面、ある種のバリアーになる。そのバリアーが子育てに与える安心感というものは、なかなか捨て難い。

●掘り出し物による実益も見逃せない

もちろん客寄せパンダのバザーで、目先のお買い得品をゲットするだけでもいいだろう。実は末子が小学生ぐらいになった家から死蔵していた子ども用品がどかんと出品されることがある。新品同様のブランド物ベビー服やお出かけ靴、負ぶい紐や三輪車、ローラースケートや一輪車などが、例によってやけくそ価格(20円とか)で売られたりする。これはいかに安い中古ショップにも及ばない魅力であるはずだ。ミッション系の幼稚園などでは異様に美味い手作り菓子がバザーでは並べられることも多く、ちょっと見逃せない。

また、「小学校にはまだ遠い年齢(0・1・2歳といった子)が長子であるママ&パパ」ではない、その他すべてのクラスタの人にも、できればこういった地域の学校公開系イベントには足を運んでみて欲しい。「子どももいないしお呼びでない」などと忌避することはない。その土地に住んでいるあなたは「地域の人」なのだ。歓迎される。(もちろん盗撮その他犯罪行動に走ってはだめ……。)

実のところ、「バザー」その他は口実に過ぎなくて、小さな子を持つ親も、そうでない人も、できる限り「地域に地下茎を伸ばしてはどうか?」というのが今日の主題だったりする。
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※写真はイメージであり、本文とは関係ありません。

おそらく次にまた「大震災」と呼ばれる災害が生じたとき、私たちは多かれ少なかれ「地域の」こういった公立学校をハブにした支援を受けることになる。自分に降りかかる被害が大きいほど、無関係ではいられないだろう。職場と家との往復運動のみで「近所の小学校っていうか避難場所とか給水ポイントってどこ?」と未だに把握していない人もいるだろうが、「もしもの時」困るのですぐに検索しておくといい。

●地域に根ざすかどうかの判断基準となる機会

子どもが地域の公立小学校に通い始めて、筆者が物凄く強力に実感したのは「初めて地域に根が生えた!」感であった。それは同じ家に住んで7年目のことだったが、それまでは近所の幼稚園にこそ子を通わせていたものの根が生えた感は皆無で、どことなくふわっとした感じだった。それが一転した。

地方出身者である筆者は、実家を出た時点で「根無し草」たる自分を肯定してきていた。根が無いことは悪ではなく、むしろ身軽さの証左だった。でもその軽さは、子どもを育てる上では単なる「不安定さ」だったのだなあと根を張ってみて理解した。

「しがらみ」を嫌う性向のある人にはなかなか首肯しがたいと思うけど、「しがらみ」は「柵」と書く。柵もまた身を護るバリアーになるのだ。


藤原千秋藤原千秋
大手住宅メーカー営業職を経て2001年よりAllAboutガイド。おもに住宅、家事まわりを専門とするライター・アドバイザー。著・監修書に『「ゆる家事」のすすめ いつもの家事がどんどんラクになる!』(高橋書店)『二世帯住宅の考え方・作り方・暮らし方』(学研)等。8歳4歳0歳三女の母。