歩き始めの子供を連れて外出。「バスと地下鉄どっちにしようか。今日はバスにしよっか。」と、バスに乗り発車10秒後、急に「○○センニノリタカッタ~○○センニノル~」と激しく泣き出す子供。これ以上車内で騒がれてはかなわない。あきらめてひとつ目の停留所で下車。地下鉄の駅まで歩いて逆戻りしたら疲れてまた大泣き。はぁ、いったいいつ目的地にたどりつけるのか……。

子連れ移動の救世主


さぁ、そんな私(あなた?)に救世主。電動子供乗せ自転車! あぁ、ドアtoドアで移動できるってなんて楽なのだろう。近いのに細かく電車やバスを乗り継ぐくらいなら、自転車で行ってしまおう。ぐずって大泣きしても、屋外だからまぁそのまま泣いていなさい。眠ければそのまま寝ちゃってもいいんだよ、ほらこの前椅子にはリクライニング機能まである。いつしか7kmくらいの長距離もがんばれるようになった。いや、正確にいえば頑張っているのは私じゃなくて「電動」自転車の方なんだけれど。

子供乗せ自転車って?


2009年に「幼児2人同乗用自転車に求められる要件」ができ、適合車に限り2人子供を乗せて運転してよいことになった。この基準に合わせて適合車が発売されてからは、その独特の形をした自転車に乗る人が一気に増えた。頑丈で安定感があり、子供の椅子は安全に配慮されている。電動を選べば坂道も怖くない。
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便利で安心だけれども…とにかく重い!


安全・安心に設計されたとっても便利な電動子供乗せ自転車なのだけれど、忘れてはいけない大きな特徴がある。それはその重さ。

レールにはめるタイプの駐輪場で高い位置しか空いていなかった時、どうにも押し上げることができずに近くの人に助けてもらわなければならなかった。跳ね上げ式の駐輪場なんておそらく不可能だ。

一旦姿勢を崩すと、体勢を立て直すのもひと苦労。バランスを崩して重さを支えきれずに植栽に寄りかかってしのいだこともある。うっかり途中で充電切れを起こした時は、重いペダルに上り坂で泣きたい気分だった。

以前は「軽い自転車+軽い補助椅子+子供」で転倒事故が多く2人乗せは禁止になりかけたのだけれど、その対策をして適合基準を設定した結果、「重い自転車+重い補助椅子+子供」となったわけだ。

もはやスクーター級の総重量


一般的なメーカーの電動子供乗せ自転車の重さは、カタログによると、32.9kg。同一タイプの電動でないものでも27kg。普通のシティサイクルタイプの自転車で軽いものは、例えば26サイズギア無しで16.4kg。倍近い重さだ。

本体重量32.9kgの自転車前椅子に15kgの子供が座っていたら47.9kg。後ろ椅子に座っていたら、後ろ椅子自体の重さ約5kgが加算されて52.9kg。子供が2人、例えば前に12kg、後ろに18kg座っていたら総重量は67.9kgだ。軽量をうたっているスクーターの重さを調べたら68kgとあった。つまり、子供2人乗せたらもうスクーター級。

こうなると、これはもはや自転車と呼んでよいのか、という気すらしてくる。

走る凶器と言われないために


自転車対人の重大事故が報道されている。自転車が歩行者にぶつかって死亡させてしまうことがあるのだ。この重たい自転車で人にぶつかった時のパワーを想像しなければいけない。

自転車は原則、車道の左側を走る事になっている。しかし、交通量の多い狭い車道や、片側2車線の幅広でも駐停車の車で埋まっていたりすると、怖くて車道に出ずに歩道を走ることが多いのが現実だ。

歩行者に注意、スピードを出しすぎない、一時停止、信号を守る、接触する危険があるならベルを鳴らしてお礼の声をかける。とにかく出来る限り自転車のマナーを守るしか無い。

駐輪中の無人の自転車も要注意。子供がすぐ脇で遊んだり、触ったりしている時になにかの拍子で自転車が倒れたら、32.9kgの金属のかたまりの下敷きになるわけだ。

周りの人の安全、子供と自分の安全を守るには、自分が運転しているのは、自転車のイメージからかけ離れた重さの「ちょっと別の乗物」であると自覚する事が第一歩。想像力を働かせなければ。

子供との快適な移動時間を楽しむ為にも、自転車は欠かせない。慌てず、緊張感を持って今日も出かけよう!


狩野さやか狩野さやか
ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。