3月6日にYahoo!ニュースで配信された記事が物議をかもしている。そのニュースのタイトルは、「主婦の“ムダ”時間は1日9時間、会社員は…」というもの(※ソースは産経新聞)。

記事は、住宅・不動産関連企業であるハイアス・アンド・カンパニー株式会社が実施した「“ムダ”に関する意識調査」の結果についてのものである。
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記事では、

(略)主婦は稼働時間の半分以上が、家事、就業、育児、介護などの“仕事”以外の時間であることがわかった。一方で会社員を対象の調査では、1日あたりのムダは36分だった。

調査は、ネットユーザーの男女1477名を対象に実施。会社勤めをしていない主婦に、「平均稼働時間」と「1日の稼働時間内のスケジュール」をたずねたところ、平均稼働時間である16.8時間の半分以上の9.01時間が仕事以外に費やされていることが判明した。なお、1日で最も長い時間を費やしているのは「テレビを見る」の3.06時間で、次いでパソコン使用(ネットサーフィンなど)が2.89時間、3番手に育児の2.44時間という結果になった。(以下略)

と紹介されている。
この記事に関してTwitterや掲示板では、

    ・「育児」を「ムダ時間」と算定明記しちゃうこの記事怖い

    ・勤務時間は0だろうけど“主婦としての仕事”をしている時間は結構あると思う

    ・単純比較はいささか暴力的では?作為的な意図すら感じる

    ・主婦の平均稼働時間を16時間として会社員の平均稼働時間は書いてない。もし8時間だとしたらムダ時間とやらは大して変わらないのでは?

    ・これって子供いない人の話?子供3人いるととても9時間とか無駄な時間作るのは無理

    ・主婦は土日祭日盆正月定年ありませんけど?


といった憤りのコメントや、調査意図の理解に苦しむ内容であふれている。
しかし実のところ、この記事のもとになったオリジナルのプレスリリースを確認したところ、「便宜上、家事・就業・育児・介護を主婦の“仕事”と表現」と明示している一節がある。つまり、家事・育児は“仕事”に該当するため、リリースをもとにした記事もミスリードをしていることがうかがえる。

最近はネット経由でリサーチが簡単に取り組めるようになり、さまざまなテーマでの調査結果報告があふれている。なかには新商品PRに落とし込むための意図的な世論形成も散見し、目に余ることすらある。調査意図や背景、対象母集団など、表面的な数値結果だけでなく、調査の後ろに隠れた本質についても、一呼吸おいて思いを巡らすことが求められよう。

プレスリリース「就業中の“ムダ”時間一日あたり36分! ~“ムダ”に関する意識調査~」(PR TIMESより)