今月18日に発表された米TIME誌恒例の「世界でもっとも影響力のある100人」。残念ながら日本人は一人もいなかったが、オバマ大統領や、英キャサリン妃、Appleのティム・クックCEOらと並んで、Facebookのシェリル・サンドバーグCOO(最高運営責任者)が選ばれた。2児の母でもあり、現代アメリカを代表するスーパーワーキングマザーであるサンドバーグ氏とは、どんな人物?

ハーバード大学を主席で卒業後、マッキンゼー&カンパニー、クリントン政権下の財務長官主席補佐官、グーグルの副社長を歴任後、2008年にFacebookのナンバー2に就任。昨年には同社創業者のマーク・ザッカーバーグCEOより高い3千万ドル(約25億3千万円)もの報酬を受け取ったことが話題になり、 米フォーブス誌の「世界でもっともパワフルな女性」第5位にも選ばれた。アメリカ国内では史上初の女性大統領と期待する声も高い、スーパーキャリアウーマンなのだ。
同時に2児の母親としての顔も持つ彼女。自らの影響力の高さを自覚してか、インタビューや講演などで、働く女性の地位・権利向上や、仕事と家庭の両立について積極的に発言している。

例えば、今月上旬に発表されたMakersのビデオインタビューでは、「2005年に第一子を出産してから今までずっと、毎日午後5時半に退社して6時には子どもたちと食卓を囲んでいる」と発言。持ち帰った仕事を深夜まで自宅で続けることもあると付け加えていたが、この発言は多くのメディアが取り上げ、職場で肩身の狭い思いをしてきた時短勤務のワーキングマザーたちから喝采を浴びた。

今月17日には、自身のFacebookウォールに、「今日は賃金均等日です。なぜなら、男性が昨年一年間に稼いだ金額と同じ金額を女性が稼ぐためには、今年の4月17日まで余分に働く必要があるからです。これは女性にとって、年単位ではなく、一生涯にわたって大きな影響を及ぼす事実なのです」と投稿。アメリカにも依然として存在する男女の賃金格差について、問題提起を行った。

他にも、「育児と仕事の両立についてあまり考えすぎると、何かに挑戦したり新しいプロジェクトに取り組もうとする意欲が失せてしまい、子どもと過ごす時間を削ってまで職場復帰したいと思えなくなってしまう。子どもを家に置いてでも働きに出たいなら、常に仕事に積極的に取り組みなさい」など、サンドバーグ語録は悩める働く母たちにとって、示唆に富むものばかり。

彼女のようなスーパーエリートの話は関係ないなんて思うなかれ。仕事と育児の両立を「男性の2倍の家事をこなし、3倍の育児をして、まるで仕事をいくつも掛け持ちしているようなもの」と例える彼女のインタビューや講演からは、職場と家庭の両方で肩身の狭さを感じながらも両立の方法を模索する、等身大の現代ワーキングマザーの姿が浮かび上がる。

働く母の悩みは万国共通。サンドバーグ氏にはさらに影響力を発揮して、女性(に限らず男性も)が仕事と家庭を両立しやすい世の中にしてもらいたいものだ。

恩田 和(Nagomi Onda)恩田 和(Nagomi Onda)
全国紙記者、アメリカ大学院留学、鉄道会社広報を経て、2010年に長女を出産。国内外の出産、育児、教育分野の取材を主に手掛ける。2012年5月、南アフリカのヨハネスブルグに移住予定。アフリカで子育て、取材活動を満喫します!