悲劇はあの冬の寒い日、風邪で熱を出し、でもやることが山積みで、見かねた夫が公園に子どもを連れ出してくれたときに起きた。

「おかえり、ありがとう~。」ぼけっとする頭のまま玄関に出迎えて、「ん?なんかくさいよ。あれ?うんちした?」真っ先に疑ったのは子どものおむつの中身。いやいやすっきりしている、そうじゃない。ん?でもなんかくさいよね。あああああこれだ!!! くつだくつ、がっちり踏んできてる!

201204-A-kano


あぁだっこして帰って来たの?ってことは、あぁっ!あなたのコートのほれその足がぶつかってたあたりもちょっとあやしい臭いが! え?しゃがんでた?…って事はあぁ子どもの上着のすそにもちょこっと! もしや、ほら、このボールにも! あああああぁ。ぬいでぬいで全部脱いで今ここでそーっとどこもさわらずに!!!
ボールはもう捨てる! しかし、子どもの靴(よりによってきれいなお下がりをもらったばかり)、子どもの上着、夫のコート、どうにかならないものか。上着とコートは徹底的に部分洗いした後、仕上げに洗濯機で丸洗い。

元凶の靴はトイレで現物を洗い流して、その後お風呂場で臭いを消すべく各種洗剤で洗い続け、これでだめなら捨てようと、最終的には塩素系漂白剤に漬け込んだ。力強い臭いとの戦いに、風邪の頭もさえわたる。助けてもらったはずが、仕事が増えただけの結果に出るのはため息ばかり。

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その後しばらく、子どもと散歩していても、足元ばかりみてしまう。飼い犬を散歩している人とすれ違っても、犬がかわいく見えない。あぁ、すまん、君に罪は無いんだが、今日はどうしても受け入れられない。歩くのが楽しくてしょうがなくなった子どもと公園に行っても、子どもが進む先の地面ばかり見てしまう。茂みに入ろうとすると、あぁ!ちょっと、駄目とはいいたくないんだが、今日は怖くて見ていられない…。

それぐらい、なんだかすごい臭いだったのである。


その後、そういう話題になると、うちもあったよ~と、被害を受けた経験のある人がけっこういることが判明。気をつけて歩いてみると、いかにもありそうな木や電信柱の根元だけでなく、きれいな歩道でも時にはど真ん中に平然と落ちていたり、かなり危険な状況であることに気付いた。

よりによって、歩き始めの男児の大好きなものといえば「石」。路傍の石に吸い寄せられ気に入った石を宝物のようにコレクションするのである。あぁそうだね、似てるよね。…恐怖である。

ごく一部のマナーの悪い飼い主のせいなのは明らかだけれど、ダメな飼い主が地上からいなくなるまで、子どもと散歩には出かけないってわけにはいかないし、公園で遊ばないっていうわけにもいかないのだ。ここは自衛策。

(1)危険な場所を覚える
明らかに飼い犬の落としものの場合、一度あった場所の比較的近くでまた発見することが多い。散歩ルートを想定し、この辺は要注意と親が覚えておく。

(2)子どもには「さがそう!」と言う
これは、何かで読んだ保育士の人の話。散歩の時に「踏まないようにね」と言うよりも「今日は探して歩こう!」と言う方が効果的、というもの。なるほど確かに回避を促すよりも能動的に取り組んだ方がはるかに危険は少ない。散歩のテーマがさわやかでないことを除けばゲームみたいで子どもは楽しい。

よしよし、これで私がついていれば大丈夫だろう。そもそも男性は子どもと一緒の時に細かいところを見ていなさすぎなのだ、と一般論を振りかざし責任の所在をやんわりと夫に求めて納得し、嫌な記憶も薄れたある日、玄関がなんだかくさい。

えぇ!まさかまたぁ?と子どもの靴の裏、夫の靴の裏、順にあわててチェックした。しかし怪しい物はついていない。まぁ、一応、と思って自分の靴を裏返してみたら、あぁ!これはまぎれもなく!!


……ウンの良さは、誰にでも、公平に、等しい確率で用意されている。ご注意あれ。


狩野さやか狩野さやか
ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。