夏のボーナスに沸き立つ6月。その一方で、今月の給与明細書を見て、「お給料の額は先月と変わらないのに、手取りは減った気がする……」と、首を傾げている人をちらほらお見かけする。明細書の内訳をよくよく見ると、住民税がアップしている模様。なぜか。今回は、その理由を探ってみる。

※住民税には、所得割と均等割があります。以降、住民税については、「所得割」について解説します。また、給与所得者であるサラリーマンや公務員等を前提に解説します。

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【理由1】住民税は前年の所得に対して課税され、毎年6月から金額が変わる


まず、アップの理由は、住民税の課税方法と納税のタイミングによるものかもしれない。ママの中に、過去に「出産のため昨年退職、今は無職。なのに、今ごろ住民税の納付書が届いてびっくり!」という経験をお持ちの方はいないだろうか。それと同じロジックだ。

所得税の場合、その年の(お給料などの)所得に対して課税される。毎月のお給料から源泉徴収されているのは、その年1年間(1月1日から12月31日)に課税されるであろう所得税額を、勤務先が「毎月の源泉徴収税額」として算出した金額である。そして、1年の最後に年末調整を行って正式な税額を出し、過不足があれば精算する(確定申告により精算しても良い)。

一方、住民税は、前年の所得をもとに課税される。そして、その税額は6月から翌年5月の12回に分けて源泉徴収される。所得の変化が住民税に反映されるまでにタイムラグがあるということだ。

つまり、平成24年6月から源泉徴収される住民税は、平成23年1月1日から12月31日の所得をもとに算出されたものだから、「平成23年のお給料が平成22年よりもアップした」人は、今年6月からの住民税額が増えている可能性が高いのだ。

【理由2】18歳までの子どもがいる家庭は、今年は扶養控除見直しの影響が大!


平成22年度の税制改正により、扶養控除が一部見直された。所得税や住民税を計算する時に、16歳未満の子等がいる場合に受けられる「年少扶養控除の廃止」や、16歳から18歳までの子等がいる場合に受けられる「特定扶養控除の縮小」などである。

本来これらの控除により課税される所得金額が減り、所得税や住民税が少なく済むのだが、控除の廃止・縮小によって、税額は増えることとなった。

この見直しは、所得税については、既に昨年(平成23年)分から適用が開始されており、住民税については平成24年度分から適用される。したがって、これまでこれらの控除を受けていた人は、お給料等が前々年と前年とで変わらない場合でも、この6月からの住民税がアップするのだ。

【扶養控除額の比較‐住民税‐】
■子ども等の年齢:16歳未満
変更前:33万円(38万円)
変更後:0円(0円)

■子ども等の年齢:16歳~18歳
変更前:45万円(63万円)
変更後:33万円(38万円)
※()内は所得税の場合。19歳以降の扶養控除額については、変更がないため省略。

扶養控除の見直しで、住民税はいくら増えたのだろう。住民税の税率は、一律10%だ。と言うことは、単純に計算すると、16歳未満の子どもがひとりの場合、年少扶養控除の廃止により年間3.3万円(=33万円×10%、月額では2,750円)の住民税アップ、2人の場合6.6万円(月額5,500円)のアップということになる(※)。

なお、所得税の税率は、税率が一律10%の住民税とは異なり、課税所得の額に応じて5%から40%の6段階に区分されている。所得税の税率が5%の人は、所得税よりも住民税の方が扶養控除額の見直しによる影響が大きくなる。

※実際には、他の所得控除や、住宅ローン減税が受けられる場合には、上記の額ほど住民税がアップしない場合もあります。

▼年少扶養控除の廃止で、認可保育園の保険料もアップしちゃうの?
前年の所得税等と連動する形で決められる認可保育園の保育料も、年少扶養控除の廃止によりアップしてしまうのだろうか。平成24年度以降の認可保育園の保育料については、年少扶養控除があるものとした税額を推計し、この推計額に応じて決定されている。したがって、年少扶養控除の廃止の影響で、保育料がアップすることはない。ご安心を。


子ども手当と合わせたら……、結局実質的な手取りって増えたの?減ったの?


年少扶養控除の廃止は、民主党政権による子ども手当(現在の児童手当)の創設と合わせて行われたものだ。しかし、現在の手当の額は、当初民主党がマニフェストに掲げていた額よりも減っている。そうした状況で、「子ども手当」と「年少扶養控除の廃止」の両者を合わせた場合、実質的な家計の手取りは増えたのか、減ったのか?

以下の表は、夫婦と子ども一人のモデル世帯における、子ども手当と年少扶養控除の廃止、両者を考慮した実質的な家計の手取り額を、従来(子ども手当創設前)の児童手当の時と比べたものである。この試算によれば、年収300万円のケース等では、実質的な手取り額は従来の児童手当時代よりも増えるが、年収500万円以上で子どもが小学生以下等のケースでは減る結果となっている。

【従来の児童手当時との実質手取り額比較(夫婦・子ども1人、月額)平成24年6月~】
■子ども等の年齢:3歳未満
年収300万円:667円
年収500万円:▲375円
年収800万円:▲4,083円

■子ども等の年齢:3歳から小学生
年収300万円:667円
年収500万円:▲375円
年収800万円:▲4,083円

■子ども等の年齢:中学生
年収300万円:5,667円
年収500万円:4,625円
年収800万円:917円
※厚生労働省試算。夫は給与所得者、妻は専業主婦。

「児童手当(旧子ども手当)は全額、子どもの将来のために貯めている」、という家庭も多いだろう。その場合、実質的な手取りの増減に関わらず、目先に使えるお金は減ることになるから、住民税のアップを機に家計支出の点検が必要になるかもしれない。

その際、食費などの生活費に関する点検だけではなく、生命保険、火災保険、自動車保険等の保険関連(保障等の見直しの検討)や、住宅ローン(借り換え等の検討)の点検もしてみよう。うまく見直しができれば、日々の生活レベルに影響を与えない形での改善が可能となる。

(監修:税理士 吉田満義)

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