イギリスの雑誌「エコノミスト」の調査機関がこのほど、幼児教育の世界ランキングを発表した。フィンランド、スウェーデン、ノルウェーの北欧諸国がトップ3を独占、英国、ベルギー、デンマーク、フランスと続き、トップ10のほとんどを欧州勢が占める中、韓国がアジア勢唯一10位にランクイン。日本は、調査対象45ヵ国中21位。アメリカは24位だった。


(ランキングの詳細: http://www.managementthinking.eiu.com/sites/default/files/downloads/Starting%20Well_6271230.pdf  P.13を参照)
3歳以上の幼児が通う幼児教育の場(日本の幼稚園に相当)を、「プログラムの質」、「コスト」、「利用しやすさ」の項目別にランク付けしたこの調査、日本は、プログラムの質は評価され、この項目では13位だったものの、幼稚園が義務教育化されていないことから、利用しやすさの項目では30位。

コスト面では、幼児教育が完全に無料の北欧諸国や、所得に応じて政府が学費を全額負担する国に比べると日本は高いとされ、24位。結果として、総合で21位だった。

5歳から義務教育の韓国は、この点も評価され、堂々の総合トップ10入りを果たした。

総合トップのフィンランドでは、政府が小学校入学前のすべての子どもに、無料の幼児教育とデイケアを提供している。さらに教師1人あたりの幼児数も平均11人と他国に比べて低いことがプログラムの質を高めているとして、高評価につながった。

調査ではまた、幼児教育の質には「教師の社会的ポジション」が密接に関係していると指摘。例えば、フィンランドでは、幼稚園の教諭はすべて大学レベルの教育学の学位を取得していて、弁護士などと同様に尊敬される職業だそうだ。幼稚園教諭の給与も、全世界でトップ。逆に、日本では、公立と私立で給与水準に格差があることが指摘され、改善が望まれる。

総合28位のオーストラリアは現在、教育改革の真っただ中で、将来的に大きくランクを伸ばす可能性が期待されている。ひるがえって、幼保一元化をめぐる政策で迷走する日本の幼児教育の現状を考えると、日本のランクが伸びる可能性は低いかもしれない。


恩田 和(Nagomi Onda)恩田 和(Nagomi Onda)
全国紙記者、アメリカ大学院留学、鉄道会社広報を経て、2010年に長女を出産。国内外の出産、育児、教育分野の取材を主に手掛ける。2012年5月より南アフリカのヨハネスブルグに在住。アフリカで子育て、取材活動を満喫します!