アメリカでこの夏に出版された新しい育児書『It’s OK NOT to Share… and Other Renegade Rules for Raising Competent and Compassionate Kids』(=独り占めしたっていいんだよ―優秀で思いやりある子どもを育てる目からうろこの法則)が、話題を集めている。


当サイトでも既報の通り、アメリカでは昨年来、中国式スパルタ育児書『Tiger Mother』(=タイガーママ)や、フランス流育児書『Bringing Up Bebe 』(=赤ちゃんを育てる)がベストセラーになるなど、大人側の視点から“より良い子ども”を育てるための育児書がもてはやされてきた。
これに一石を投じたのが、冒頭の“反逆的育児書”の著者Heather Shumaker。幼い2人の息子の母親であり、ジャーナリストとして育児雑誌やテレビ、ラジオで活躍する著者が、主に2歳から6歳の子どもを持つ親に向けて書いたこの新刊、本人の公式ウェブサイト(http://www.heathershumaker.com/)によると、幼い子どもが殴り合ったりののしり合ったり、おもちゃを独り占めしたりすることを推奨する唯一の育児書なのだとか。

「おもちゃはみんなで仲良く分け合いましょう」「順番ね」
「気に入らないことがあったからといって、泣きわめいてはいけません」
「お友だちを殴ったり蹴ったりするなんてもってのほか」

日本でも当たり前のように家庭や幼稚園などで子どもに教え諭してきたこうしたしつけを、発達心理学や幼児教育学のリサーチ結果をもとに、著者は真っ向から否定。幼児期に殴り合いのケンカをすることは社会的、感情的発達に必要なプロセスで、こうした衝突を体験することが将来のいじめ問題や暴力行為の予防にもつながるとのこと。

このほかにも、すぐに子どもに「ごめんなさい」と言わせることは、自分の言動に責任を持つことや自分で問題を解決する機会を奪うので、ダメ。5歳以下の幼児に本を読むことを教えるよりも自由に遊ばせた方が後々の成績が伸びるなど、目からうろこの29の法則が書かれている。

幼児期に暴力的な遊びを推奨することに賛否はあるだろうが、「Take your adult lenses off」(=大人の視点で子どもを見るのはやめなさい)というのが、著者がこの本で一番主張したかったことだそう。米アマゾンのレビューは、今のところ5点満点。

昨年来、「タイガーママ症候群」という言葉まで誕生し、“優れた子どもを育てるため、優れた母でいなければいけない”というプレッシャーを感じている母親も少なくない中、「こんな法則考えてみたこともなかったけど、実践してみたらうまくいった」「ほっと安堵のため息が出た」などといった感想が寄せられている。


恩田 和(Nagomi Onda)恩田 和(Nagomi Onda)
全国紙記者、アメリカ大学院留学、鉄道会社広報を経て、2010年に長女を出産。国内外の出産、育児、教育分野の取材を主に手掛ける。2012年5月より南アフリカのヨハネスブルグに在住。アフリカで子育て、取材活動を満喫します!