育児をドヤ顔で語る前に気をつけたいこと


お盆に一家で実家へ帰った。車で3時間超の距離、帰るのは年に2~3回。盆と正月、ゴールデンウィークか秋の休みに3泊4日、というのが子どもができてからの習慣になっている。

料理上手の実母がご馳走を繰り出し、4歳の娘を車で連れ出してウキウキと買い物に行ってくれる。その間、3ヵ月の息子とのんんびり昼寝。洗濯機は自分で回したが、気がつくと干してあり、夜には畳んだ状態で部屋に置かれていた。

「実家が近かったらなぁ……」


週末、仕事が立て込んだ時に娘だけでも見てもらえたら……。
産後3ヵ月のしんどかった場面が蘇る。ウチの場合は「ヨメ・大黒柱×家事育児サブ、オット・家事育児メイン×パート就労」の関係のため、まだ楽な方かもしれない。

それでも、土日に夫が仕事に出てしまい、4歳児がパワーを持てあます中で授乳に明け暮れていると、「実家が近かったらなぁ……」と遠い目になってしまうのだ。
ただ、育児のしんどさを語る時に、「実家格差」は無視されがちだ。

「育児も家事も仕事もがんばってるスーパーウーマン」としてメディアで持ち上げられている人がいると、根性悪の私は、「実家サポートの有無」に思いを馳せる。フタを開けたら親と同居や近居で育児サポート万全のケースもある。そんなラッキーママに「あなたも両立できる!」と煽られても、頼れない育児をしている母親には迷惑なだけだ。

家庭内「実家格差」のある我が家のケース


そして、私が「実家格差」の存在を容赦なく味わうのは、我が家庭内においてである。

私が仕事で遅くなる日と、夫が遅くなる日が週に2日ずつほどある。

夫が遅い日は、赤ん坊を抱いて保育園に娘を迎えに行き、猛暑の中、坂を登ってふーふー言いながら帰る。ご飯を作って娘に食べさせ、間に授乳をはさみ、裸で部屋をウロウロしながら乳児と幼児を風呂に入れ、ダブル寝かしつけに挑む。

私が遅い日、夫は自分の実家に頼る。

車で保育園に乗り付けて娘をピックアップ。それから車で10分ほどの実家に到着、夕食は孫大好きな義母がたっぷり用意している。どちらかが泣いても、誰かが見ていてくれる。娘の出産時に同居していたからわかる。

「いーのよ、兄ちゃん(=夫)」「オカアチャンが見といたるわ」……食後にまったりと、テレビの前で寝転んでいる夫の姿まで見えるようだ。


しんどいのもわかるし、孫の顔を見せたいのもわかる。でも「今週1回も見せてないし」と言われると、「ウチの親は年に3回しか見てないんですけど!?」と言いたくなる。このように、同じ「子どもを見る」のでも夫と私の間でしんどさのレベルが異なるのだ。

疲れて帰った夜、「実家ダイスキ-嫁」を持ってるダンナさんの気持ちが少しわかる。仕事して帰って、家にご飯ナシ、風呂ナシ。ちょっと虚しい。

(……「自分も夫の実家に頼ればいいじゃん」と思う人は、嫁姑問題のないハッピーケースなので黙ってらっしゃい)

「実家格差」の存在を認める、でも気にしない


心が狭い私は、「家庭内実家格差」を是正すべく、「ヨメが遅い日でも2回に1回は家で!」と夫に指令を飛ばした。

でも、家庭外の実家格差については、アンテナを圏外にしておくのがいい。うらやましがったところで、実家が近くになることは無いのだから。

傍から見れば、育児をする夫を持つ人がうらやましい、いや稼げる夫の方がいいわよ奥さん、とキリがない。「隣の芝生は永遠に青い」のだ。


ただ、自分の家事育児のしんどさについて語る前に、「実家格差」の存在を認識しておくと、ママ友や夫婦コミュニケーションには有効かと思うので、最後にまとめておきたい。

■「実家格差」が起こる5つの要因
※嫁姑関係が良好な場合は「義理実家」に置きかえても可

1.実家との距離:アクセスしやすいかどうか。近距離でも移動手段が不便だと頼れない。

2.実親との関係:甘えられる関係かどうか。実親が近くても仲が悪ければ頼れない。

3.孫への関心度:孫をかまいたがるどうか。孫が多くてもうイヤ、自分の生活が第一!という親もいる。

4.実親の体力:面倒を見られる体力があるか。現役で働いている親、高齢など体力の無いケースも。

5.実親の育児観:親と育児の価値観が合うか。しつけや衛生面での価値観が違うと預けにくい。

実家が仮に近かったら、と自分のケースで想像した時、私は甘えベタなため、それほど頼れないかもしれないなと思った。高齢出産なので親や義父母の年齢の問題もある。特に夫の両親は70代に入っており、元気な残り時間を考えると、「どうぞどうぞ可愛いうちに満喫してください」と孫を差し出したくもなる。

ああ!でも勝手に天花粉ぶっかけたり、アイスを無制限に食べさせたりしないで!なんだこのモヤモヤは!

恵まれている人は、その有り難さに気づかない。


「自分の母親がどんなおばあちゃんになるのか、見たかったなぁ」

早くに母親を亡くした友人が、つぶやいたことがある。
まだ見えていないものがあったんだ、と反省した。


山口照美山口照美
広報代行会社(資)企画屋プレス代表。ライター。塾講師のキャリアを活かしたビジネスセミナーや教育講演も行う。妻が家計の9割を担い、夫が家事育児をメインで担う逆転夫婦。いずれ「よくある夫婦の形」になることを願っている。著書に『企画のネタ帳』『コピー力養成講座』など。長女4歳・長男0歳(2012年現在)