コストコで買ったチキンシーザーサラダを、サラダボウルに盛る。
ル・クルーゼの鍋にホワイトシチュー。
バゲットを切って、籠に盛りつける。
子ども用のピラフはあえてガラス製の器に盛って、可愛いスプーンを差す。

駅前の人気スイーツを持ってきたのはMちゃんママ。
Tちゃんママは、手焼きクッキーを個別にラッピングして持参。
ワインはKちゃんママにお願いしてある。

ピンポーン。

「こんにちは~」「わー美味しそう!」「Sちゃんママってセンスいい~」

ここで、雑誌『Mart』(光文社)を立ち読みしていた私の妄想は途切れる。

な、なんてしんどそうなんだ!
雑誌のサイトにはこんな文面まで。

「子育てと家事の合間にリフレッシュできるママ友同士の女子会、
 Martミセスのみなさんは、頻繁に開催されていますよね♪」

ひ、頻繁に!

「Sちゃんママ、さすがセンスいい~」の後には「じゃ、今度はTちゃんママんちで!」ってなったりするやん!それってもうリフレッシュやなくてプレッシャーやん!

そんな「おしゃれママ会」に悩まされ、食器集めや「ママ会 レシピ」と検索連打している母親たちを救わねば!と立ち上がることに。

関西ママは始めてる♪「ママ会DEタコパ」が今おしゃれ!(「Mart」風に)

……「タコパ」とは関西スラングで「タコ焼きパーティー」の略称である。

「タコパ」の「コスパ」は抜群!


まず、迷わずネットショップで「たこ焼き器」を購入してほしい。
1000~3000円程度で購入できる。
残念ながら、おしゃれなロゴ入りとか真っ白なのとか、選ぶ余地はほとんどない。


(1000円で買えるタコ焼き器)

一度に、20個前後は焼けるものがおすすめである。

材料は専用のタコ焼き粉を買ってもいいが、小麦粉を使ったレシピはネットにたくさんある。出しパックを煮出して冷ました出汁をたっぷり作って、粉と卵を混ぜ込む。あれば長芋をすりおろして入れる。

刻みネギと天かす・紅しょうが・削りカツオ・青のりを用意。
ソースだけは、タコ焼き用があった方が安心だ。

キャベツは入れない派も結構いるので、あれば刻んでおくか、程度でO.K。あとは具のゆでダコ。子ども用にはシーチキンやベーコンを炒めた物、コーンの缶詰もいい。溶けるチーズも用意しておこう。

おっと、ひっくり返すための竹串をお忘れなく。


(一人あたり500円もあればお腹いっぱいに。しかも調理は客に任せてしまうという準備いらずな点も泣かせる)

タコ焼きは主食にしておかず、オヤツやつまみ要素もある。
あの丸いフォルムに全てを包み込み、一品で完結している。
美しい。そして、安い。

「共同作業」がママ関係をホカホカにする!?


子どもたちもタコ焼きは大好きだ。
小学生ぐらいなら、自分たちで焼かせてもいい。

いつものおしゃれママたちも「やだ珍しい~」「一度やってみたかったの~」
関西出身ママなら「懐かしい~」と盛り上がること間違いナシ。
写真を撮ってブログやSNSに上げまくってくれる。
Facebookの「いいね!」だって、どっさりつく。

焼き始めは、きっとアワアワすると思う。
だが、心配はいらない。
混沌とした生地たちもいつかは丸く収まる。


(どうなるのか危機感を抱かせるタコパのスタートだが、型に押し込んでるうちに丸くなる様は、ママ会における人間模様を思わせる)

共同作業は人の距離を縮める。


保育園のママ友が、タコ焼きをひっくり返しながらつぶやいていた。

「子ども同士は仲良くても、親同士がホカホカになってへんのに、いきなり仲良くなれるワケないと思うねん」

名言である。

子どもたちはすでにホットな関係だが、親は挨拶しかしたことがない。そんな“ほぼ初対面ママ会”の緊張を、「生地もっと入れようか?」「紅しょうが入れるねー」と、いきなり連携プレーに持ち込むタコパ。

出来上がる頃には、ママ同士の会話も「ホカホカ」してくる。

「えっ、キャベツ入れるん?それってお好み焼きやん!」とか「ウチはちくわ入れるねん」「えー」ぐらいの揉めごとはあったが、粉もんの作る空気は「習い事やお受験の話題で一触即発」とはほど遠い。

苦手な話題の時には、たこ焼き屋のオバちゃんに徹して加わらないというワザも使える。
そして、ほとんど失敗はない。誰が作っても、おいしい。

センスいらず、遠慮いらず、バリエーション豊富


できたたこ焼きは、割り箸に紙皿で供給しても問題ない。

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(一応、おしゃれミセス系雑誌で重宝されそうな白いお皿に盛ってみたが、紙皿に差し替わっても違和感ナシだ)

子ども用には、ホットケーキミックスに板チョコやジャムを用意しておくのもオススメ。タコ焼きの合間に、チョコやジャム入りベビーカステラが作れる。

具材やソースを変えれば、バリエーションは豊富だ。
神戸在住オカンは「出汁を用意して明石焼き風に食べるのも好き」とのこと。

バジルを利かせたコンソメ風味の生地に海老を入れ、オリーブオイルを引いて焼き上げたタコ焼きにアボガド&クリームチーズで作ったディップソースを載せ、ひとつひとつグラスに盛りつけて可愛いピックを刺す……なんてやり出すと、また「Sちゃんママってセンスいい~」合戦のMart的世界に戻ってしまうのでご注意あれ。

ノーセンス、ローコスト。ビバ!タコパ!


山口照美山口照美
広報代行会社(資)企画屋プレス代表。ライター。塾講師のキャリアを活かしたビジネスセミナーや教育講演も行う。妻が家計の9割を担い、夫が家事育児をメインで担う逆転夫婦。いずれ「よくある夫婦の形」になることを願っている。著書に『企画のネタ帳』『コピー力養成講座』など。長女4歳・長男0歳(2012年現在)