2学期が始まり、夏休みの「子どもとべったり」から解放された幼稚園児の母たち。その引き換えに弁当作りが再開した。わが息子の通う幼稚園は毎日お弁当だ。

「毎朝お弁当を作るのは面倒そう、できるか不安……」という声はよく聞く。

最近は幼稚園でも給食のところもあるし、給食かお弁当かを選べたり、週の半分が給食、というところもあるようだ。秋の幼稚園選びシーズン、遠いけれど給食の園、近いけれどお弁当の園、どちらにするか頭を悩ませている人も多いのではないだろうか。

私は料理が好きな方ではないので、給食があったら楽だろうなぁ、という気持ちは痛いほどわかる。さらに、弁当といえば「愛情」やら「食育」やらといったキーワードが世の母たちにプレッシャーの追い打ちをかけるのだ。

料理が大好きでお弁当作りは楽しい!という人が、本気でうらやましい。しかし、そんな私でも、毎朝お弁当を作り続けて3年目。どうにかなっている。

幼稚園児の弁当箱は驚くほど小さい


大変そう……と暗い気持ちになっている人にぜひお伝えしたいのが、子どもの弁当箱の大きさ。息子が年少で最初に使ったアルミの弁当箱は12cm×9cmの楕円。ハガキよりひと回り小さいミニサイズだ。

3才なら最初はこれで十分。半分におにぎりかご飯を詰めたら、おかずのスペースなんてもうちょこっとしか残っていない。どうにかしてそのエリアを埋めればいいのである。

お弁当の中身を定型化する


とはいえその小さな空間に何を詰めたらよいか、毎日頭を悩ませるのはしんどい。これを思い切って定型化してしまうと楽になる。

例えば、ミニトマト、ブロッコリー、ポテトサラダ、おにぎりは、毎日全く同じでいいから迷わず入れることにする。

メインの肉系のおかずだけを毎日変えれば、それだけで意外と違って見える。たまにおにぎりをサンドイッチに変えたら立派なものだ。ワンパターンに自責の念を感じそうになったら、これはもう制服のようなもの、と割り切る。

かわいいお弁当を目指さない


本や雑誌には理想的なかわいいお弁当の写真がいっぱいだ。みんなこんなのを作ってるのかなぁ、と不安に思った人は、本を閉じて見なかったことにしよう。

ファッション誌のような服装を毎日できる人がごく一部であるのと一緒で、そんなお弁当を日常的に苦も無く作れる人の方が少ない。
大丈夫、みんなもっとごく普通のお弁当だ。

とはいえ、子どもはちょっとかわいいと喜ぶのも事実。
でも、凝った飾り切りなどしなくても、100円ショップで売っているかわいいピックを使うだけで、十分楽しさは演出できる。本に載っているお弁当は勝負服、キャラ弁に至っては仮装、くらいに思っておくと気が楽になる。

助けて!冷凍食品!!


やっぱり困ったら、これ。「冷凍食品はできるだけ使いたくない」と考えている人も、お守りみたいな物と思って、冷凍庫に一応常備しておくといい。思わぬ寝坊、まずい!やむなく片っ端からチンチンチチーンして切り抜けたという友人もいる。朝は火をいっさい使わずに弁当を作れるという強者も。切って詰める、チンして詰める、でもお弁当は出来上がるのだ。

お弁当のいいところは「子どもの成長に合わせられる」!


お弁当の一番いいところは、子どもの個別のペースに合わせられるという点だろう。

幼稚園でのお弁当の時間は、自立した食事の練習で、お腹をいっぱいにすることが目的じゃないと考えた方がいい。準備や片付けの工程をこなし「全部食べられた」という達成感を持てることが子どもにとっては重要だ。

3年保育の年少は最初まだ3才。食べられるものの硬さや大きさ、30分で食べ切れる量、道具を使う器用さ、これらには相当個人差がある。3年かけて差は目立たなくなってくるが、変化するペースもまちまちだ。

その子が無理なく時間内で食べ切ることのできる「量」や「形状」を親が見極めてお弁当を用意してあげれば、達成感を得ながら食事の経験を重ねることができる。

成長の指標として……


年少から年長にかけて、お弁当も随分成長した。
・おにぎりではなくご飯を詰めてもスプーンで食べられるようになった。
・お弁当箱のサイズをひと廻り大きくした。
・スプーンとフォークからお箸に変えられた。
・巾着袋からナプキン包みにした。

お弁当を通して、食べることだけでなく、手作業の習熟度が上がったからこそできるようになったことが、いくつも確認できる。そんな楽しみもある。

子どものお弁当は母親の料理の腕の品評会ではない。
まわりは必要以上に気にせず、むしろ自分の子どもをよく観察して、子どもにあった適量を自分の無理なくできるスタイルで作ればいい。

とはいえ、現実は、
「○○くんのお弁当にロボットのウィンナーが入ってた!」
(→いや、私はその細工をする時間及び心の余裕が…)とか、
「○○くんみたいにいちご入れて!」
(→いや、それ予算オーバーで私も最近食べてません)とか、
そんな要望に日々さらされる。

なんだかんだ聞き流されて、普段地味なお弁当に慣れている息子は、たまに頑張って希望に答えた時にすごく喜んでくれる。
ありがとね、もう少しがんばろうかな。

あ、でも、「きょうのお弁当は昨日のノコリモノ!」と幼稚園で元気に言うのは、できればひかえてほしい……。


狩野さやか狩野さやか
ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。