風邪をひいた。息子が。
秋晴れの底抜けに晴れ渡る空が恨めしい。連休も週末も、続けてまとめてどこへやら。幼稚園はもちろん行けない。

急に涼しくなったし新学期及び行事の疲れが出る頃だから、まぁ仕方ない。軽い風邪と判断しつつ、咳が出るから薬が欲しい。とりあえず、近くの小児科へ。



近くて空いている便利さ ‐ 「注射用病院」?


ここのいい所は、近いから移動の負担が少ないのと、空いているから待たなくていいこと。難点は「なんとなく不安」……。
先生は子どものことを覚えている様子は無いし、無口だし。端的にいえば、親の私があまり信頼していない。

しかし、「近くて空いている」の利点は大きい。抵抗力の落ちている子どもを、長時間病院の待合室で待たせれば負担がかかるし、具合の悪い子を連れて長距離移動するのは体調をさらに悪化させるかもしれない。車が無いから移動も徒歩か自転車だ。

だから、薬さえ出してもらえれば……とか、インフルエンザじゃないかどうか検査だけしてもらえれば……という症状の時には迷わずこちらへ。予防接種も待ち時間や手軽さでこちらを選ぶ。実は心の中で「注射用病院」と呼んでいる。先生ごめんなさい。

やっぱり信頼できる先生の元へ


数日が経過。うーん、今回はおかしい、長過ぎる、なんだかいつもと違う気がする。
そんなとき浮かぶのは、乳児の頃からよく行っている方の小児科の先生の顔。「今日はどうしました」「大きくなったなぁ」という「久しぶり」感を持って接してくれるだけで安心。なんとなく温かい。

でも、あそこは少し遠いし、混んでいて長く待つ。このまま様子を見るか、件の「注射用病院」で済ませちゃってもいいかな……。決めかねると、さらに勝手な憶測をスタートさせるのがよくあるいつものパターン。

とりあえず、インターネットで調べる。病名を探ってみたり、薬の効能を調べて副作用を疑ってみたり。素人が診断できないとわかっていても、そこでなんだか足踏みする母親は意外と多い。それはほんの10分だったり時に深夜の数時間だったり。

さすがに6年間、息子の風邪に付き合ってきた。今回は3分軽く悩み、少し遠いが信頼している方の小児科に連れて行った。

「信頼」=相性


「信頼している」と言ったって、「注射用病院」の先生と比べて、小児科医師としての腕の違いがあるかどうかなんてわからないし、多分大差ない。ただ、親の側から勝手に安心感や信頼感を持っているだけのこと。しかし「なんとなく安心」というコミュニケーション上の相性が、意外と大切なのだ。

小児科の診察室に入る時、親は子どもの病状や対処方法について不安や疑問でいっぱいだ。その親の不安な気持ちを解消してくれる先生が、自然とその親にとっての「信頼できる」先生になる。その基準は絶対的なものではなく、ごく個人的な相性の問題だ。

実際、ある人が「あそこは苦手ぇ~」と避けている病院を、「あそこが一番いい!」と信頼している人もいる。風評に流されずにいろいろ行ってみて、自分の相性のいい先生を見つければいい。

親の不安が「治療」され、親は経験から学ぶ


風邪の場合、病院では子どもを診察をして適切な薬を出し経過をみましょう、というパターンがほとんどで、その場で何か直接的な治療ができるわけではない。その後経過を見守り、治ったか悪化したかを観察するのは結局親の役目。

親に正確な知識を与えたり、その不安を払拭したり、判断を後押ししたりすることが、小児科での「治療」の大きな部分なんじゃないかと感じることがよくある。私はそうして助けられてきた。

だから乳幼児期に連れて行く小児科って、どこか「親科」だと思うのだ。

乳児は快不快の表現すら未熟で、状態を把握しにくい。親はそんな頃から、不安の中でその子の健康状態を把握すべく観察し、心配し、判断に悩み、病院に連れて行き、経過を見守る。子どもが風邪をひくたびに、「悩む過程とその結果」を積み重ね、経験則ができてていく。そうやって親が子どもの健康状態を見極める目が鍛えられていくのだろう。

そういえば、息子が乳児の頃ほど、信頼している先生の病院に行くことが多かった。回を重ねて判断基準がわかってきて少し自信が出てくると、自然と「注射用病院」を使い分けることが増えてきた。

-----

さて、風邪の長引く息子。おかゆくらいしか食べられないし、親はスーパーの揚げ物ですませちゃえっと夕食時。

「あぁ~ぼくもコロッケ食べたいなぁ。食べちゃだめだよねぇ。」

……あ、ごめん、気遣いが足りなかった。吐いている時は、さすがに揚げ物は欲しがらないと思ってた。その気持ちの余裕があれば、あとひと息で治るよ!

治ったら、ラーメンとピザとチョコとドーナッツだっけ?あとコロッケも。いっぱい食べようね!!


狩野さやか狩野さやか
ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。