5年前、初めての子どもに母乳×ミルクの混合育児をしながら、ずっと思っていた。
「なぜミルク缶はこんなにデカイのか」
買いに行ってじゃま、使ってじゃま、捨てるのにじゃま。
答えは単純明快で「衛生上の問題」に尽きる。
繊細な赤ん坊が口にするもの、詰め替え用なんか論外!……のはずだった。
今年5月生まれの息子は、生後4ヵ月にしてミルク育児へ。
増える缶、缶、缶。
うっかり不燃物のゴミの日を飛ばそうもんなら、我が家の台所ににょきにょきとミルク缶の塔が立つ。
そんな我が家を待っていたかのように、この9月、業界初の「詰め替え用ミルク」が発売になった。ありがとう!森永乳業!
最初の購入には、勇気がいった。
なにせ数十年続いた「ミルク缶の伝統」をブチ破った商品である。
「ジーンズの後ろポケットに入る(わけなかった)」VAIO-Pを嬉しがって買い、即手放した苦い過去がよみがえる。「エコらくパック」が、もし強烈に使い勝手が悪ければ、「はじめてセット」の専用ケースはムダになるのだ……
かかるコストはVAIO-Pの10分の1以下であっても、ムダにするのはエコじゃないよね、と「エコらくパック」をにらみつつ店頭でしばし迷う。
しかし、そのコンパクトさは明らかに魅力的。
大缶の半分ほどの大きさ、しかも直方体のため台所のちょっとした棚にすっぽり収まるのも好ましい。
迷ったあげく、「森永はぐくみ エコらくパック」は我が家へやってきた。
さっそく、セッティングする。
プラスチックのフタつき「専用ケース」の中に、詰め替え用のアルミパックの口を開き、パックごとストン、と入れる。「すりきりパーツ」をその上にかぶせるだけで、セット完了。プラスチックケースのフタがきっちり閉まり、湿気を防止する。
通常のミルク大缶が850gのところ、半分以下の350gのため、悪くなる前に使い切れる安心感もある。母乳寄りの混合育児の人には有り難いだろう。
水色のケースのフタをパカッと開け、白いミルクを専用スプーンですくう。
ミルクを上からのぞき込んだ時に感じる、既視感……。
……自分が洗濯機の前にいるような気がする。
または食器洗い機の前にいるような気がする。
ミルク缶から突然の「洗剤っぽさ」への飛躍に動揺する。
日本のどこかで「食洗機にミルク投入事件」が勃発する日は近い。
この違和感を通り過ぎてしまえば、「今までなぜ大型缶がミルクの常識だったのか」と不思議に思うほど便利だ。ケースは片手で持ち運べる。軽い、小さい、扱いやすい。
さて、次なるチェックポイントは「詰め替えパックの交換」だ。
小市民の我が家では、ミルクの「ラストひとすくい」に執着する。
ミルク缶の底でくるくる逃げ回る粉を、かき集めても取り逃がしが生じる。
じゃーっと水を流し込んで缶を洗いながら、毎回ちいさな悔しさを覚えていた。
この点、「エコらくパック」はいじましい消費者に優しい。
底が浅くてすくいやすく、アルミパックのシワに入り込んだミルクもパックごと取り出してかき出せる。ふー、使い切ってやったぜ、すっきり。
そしていよいよ「詰め替え」の儀式である。
新しいパックをハサミで開き、専用ケースにセットする。
我が夫曰く、「缶よりひと手間かかる、って感じやな」。
初回のセッティングでも思ったが、この「ひと手間」が緊張の瞬間である。
大きく口を開いた不安定なアルミパックに、たっぷりの粉ミルク。
ああ、くしゃみがしたい。今、モーレツにしたい。
したらどうなるか、わかっているだけに余計に鼻がむずむずする。
このパックをうっかり落としたら。
掃除機に粉ミルクをたらふく吸わせる結果になる。
……想像するだけで、いつもより手がぷるぷるする。
この緊張感を慣れで乗り越えれば、あとは快適なミルクライフが待っている。
一番感動的だったのは、空になったパックをくるくると丸めて捨てた時だ。
あのバカでかいミルク缶が、手の平に収まる小さなゴミへ。
まさにミルク業界のイノベーション、今までできなかったのが不思議なほどだ。
丸めたアルミパックを握りしめ、「日本のものづくりは死なず」と思わず力が入る。
10年後、
「ミルク缶、チョーなつかしい~」
「ありえないデカさだったよねー」
と、“なつかし文脈”でミルク缶が語られる未来が見えるほどだ。
ケースは半透明で、中のパックが透けて見える。
期間限定の人気キャラバージョンや、おしゃれママにアピールする柄が出るとさらに楽しい。
ミルク缶が台所にのさばりつづけた数十年にピリオドを打てるかどうかは、メーカー営業部隊の拡販にかかっている。詰め替え用のコストダウンを祈って、熱く応援しよう。
「森永エコらくパックはミルク業界の革命や~」
・森永乳業 入れかえタイプの粉ミルク「エコらくパック」
(http://www.hagukumi.ne.jp/ecorakupack/)
「なぜミルク缶はこんなにデカイのか」
買いに行ってじゃま、使ってじゃま、捨てるのにじゃま。
答えは単純明快で「衛生上の問題」に尽きる。
繊細な赤ん坊が口にするもの、詰め替え用なんか論外!……のはずだった。
今年5月生まれの息子は、生後4ヵ月にしてミルク育児へ。
増える缶、缶、缶。
うっかり不燃物のゴミの日を飛ばそうもんなら、我が家の台所ににょきにょきとミルク缶の塔が立つ。
そんな我が家を待っていたかのように、この9月、業界初の「詰め替え用ミルク」が発売になった。ありがとう!森永乳業!
勇気を出して買ってみた
最初の購入には、勇気がいった。
なにせ数十年続いた「ミルク缶の伝統」をブチ破った商品である。
「ジーンズの後ろポケットに入る(わけなかった)」VAIO-Pを嬉しがって買い、即手放した苦い過去がよみがえる。「エコらくパック」が、もし強烈に使い勝手が悪ければ、「はじめてセット」の専用ケースはムダになるのだ……
かかるコストはVAIO-Pの10分の1以下であっても、ムダにするのはエコじゃないよね、と「エコらくパック」をにらみつつ店頭でしばし迷う。
しかし、そのコンパクトさは明らかに魅力的。
大缶の半分ほどの大きさ、しかも直方体のため台所のちょっとした棚にすっぽり収まるのも好ましい。
迷ったあげく、「森永はぐくみ エコらくパック」は我が家へやってきた。
こ、これはアレに似ている……
さっそく、セッティングする。
プラスチックのフタつき「専用ケース」の中に、詰め替え用のアルミパックの口を開き、パックごとストン、と入れる。「すりきりパーツ」をその上にかぶせるだけで、セット完了。プラスチックケースのフタがきっちり閉まり、湿気を防止する。
通常のミルク大缶が850gのところ、半分以下の350gのため、悪くなる前に使い切れる安心感もある。母乳寄りの混合育児の人には有り難いだろう。
水色のケースのフタをパカッと開け、白いミルクを専用スプーンですくう。
ミルクを上からのぞき込んだ時に感じる、既視感……。
……自分が洗濯機の前にいるような気がする。
または食器洗い機の前にいるような気がする。
ミルク缶から突然の「洗剤っぽさ」への飛躍に動揺する。
日本のどこかで「食洗機にミルク投入事件」が勃発する日は近い。
この違和感を通り過ぎてしまえば、「今までなぜ大型缶がミルクの常識だったのか」と不思議に思うほど便利だ。ケースは片手で持ち運べる。軽い、小さい、扱いやすい。
さて、次なるチェックポイントは「詰め替えパックの交換」だ。
「ひと手間」の緊張感
小市民の我が家では、ミルクの「ラストひとすくい」に執着する。
ミルク缶の底でくるくる逃げ回る粉を、かき集めても取り逃がしが生じる。
じゃーっと水を流し込んで缶を洗いながら、毎回ちいさな悔しさを覚えていた。
この点、「エコらくパック」はいじましい消費者に優しい。
底が浅くてすくいやすく、アルミパックのシワに入り込んだミルクもパックごと取り出してかき出せる。ふー、使い切ってやったぜ、すっきり。
そしていよいよ「詰め替え」の儀式である。
新しいパックをハサミで開き、専用ケースにセットする。
我が夫曰く、「缶よりひと手間かかる、って感じやな」。
初回のセッティングでも思ったが、この「ひと手間」が緊張の瞬間である。
大きく口を開いた不安定なアルミパックに、たっぷりの粉ミルク。
ああ、くしゃみがしたい。今、モーレツにしたい。
したらどうなるか、わかっているだけに余計に鼻がむずむずする。
このパックをうっかり落としたら。
掃除機に粉ミルクをたらふく吸わせる結果になる。
……想像するだけで、いつもより手がぷるぷるする。
感動すら覚えるゴミの小ささ!
この緊張感を慣れで乗り越えれば、あとは快適なミルクライフが待っている。
一番感動的だったのは、空になったパックをくるくると丸めて捨てた時だ。
あのバカでかいミルク缶が、手の平に収まる小さなゴミへ。
まさにミルク業界のイノベーション、今までできなかったのが不思議なほどだ。
丸めたアルミパックを握りしめ、「日本のものづくりは死なず」と思わず力が入る。
10年後、
「ミルク缶、チョーなつかしい~」
「ありえないデカさだったよねー」
と、“なつかし文脈”でミルク缶が語られる未来が見えるほどだ。
ケースは半透明で、中のパックが透けて見える。
期間限定の人気キャラバージョンや、おしゃれママにアピールする柄が出るとさらに楽しい。
ミルク缶が台所にのさばりつづけた数十年にピリオドを打てるかどうかは、メーカー営業部隊の拡販にかかっている。詰め替え用のコストダウンを祈って、熱く応援しよう。
「森永エコらくパックはミルク業界の革命や~」
・森永乳業 入れかえタイプの粉ミルク「エコらくパック」
(http://www.hagukumi.ne.jp/ecorakupack/)
山口照美 広報代行会社(資)企画屋プレス代表。ライター。塾講師のキャリアを活かしたビジネスセミナーや教育講演も行う。妻が家計の9割を担い、夫が家事育児をメインで担う逆転夫婦。いずれ「よくある夫婦の形」になることを願っている。著書に『企画のネタ帳』『コピー力養成講座』など。長女4歳・長男0歳(2012年現在) |