男女が一緒の籍に入り、一つの家庭をつくる結婚。入り口は同じでも出口はまったく違うというのは、多くの人が実感していることでしょう。
 結婚を機に「伸びた人」と「ダメになった人」がいるのも、また悲しい現実です。
(『ビジネスパーソンのための 結婚を後悔しない50のリスト』大塚 寿 著/ダイヤモンド社 より)

のっけから、日常考えまいとしている現実を突きつけられる。
私は結婚を機に「伸びた」のか「ダメになった」のか?
夫は果たして「伸びた」のか「ダメになった」のか……

収支決算は出ていないものの、筆者はある時点で夫婦ともに「ダメになった」時期があるのを思い出した。

産後クライシスで離婚寸前!


同居していた夫の実家から9ヵ月の娘を連れて家を出たことがある。
勝手に部屋を探し、引っ越し当日まで場所さえ教えなかった。
そして、彼を家に入れなかった。

まさに「産後クライシス」、今思えば彼はそれなりに育児には参加していた。
ただもう1人、呼んでもいないのに参加してくる義母を、彼は止められなかった。

夕食の時間、娘をあやして抱いている私を見ると、義母は猛烈な勢いで食事をかきこみはじめる。口をもぐもぐさせたまま、私のそばにやってきて「姉ちゃん、抱いたるから、ゆっくり食べ」と両手を差し出す。なぜ「可愛いから抱っこさせて」と言わないで、恩着せがましい言い方をするんだろう。私は夫に強い視線を投げる。彼はテレビに視線を向けたまま、だらだらと食べ続けている。食卓で勃発している冷戦に気づかない。娘を渡すなら、夫がいい。義母はイヤ。理屈はない、おそらく本能だ。

2人目育児ともなると「お義母さんありがとうございます~」と喜んで差し出したかもしれない。
しかし、私は完全アウェイの他人の家で、娘を取られる不安に毎日毛を逆立てていた。

仕方なく娘を渡すと、義母は居間から消える。口癖は「カワイソウ」だ。「寒そうな格好して、カワイソウに」と毛布でぐるぐる巻きにして帰ってくる。娘の顔は真っ赤だ。何度言えばわかってもらえるのか。夫よ、今こそ母親に指摘してくれ、私が言うと角が立つ。念を送っても、家族の前で彼は無口だ。いつまで思春期やってんだ。

日常の「チリツモ」という名の地雷


この本には、結婚を後悔している人が挙げる「チリツモ」という言葉が出てくる。

まさに産後と同居生活の「チリツモ」が溜まりに溜まった産後9ヵ月目に、離婚覚悟で家を出た。私たちの場合、同居によるいざこざが主な原因だったため、別居を3ヵ月した後に新居に夫を迎え入れる形でやり直すことができた。現在夫の実家とは、適度な距離でうまくつきあっている。

結婚が難しいのは、仕事のようにプロジェクトが終わればメンバーは解散とか、職場だけ良い顔を見せればOKというわけにはいかない。日常生活そのものだからです。

まさにその通り、義母にいい顔できたのはたまに会うからであり、日常になると産後のケダモノ期と重なってもうダメだった。そして自分を守ってくれない、妻と子どもを優先しない、事なかれ主義の夫に幻滅した。結婚しなければ、見ることの無い姿であり、それを恋愛期に知るのは不可能だ。

この本は「結婚『後』のマネジメントが人生最大の分かれ道」と掲げ、離婚した人たちの生々しい体験から導き出した具体的な50のリストを示してくれる。チェック項目は大まかに次の6つ。

【1】家事・育児の分担
【2】相手の育ちや環境が与える人格不和
【3】コミュニケーションの取り方
【4】お金や時間に対する価値観の齟齬
【5】相手の両親との付き合い方
【6】子育て哲学の違い

分類を眺めているだけで、夫婦がいかに「日常業務」であり「人生設計」に関わるものかを感じさせられる。夫婦がうまくいっていないことを感じながら表面をつくろっているなら、この50のリストと対話することをおすすめする。

「01 仕事ばかりしなければよかった」
「02 家事の分担をしておけばよかった」
「03 つい何でも相手任せにしてしまった」

本書は、男性がビジネスマンのために書いているので、「仕事が忙しい」状況や心理に共感しながらも解決策を示してくれる。働き過ぎて熟年離婚した、子どもがなつかなかったといった生々しい体験談を交え、仕事人間にじわじわと効いてくる作りになっている。

解決策は「できそうなこと」を短フレーズでまとめてある。

「仕事ばかりしなければよかった」には「仕事と家庭を『同列』に考え、短ピッチで家族と向き合う時間をつくる」。

平日が無理なら、週末は必ず時間を取る。そういえば、知人の経営者は、「朝ご飯はどんなに深夜に帰っても起きて食卓につく」と言っていた。やっと長い休みが取れた、定年して時間が作れた、さぁ家族と向き合おう!としても手遅れなのだ。「短いピッチで」をどこで取るか、夫婦で話し合うきっかけになる。

男性視点だから夫も素直に読める、現代夫婦の必携本


他にも刺さるリストが満載、私は「06 言い方をもっと考えればよかった」「20 ケンカのルールを決めておけばよかった」「40 やっぱり相手の親と同居しなければよかった」あたりがグサグサくる。今、読んでおいて良かった。

この50のチェックリストを読んでいくうちに、「そうか、結婚を勘違いしていた」と目が覚める人は多いはずだ。デキる男性がビジネス書として書いてくれているので、妻たちがイクメン向け育児書を片手に詰め寄るよりも効果的。

夫へのクリスマスプレゼントに、「これを読んで私もいくつか反省したわ、あなたと一緒に年を取っていきたいから、読んでくれると嬉しい」というカワイイ台詞と共に渡したい。

その行為を「めんどくさっ!」と思った時点で、もはや大事なものが壊れかけているのかもしれないが、縁あって夫婦、一生は一度きり、新たな年とともに「家庭マネジメント」の目標を2人で立てるのに使える。ぜひ、一家に一冊!

『ビジネスパーソンのための 結婚を後悔しない50のリスト』大塚 寿 著/ダイヤモンド社


山口照美山口照美
広報代行会社(資)企画屋プレス代表。ライター。塾講師のキャリアを活かしたビジネスセミナーや教育講演も行う。妻が家計の9割を担い、夫が家事育児をメインで担う逆転夫婦。いずれ「よくある夫婦の形」になることを願っている。著書に『企画のネタ帳』『コピー力養成講座』など。長女4歳・長男0歳(2012年現在)


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