節分が過ぎ、女の子のいる家庭ではそろそろ雛人形が登場するころでしょう。

雛人形を自宅に飾る瞬間は、女の子の親になった喜びを改めてかみしめるひと時。でも、そこに至るまで、雛人形を選び、買うプロセスで、地方や家庭によって様々な慣習、言い伝えや、孫の初節句を祝いたい一心の両家の両親の気持ちに振り回され、苦労した人も多いのでは?

すまし顔で鎮座するお内裏様とお雛様の背景には、各家庭、それぞれの狂想曲が渦巻いているのです……。

それはさておき、
初節句を迎える皆さん、おめでとうございます!

一生に一度の雛人形選び、後悔しないためのポイントをお伝えします。

誰が買う?


Googleで「雛人形」と検索すると、関連ワードで「雛人形 誰が買う」と出てくるぐらい、雛人形を買う際に避けて通れないのが、この問題。

Yahoo!知恵袋などの質問サイトでも、この質問が多数見られますが、全国的に多いのが、やはり、「雛人形は妻の実家が用意する」という昔からの慣習にしたがった回答。そうはいっても、夫側の両親も、「お金も口も出したい」ことも多く、両家の板挟みに悩むママ・パパの話、よく聞きます。

そんな場合は、両家からお祝いとして現金をもらい、両親が雛人形を購入。ひな祭り当日に両家の両親を招いて雛人形のお披露目を兼ねた食事会を開くというのも、現代流のスマートなやり方かもしれません。

初節句は女の子にとっても男の子にとっても、大きなイベント。祝いたい一心で、時には親せき内の見栄の張り合いもあってか、過剰に絡んでくる祖父母にうんざりすることもあるかもしれませんが、孫かわいさゆえの言動ととらえ、もらえるものはしっかりもらい、後は軽く受け流すぐらいの心構えでいいと思います。

どこで買う?


年末頃から、商魂たくましいデパートや大型スーパーから、人形展示会のお知らせなどが続々と送られてくるでしょう。デパートで買うメリットは、様々な人形メーカーが一堂に会すため、比較検討しながら好みの人形を選べる点。よく行くデパートがある場合、その店で一定額の割引が適用されることも多いので、個別の値段交渉の必要なく買えるのも便利です。

こだわりたいなら、人形専門店。やはり品ぞろえが圧倒的に多く、専門家の意見を聞きながら選べるのがメリット。価格交渉にも応じてくれることが多いです。ほとんどの専門店が授乳室や休憩スペースを用意しているので、乳児連れでも気兼ねなくじっくりと人形を選ぶことができます。

最近はネットでも手軽に注文できるようですが、個人的には、「一にお顔、二に衣装」と言われるように、一体一体違うお雛様。できれば実際の店舗に足を運んで自分の目で見ながら人形選びの時間を楽しみたいところです。

何を買う?


一口に雛人形と言っても、その種類は実にさまざま。

お内裏様とお雛様に三人官女、五人囃子などがそろった王道の七段飾りや五段飾りは、やはり、女の子を持つ親の憧れ。小さいころは子どものいたずらが心配ですが、ある程度成長した後、毎年一緒に飾り付けをするのも、親子にとってこの上ない幸せな時間でしょう。

ただ、現代の住宅事情にそぐわなくなっているのも事実。特に祖父母は張り切って七段、五段飾りを買いたがるものですが、自宅の事情を考慮して買いたいものです。

七段飾りは無理でも、お雛様はやはり段飾りじゃなくちゃ、という方には、お内裏様とお雛様に三人官女、お道具3つだけついた三段飾りという手があります。

さらにコンパクトなものをとなると、お内裏様とお雛様だけの親王飾りがいいでしょう。これなら、チェストやタンスなど、手持ちの家具の上に手軽に飾れて、出し入れ、お手入れの手間も省けます。

そして三段飾りや親王飾りに多く見られるのが、収納用の桐箱をそのまま飾り台として使えるタイプ。見栄えも良く、飾り付けや収納も楽で、昨今の売れ筋のようです。

ペットがいる家庭には、透明のケースに入ったケース飾り雛がオススメです。猫を飼っていて転勤族の我が家は、さんざん迷った末、このタイプにしました。引っ越し時に手軽に持ち運びができて、箱から出すだけで飾れるケース雛は、ホコリも気になりませんし、ズボラな筆者にはぴったりでした。

このほか、木製の胴体に愛らしい丸い顔を埋め込んだ木目込み人形や、つるし雛、スペインの老舗陶器メーカー・リヤドロの陶製人形のほか、最近ではリカちゃん人形などの人気キャラクターを模したものまで、雛人形は本当にバラエティ豊か。

もちろん、買うという選択肢だけでなく、布や粘土で手作りするのも素敵ですよね。そもそも雛人形は子どもの災いの身代わりとなるお守りなので、女の子一人に一つずつ用意するべきだというが古くからのならわしですが、愛着のある自分の雛人形を娘に受け継いでもらうというのも、ありだと思います。

ああ、それにしても、日本の伝統行事って、かくも素晴らしく、面倒くさいものよ……。


恩田 和(Nagomi Onda)恩田 和(Nagomi Onda)
全国紙記者、アメリカ大学院留学、鉄道会社広報を経て、2010年に長女を出産。国内外の出産、育児、教育分野の取材を主に手掛ける。2012年5月より南アフリカのヨハネスブルグに在住。アフリカで子育て、取材活動を満喫します!