桜が満開の3月末、年度が変わる。子どもたちの学年が上がる。新しい園や学校に入る。
そして、母たちの学年も、上がる。

子どもの学年/月齢による序列


例えば幼稚園。なぜか年長組→年中組→年少組のお母さん……と、見えない上下関係がある。あからさまにそれを盾にするような人はまれで、たいていは下の学年の遠慮気味なアプローチ、という形で現れる。役員や係で一緒に園の仕事をするともっとそれがはっきりしがちだ。


0才児の母の場合はさらに細分化され、これが生後○ヵ月という単位で発生したりもする。「えー、10ヵ月ですか! すごーいもうこんなことできるんだ。うちはまだ5ヵ月で。先輩ですねぇー」なんて具合に。

3ヵ月検診や離乳食講習会で知り合って、同じ月齢同士で親しくなることも多いし、そもそもこの時期の母親は月齢にとても敏感だ。2才頃にそろそろ学年の区切りを意識するようになるまでは、月齢が学年のような役割になることすらある。

たしかに、子どもの年齢が違えば育児のキャリアは違う。園に入っていれば、その園の行事や内部事情への詳しさは違う。そういう意味で、まぁ、差があると言えばあるわけだ。

母たちはこうして、自分の実年齢を超えた次元の序列に遭遇し始める。

「実は上の子がいる」場合、事態は複雑に


子の学年差の背後に厳然と存在するのが、「上の子」がいるかどうかだ。兄弟姉妹を同じ幼稚園に通わせることが多いから、入園して初めて年少組で一緒になったお母さんが、実は前年度まで上の子を年長組に通わせていた、ということが普通によく起きる。

知らずに「初めての幼稚園トーク」をしていたら、その園のベテラン母だった、なんてことになるし、年中組の母たちにしてみれば、この前まで年長組の先輩だった人が下の学年に来るのだから、何だか不思議な感じがするはずだ。

まだ息子が2才の頃に、公園で1才台の子を連れたお母さんと話していた時のこと。「ひとり目ですか?」と聞かれ、お、初対面で結構直球、と思いながら、「ひとりだけなんです~」と答えたら、「うちは上にもいて、今は幼稚園の時間だから助かるんですけど……」と返って来た。

「ひとり目育児トーク」全開になりそうな空気を察知して、自分が既に幼稚園児の育児経験者であることをさりげなく知らせてくれたのだろう。

そのやさしさをありがとう。育児経験者に気付かず、初心者の私がアドバイスめいた言葉でも発していたらと思うと、あぁ恥ずかしい!

「ひとり目ですか?」は育児クラスタではタブーじゃなく、連れている子の年齢では計れない育児キャリアを共有するのに便利で、むしろ挨拶程度の役割をしているということを、その時実感した。

ときに絶対年齢も影響する


さらにすべてを超えたところに、母親の絶対年齢、というのがある。たまたま母仲間のうち年齢が上で、肝っ玉母さん的な風格が漂っていたり、4~5人の子育て経験があったりする人がいると、何となく、別格になる。逆らえないボス的存在ということでは決してなく、人生の先輩というか、子育ての師というか、そういう頼れる存在、になりやすい。

逆に、ずば抜けて若かったりすると可愛がられたりもする。言われる方は心地良くないかもしれないが、いいよね~20代!と、ときにうらやましがられたりも。

他の条件も影響するから必ずしも作用するわけではないが、こんな要素もあるのだ。

序列が解体される心地よさ


正直、子どもの年齢による序列なんてものに強くこだわるのはくだらない。個人のバックグラウンドは子どもの年齢と無関係に様々で、趣味も特技も多様なのだから気にせず付き合えばいい。

だからと言って、そんな壁を越えようと無理に飛び込むのも現実的には難しい。初対面で丁寧語で言葉を交わし始め、会う機会が増えてだんだん親しくなり……という通常の人付き合いのステップを考えれば、ごく普通に大人同士の付き合いをすればいいだけの話だ。

たまたまよく顔を合わせたり、園の係や役員仕事がきっかけである程度親しくなると、互いの年齢がわかって年代別に何となく盛り上がったり、気が合ったり、趣味が近いことがわかって急速に仲良くなったりするものだ。その方が、健全で、おもしろい。せっかく親しくなった時に、子どもの学年の壁を持ち出したらもったいない。

「○○くん/ちゃんママ」のように子どもの向こう側の母親としてではなく、「○○さん」と呼べる関係は心地よい。きっかけが子どもでも、子どもの年齢に関係なく気楽に話し合える友人に一人でも出会えたら幸せなことだ。


たまたま自身の生まれ年が同じ人が多く「○○年会」のように分科会的につながりを深めたなんて話を聞いたばかり。そうか、私は昭和48年だから……EKG48(イークージー48)とか、誰か、結成、しませんよね……。


狩野さやか狩野さやか
ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。