「女性手帳」の件でなにかと話題になった、政府の有識者会議「少子化危機突破タスクフォース」。
メンバーは、先ごろ「待機児童ゼロ宣言」をした横浜市の林文子市長や、女性誌『CREA』前編集長の井上敬子氏のほか、ミスインターナショナル2012の吉松育美氏、タレントの早見優氏、さらに日本マクドナルドCEOの原田泳幸氏や、サッカー解説でもおなじみの日本サッカー協会理事の北澤豪氏など、バラエティあふれる面々で構成された。

くだんの「女性手帳」のすったもんだ報道のせいで、実際、どんなことが話し合われたのかが気になるところであったが、このほど同会議体が作成した、「『少子化危機突破』のための提案」が、5月28日付けで少子化担当大臣に渡されたというので、その内容を「ざっくり」まとめてみた。

提言内容としては、「子育て支援」と「働き方改革」を一層強化するとともに、これまで手薄だった「結婚・妊娠・出産支援」を対策の柱として打ち出すというものであった。

これらの対策の狙いは、結婚・妊娠・出産・育児の「切れ目ない支援」、「第1子・2子・3子以降」のそれぞれに対応した支援の総合的な政策の充実・強化だ。

まず、「子育て支援」の強化としては、都市部を中心とした待機児童解消の加速化を掲げている。意欲のある地方自治体を強力に支援し、株式会社を含む多様な主体で施設整備を推進し、保育ニーズのピークを迎える平成29年度までに約40万人分の保育の受け皿を確保するという。

次に、「働き方改革」の強化としては、女性が仕事と子育ての二者択一を迫られている現状を鑑みて、男女ともに長時間労働の抑制や働き方の柔軟化などの改革を進める。

また、現行育児・介護休業法の趣旨の徹底化を図り、希望すれば子どもが3歳になるまで、男女とも育児休業や短時間勤務を取りやすいよう企業に働きかける。

さらに、非正規労働者も育児休業を取れる職場環境づくりを進める。特に課題の多い中小企業への配慮が重要であるとし、育児休業者の代替要員確保のための助成を行い、企業の実情に応じた取組を促す。

そして、「結婚・妊娠・出産支援」としては、結婚を希望する者が結婚できるように、若者の経済面安定の確保に向けた支援を継続するとともに、新婚世帯に対する経済面などの支援を検討し、税制面でも支援していく。

また、妊娠・出産、子育てについて、男女ともに適切な時期に正確な情報提供を行い、啓発普及を図る。当然ながら結婚や出産は個人の決定に基づくものであり、行政における取組は、自己決定の尊重を支援するのが基本となるという。

さらに、産後の心身の不調や孤立感は、乳児期に多い児童虐待や、第2子以降の出生に影響を与えうることから、妊娠期から地域で支援していく仕組みを整備する。

具体的には、現在活動していない助産師等を活用したり、シニア世代の「祖父母力」を活用して、母親の話し相手になるなどの支援の導入を検討する。

これまでに強く批判がよせられた「女性手帳」については触れられておらず、男女ともに啓蒙していくための方策を、今後研究班と検討していく方針となったようだ。

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長年解消されないままの待機児童問題、男女の働き方の意識改革と企業による環境づくり、産後のケアなど盛りだくさんだが、一点どうしても気になるのは、結局、結婚を前提とした対策しか設けられていないことである。

しかしながら、この提案がこのまま実現すれば、かなり子育てしやすくなるであろう。これらを政府がどれだけ導入できるか、今後に期待が高まる。改革の途中で歪められないことを祈るばかりだ。

【参照元】少子化危機突破タスクフォースの開催について
http://www8.cao.go.jp/shoushi/taskforce/


山本 佑美山本 佑美
フリーライター。在宅テレビ評論家。インターネットを軸として結婚、出産、子育てにまつわるあらゆる情報を収集、分析、発信している。自宅を中心に精力的に活動中。家族は夫と2歳の娘。江東区在住の愛鳥家。うずらとインコの飼育経験有り。