OECD(経済協力開発機構)は、OECD加盟国をはじめ、世界各国の教育の現状を測る統計を収録した報告書「図表でみる教育2013」を公表した。本稿では、発表資料から日本に関する特徴的なデータをいくつか抜粋する。

まず報告書によると、教育機関に対する公的支出のGDP比は、2010年においてOECD平均が5.4%であったところ、日本は3.6%であり、これは比較可能なデータのあるOECD加盟国のうち最も低い数値であった。

また、目立ったデータとして、日本の教員の法定労働時間は他のOECD加盟国より長いものの、授業時間はOECD平均より短く、すなわち教員が授業以外の業務に割く時間が多いことが浮き彫りとなった。授業以外の業務として、生徒の課外活動の監督、生徒指導、事務処理などが含まれると指摘している。

そして留学に関して、2011年において、38,535人の日本人学生が、海外の高等教育機関に在籍しているが、この数字は2005年に62,853人に達して以来低下し続けているそうだ。これは日本の高等教育機関の学生のうち、わずか1.0%しか海外で学ぶことを選択していない計算になる。ちなみにOECD加盟国全体では、高等教育に在籍する学生のうち、2.0%が海外に在籍しており、EU加盟国全体に限れば、この割合は3.6%となっている。

さらに報告書では、日本においては、就業における顕著な男女差が存在することを指摘している。
2011年において、88%の男性が就業しているのに対し、女性は63%しか就業しておらず、これはOECD加盟国中5番目に大きな差となっている(OECD平均は男性80%:女性65%)。

とくに、2011年のデータにおいて、大学型高等教育の学位を持つ女性の68%が就業しているが、これはOECD平均の79%とは大きな差がある。ちなみに、同じく学位を持つ男性は92%が就業しており、こちらはOECD平均の88%を上回っている。

さらに、日本の就業している女性は、「非自発的パートタイムで働いている」「仕事に対して学歴が高すぎる」など、能力以下の仕事に従事する傾向があることを指摘している。2011年において、就業している女性の34.8%がパートタイムで働いており(OECD平均は26.0%)、20.7%が臨時労働者であった(OECD平均は12.5%である)。

この状況に対して、女性の労働市場参加を高め、能力以下の仕事に従事する状況を抑制するためには、「企業の労働慣行や家族政策における変化が重要な役割を果たしうる」と提言している。

「図表でみる教育2013」OECD東京センター
http://www.oecdtokyo.org/theme/edu/2013/20130625eag2013.html