筆者がNHKの受信料をいささか嫌々ながらも真面目に支払っているのは、Eテレのためである。

子どもを持って以降、Eテレにだけは足を向けては眠れない日々が続いている。
Eテレさまさま。Eテレが無いと育児も家事も滞る。すぐにだ。

『0655』の朝から晩(『オトナへのトビラTV』くらい)まで、Eテレ三昧。Eテレの他は、テレ東の『ゴッドタン』とFOXの『アメリカン・アイドル』くらいしか積極的にテレビを観ることのない私でも、Eテレは別格。Eテレ無しではもう生きていけない気さえするほどだ。いや、決して気のせいでない気もする。ともかくEテレは偉い。

今年11歳になる長女が乳児の頃、シュタイナー教育にハマりかけたものの脱落したのも、Eテレから母たる私がとうとう足抜け出来なかったからという理由に尽きる。特に私は『いないいないばぁっ!』のワンワンが好きだ。「5歳の男の子」という皆の忘れ果てている設定の先にある超リアリズム・オッサンオネェキャラ、あの得体の知れない魅力に捕われてならないのだ……。


さて。そんなEテレ(の子ども向け番組)の熱心なファンである私だが、いわゆるこの手のナマのステージ関係に足を向けることをこれまで何となく避けていた。
……何となくというか、まあ、はっきり言うと、面倒くさかったからである。

実は「さいたまスーパーアリーナ」は筆者宅から徒歩圏だ。それでも面倒くさい。子連れで観劇(?)……無い。無理筋。ねぇわ。だが時間は無慈悲に経過する。子どもはガンガン育つ。

今夏、ハッとしたのだ。気付けば、長女はもう11歳、思春期に片足突っ込みナウであるし、赤ん坊だと思っていた次女も小学1年生になってしまい、もっと赤ん坊だと思っていた三女すら、3歳目前になっている。「おかいつ」のステージに行くなんていうチャンスはもう、人生通してもしやラストかも知れない……。
行っとくか。とりあえず。1回くらいは。えい!

で、家族5人分あまり悩まずにチケットを押さえたのだが、ソッコー「えー何で5枚も買ったの?!」とのブーイングに遭う。
おかいつに興味のない夫と長女(やだそんなの行きたくない私もう5年生だよ恥ずかしい)は、まあ想定内であったが、ビミョーな立場の次女・小1が、どういうリアクションになるのかやや不明であった。でもまあ、1時間程度の興業なのだし、皆、三女のために我慢しろ。案外楽しいかもよ? 全員出席な! 決まりっ!


というわけで、満を持して、盂蘭盆も終わった8月18日(日)夕方。前日から6回続いたステージの最終回に、近場住まいの我々は赴いた。開場時刻を過ぎてから家を出ても、余裕の到着。今日は2歳をベビーカーに乗せてこなかったが、それが大正解だったことを早々に察する。

「さいたまスーパーアリーナ」手前のけやき広場に特設された、「ベビーカー預り所」。そこに累々と居並ぶ数多のベビーカー……。そりゃそうだよなあ、持ち込み不可に決まってるよ。あぶねえもん。こんなもん持ってスタンド入れねえもん。

でも、きっとここで「ゲッ!」と固まっちゃった親御さんも多いんじゃないかなあと容易に想像できる。歩かせれば歩ける年齢ならともかく、荷物ごっそり積んで、かつ歩けない乳児連れだったら軽く詰みそうだ。みんな気をつけて~!


「どーもくん」との記念撮影に際して2歳児が怯えて泣くなどのハプニングもありつつ、開演10分前なので早々に会場に入る。溢れる子連れの波をかき分け、かき分け……席を探す。我が家は、長楕円形のスーパーアリーナ客席で言えば、0の下の方のスタンド席で、まあ良くも無く悪くも無い感じであった。

ステージは中央にあり、十字に花道が走っている。ステージ真上にはオーロラビジョン。アリーナ席(桟敷状態)とスタンド席の間に移動用通路、その花道との際にはジャッキアップ設備……っていう感じで、開催前から親は、「あ~ここをあーなってこーやってそーなるんだろうな」と演出を推し量ることができて、まあだいたい合ってた。


さあ、開演である。照明……音響……大変良い。オープニング。光GENJIもかくやというローラースケート兄さんたちのパフォーマンスと、ダンスお姉さんたちのフラッグパフォーマンスは、大人は「おお!」という感じだが、子どものテンションは上がらない。

しかし程なくメインキャラクターたちがぞろぞろ登場するにあたって、既に半腰で「キエエエエエエ!!!」と奇声を上げているのが我が家の小学1年生なのには驚いた。「おかーさん!!! ほんものだよ!!! ほんものの!!! お兄さんお姉さんだよ!!! あっ、あそこ見て!!! キャァァァァァア!!!」

我らがワンワン登場である。それまでただならぬ周囲の雰囲気に呑まれて硬直していた2歳児も、目を見張って「ワンワン!!! ワンワンだ!!!」と破顔一笑する。ワンワンすげぇ。おかーさんも嬉しいよ~ワンワーン!!!


公演は、「映像出演」であるララパの「お願い」をみんなで叶えよう! というストーリーを軸に、ライトな寸劇あり、歌あり踊りあり、ワンワンの空中浮遊(!)あり、と盛りだくさんで、Eテレ教育番組の専売特許である短時間攻勢で、子どもを飽きさせないようにしている。うまくできてるなあ、すごいハイクオリティ。さすがだな~NHK。とにかく隙がない。

とはいえ、我が家の2歳児は、開始後30分を前に「もう帰りたいー」と言いだしたり、目の前に座っていた0歳児はとっくに気絶していて、お父さんが切なそうに抱いたままであったり、桟敷席でないスタンドでは踊るに踊れない1歳2歳の子どもたちが席に座らせられたままでだんだん退屈してぐずっていたりで、公演時間1時間、と言うのもちょうどいいというより少し長い印象だったのは否めなかった。

子連れ観劇道、なかなか険しい。私が11年避けて通って来ただけのことはある。「おとなしく座って楽しむ」スキルが、お客には必須である。それは当然、お子さまであってもである。

およそそのせいか分からないが、1万5千人近いお客さんたちの質は総じてとても良かった。いわゆる「モンスター」とかの気配がなかった。お子さま含めてマナーが良い! たいへん印象的であった。


プログラム後半はわりあい駆け足的に歌のメドレーなどがありつつ、フィナーレは華やかにも「さくっ」と終わって、子どもたちは物足りないようなホッとしたような。でもすごいギュッと詰まった1時間、「楽しかったー!」と満面の笑顔で会場を後にしたのであった。

ちなみに物販に弱い私は、つい帰途ひっかかって「ワンワンTシャツ」など購入して帰ってきた。サイズアウト寸前なのは分かっているんだけど、だって、ワンワン可愛いんだもん……。

ああ、毛がフサフサだったな、リアルワンワン……。でも脇にいる「ことちゃん」が育ち過ぎてて、なんだか一回り小さく見えた。ワンワン、本当は幾つなの? ワンワン……。


【追記】私はあまり好きではない「メーコブ」だが(記事参照)、リアルで見ると割合に可愛かったので追記したい。しかし真正面から見ても、どうみても、ウシだった。ウシ以外の何物でもなかった。

藤原千秋藤原千秋
大手住宅メーカー営業職を経て2001年よりAllAboutガイド。おもに住宅、家事まわりを専門とするライター・アドバイザー。著・監修書に『「ゆる家事」のすすめ いつもの家事がどんどんラクになる!』(高橋書店)『二世帯住宅の考え方・作り方・暮らし方』(学研)等。10歳6歳2歳三女の母。