子どもを育てている親として、食べ物の安全はとても気になる話題。その安全を脅かすもののひとつと声高に主張されているのが、遺伝子組換え食品だ。

アメリカのとうもろこしや大豆は、ほぼ遺伝子組換えされていると言われるが、「遺伝子組換え食品は安全」との意見もあり、アメリカの連邦法では遺伝子組換え食品の使用表示を義務付けておらず、各州の法律でも義務付けているところがない。


今のところは生産者による自主申告が唯一の情報でしかなく、遺伝子組換え食品を避けたい場合は、"Non-GMO" などと表示された食品や、オーガニック食品を積極的に取り扱っている店やレストランを利用する、という自衛作戦を取ることになる。

筆者が在住する米ワシントン州・シアトルでは、州内で生産されたオーガニック食品が多く出回っている上、『NON GMO PROJECT』( http://www.nongmoproject.org/ )というプロジェクトに参加している商品もたくさん出回っているので、日常生活で困ることは今のところない。

さらに現在ワシントン州では、遺伝子組換え食品の表示を義務付ける条例を住民投票で可決させようという運動が展開中だ。

しかし、同様の法律は、昨年11月にカリフォルニア州で否決されたことから、これも同じ道をたどるのではないかと心配されている。

一方で、人気の高い食料品店やシェフ、農家・牧場、そしてアイスクリームブランドとして名高い『Ben & Jerry's』などの大企業がこれに賛同する意思を表明したり、大手食料品スーパーマーケットチェーン『Whole Foods Market』も「2018年までに当店で販売する製品すべてに表示を義務付ける」と発表したり、たくさんの食料品店が遺伝子組換え食品を拒否する発表を続けており、反対の立場を明確に打ち出している状況である。

もちろん、この表示義務付けに反対する側も負けていない。「遺伝子組換え食品は安全」「表示義務付けは生産者にとってコストが高く、食品の値上がりにつながる」などと主張し、遺伝子組換え食品を作るモンサント社をはじめ、こうした食品を使用している企業からは多額の寄付がなされている。

シアトル最大の日刊紙『シアトル・タイムズ』紙の10月1日付けの記事によると、反対派が運動資金として寄付した金額の合計は1,720万ドルにも膨れ上がった。しかし、かえってこの状況は、遺伝子組換え食品に対する懸念を強めるような気がするのだが……。

大野 拓未大野 拓未
アメリカの大学・大学院を卒業し、自転車業界でOEM営業を経験した後、シアトルの良さをもっと日本人に伝えたくて起業。シアトル初の日本語情報サイト『Junglecity.com』を運営し、取材コーディネート、リサーチ、ウェブサイト構築などを行う。家族は夫と2010年生まれの息子。