乳幼児連れの外出の荷物はすごく多い。
おむつグッズ・着替え・ミルクグッズ・離乳食・おやつ・抱っこツール……どんなに最低限にしぼったとしても、バッグはいつもパンパンだ。

さて、冬のお出かけの厄介者となるのが、上着だ。真冬の外出には必需品だけれど、一旦室内に入るとどこもかしこも極めて暖かい。室内の遊び施設、デパート、電車、病院……脱いだ瞬間から、大人と子ども全員分の上着が丸ごと、もさっと荷物になる。


■上着の山出現


夫婦と子どもで出かけた場合、どちらか一方がある程度の身軽さを確保して、子どもを抱っこしたり手をつないだり動きを追ったり……と、子ども管理メインの役割を担うことが多い。もう一方は、面倒な荷物を一手に引き受ける。

大人の真冬の上着のボリュームは、2人分そろうと大きさも重さもかなりのものだ。そこに小さい子どもの上着、誰かの手袋やらマフラーやら小物がポロポロ。そしてベビーグッズ満載のバッグ。

もう、これは、なんだかジャンケンで負けた罰ゲーム的荷物持ち状態なのだ。

屋内施設のベンチでは、うず高く積まれた上着の山の陰に、荷物番の父か母が疲れた顔で座っているし、無人のベビーカーは全員分の上着でこんもり山のように盛り上がり、バランスを崩しバタンバタンとよく倒れる。

■子ども向けの室内は、暑い


子どもを連れて行く屋内施設は、たいてい、とても暖かくしてくれている。転じて、ものすごく、暑い。真冬とはいえ、分厚いトレーナーやフリースなんて、多分、子どもには暑すぎる。

長袖Tシャツで充分な暖かさの中で、お洒落なふわりとした冬服に身を包んだ小さな子どもたちが、「脱がせ忘れ」られたまま、真っ赤な顔で汗をかいていることは、結構多い。

何せ大人にとってもすごく暑いレベルなのだ。ただでさえ乳児の頃は抱っこで密着している時間も長くてもともと暑いから、親もTシャツ1枚になりたいくらいのことが多い。

だから、「邪魔だから我慢してコートを着たまま」過ごすのは短時間で済ませたい。短時間でないときつい。

■対策1 ―― 入れて持つ


子どもが一緒だと、とにかく両手をあけたい。コートを手にかけて持つのはすごく邪魔で、とっさの時に困る。だから、息子が小さい頃は大きなエコバッグを携帯して、上着を脱いだら詰め込んで肩にかけることにしていた。

でも、どんなに大きなエコバッグだって、大人1人分と子どもの上着が収まれば上々で、大人2人分のコートは入らない。全部収めるには大きなゴミ袋くらいの大きさが多分必要で、それじゃあサンタクロース状態だ。

■対策2 ―― 入れて持たせる


なんだか最近私が身軽なのはなぜ?と思ったら、子どもが自分でリュックを背負って歩けるようになったからだった。リュックの中身は限りなく空っぽのままで出発。

電車の中や目的地では、子どもの上着は本人のリュックに詰め込む。ついでに私の手袋などもそこへ。そうすると、もうそれだけでだいぶすっきりする。

年齢が低くてもリュックの中身が軽いから負担にはならないし、むしろ「リュックを持つ自分」に得意気だ。

でも、体を使う遊びになるとリュックは邪魔だし危ないから、そのリュックを持つのはやっぱり親の役目になる……。

■対策3 ―― 着せ方を変える


一番外側の上着だけでなく、トレーナーやパーカー類も脱ぐと荷物になる。子どもが結局室内で長袖Tシャツ1枚になるのなら、一番外側を分厚い上着にして、中はTシャツ重ね着レベルにおさえてしまうのも手だ。

「寒い外」か「暖かい中」に対応できればその中間は必要ない外出、というのも意外と多い。

大きさを抑えるために、フードを取り外して着せたり、数を減らすために全員マフラーなどの小物はつけないことにしたり……そういうちょっとした工夫も意外と効果がある。

■クロークが欲しい!


邪魔ならコインロッカーに入れておけば?……たしかにその通り。しかし、美術館や博物館では当たり前のあのうれしい「100円が戻って来る」コインロッカーが、どこにでもあるわけではない。

商業施設では、コインロッカーがあっても数百円。もともと結構お金がかかる施設に出かけているから、正直なところ、ささやかな節約をしたくなる。

子どもがらみの荷物は持ち歩いていないと困るものが多いから、結局上着だけでいいんだよなぁ。ホテルのクロークみたいな……とまできちっとしてなくていいから、冬季限定、上着の簡易預りみたいなものがあったら本当に助かる。

■混雑緩和にも


最近は、多くの施設で当たり前のようにベビーカー置き場が設けられ、時には持ち込み制限もして混雑緩和対策をしている。

真冬の上着も、屋内施設の混雑をそこそこ助長していると思うのだ。複数の上着を抱えた大人の体積は、通常の1.5倍くらいに膨らみ、休憩所のベンチを一席分多く占拠する。

あの、施設内を見渡すと上着の小山がそこかしこにある状態が緩和されたらだいぶすっきりしそうだ。

■これはどうだ?


何かもっとましな自己対策は……そうだあれ、布団圧縮袋! 実家でよく掃除機でウィーンと吸い込んでぺっちゃんこにしていたあれだ! あのお仲間の掃除機不要の衣類圧縮袋!!

到着したら、おもむろに上着を圧縮袋に入れてくるくるぎゅーっと空気を絞り出す。ふわふわ系なら効果抜群に違いない。ぺらぺらシート状になってしまえば、余裕で家族全員分の上着がスマートに大きめエコバッグに納まりそうだ。

圧縮袋なら数枚持ち歩いてもきっとかさばらないし、繰り返し使える。
あぁ、息子がもっと小さい時に気付けばよかった! どなたか、試してみませんか? 既にやっている方もいるかも……?

狩野さやか狩野さやか
ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。