つい先日のこと、『5時に夢中!』(※東京都のローカルテレビ局「TOKYO MX」の看板情報番組)を見ていたところ、番組内で夕刊紙「日刊ゲンダイ」の記事が紹介されていた。

ハラスメントもここまで…上司を無口に追い込む「パタハラ」って何?
http://gendai.net/articles/view/life/147858

以下、記事より引用。

―― パタハラとは、パタニティー・ハラスメントの略で、英語でパタニティー(Paternity)は「父性」の意味。つまりパタハラとは、男性が父性を発揮する権利や機会を職場の上司や同僚などが侵害することをいうようだ。


パタハラ。てっきりマタニティ・ハラスメントとパパを掛け合わせた造語かと勘違いしていた。世の中色んな名前を考える人がいるなあ、なんて思っていたところ、パタニティなる英単語があることに驚き。マタニティと対になる言葉のようだ。


でもちょっとパタハラって名前がよくない気がする。
パタハラ、と聞いても連想するのは、パタリロ、パタパタママ、あとX JAPANのPATA……ちょっと響きがポップすぎるというか、キャッチーすぎるというか、いまひとつ真剣味に欠けるように感じる。「○○ハラ」という言葉が蔓延しすぎなせいだろうか?

それはさておき、この記事について、『5時に夢中!』の番組コメンテーターであるコラムニスト、マツコ・デラックスさんと、株式トレーダー、若林史江さんの意見が非常に印象的だった。(以下、要約)

(若林さん)
「この記事では『パタニティ・ハラスメントに関する調査』が時代に逆行しているような結果だと言っているが、全く驚かない。育児休暇については現状の企業や体制、日本の意識レベルは全く追いついていないし取りたくても取れない、取らなくてもいいと思っている男性が多いのではないか。数年前、知人の男性が出世街道にいたにも関わらず育児休暇を取った。その会社は男性の育児休暇取得を推進していたが、職場復帰した結果はやはり出世街道を外れた。

今回の都知事選でも女性の活用、女性が働きやすく職場復帰できる状態を作るということが論点に上がっていたが、男性の育児休暇取得よりも大事なのは、子どもの手がかからなくなる小学校中学年か高学年くらいまで、育児と仕事を両立しなくてはいけない女性の職場復帰後のやりやすさを整えることではないか」


(マツコさん)
「男性の育児休暇の体制を整えたからよくなるかというと分からない。自分たちの小さいときはこんな制度があったわけではないしお父さんは家にいないのが当然だった。そうやって育った人間が社会に出ているという現状もある。

この結果を皮肉るような報道の仕方もよくない。こんな言い方をするから実際育児休暇を取りたい男性も余計に肩身の狭い思いをすることになる。極端な言い方をすると、子どもが赤ちゃんの時期は父親はいなくてもいい、役に立たない。それよりも女性がリスクなく休みを取れる体制を整える方が大事」


おふたりとも、男性の育児休暇取得よりも女性の復職後の働きやすさに焦点を当てるべき、と主張している。ちょっと論調が強いのは、おふたりのキャラクターと番組の性格によるものでもあると解釈しているので、至極まっとうで正論という印象を受けた。

しかし、やはり男性が育児休暇を取得しやすくする、またそのための意識改革も決して軽視はできないのではないだろうか。

一口に「女性の活用」と言っても、人によって関心事や課題は異なってくるし、それぞれの問題の争点やベクトルも異なる。保育園になかなか入れない人にとっては真っ先に待機児童を解消して欲しいだろうし、保育園は見つかったものの復職後のキャリア形成に悩む女性はよりフレキシブルな働き方を求めるかもしれない。

子育てと仕事の両立は何とかこなせていても、夫の協力を得られないことが不満な人もいれば、何らかの事情で夜間働かなくてはいけない人については、深夜も対応してくれる保育園が欲しいと思うだろう。非正規雇用のため、そもそも産休や育休を取得できないケース、というのも問題になっている。


一方、政府は少子化の原因が未婚率の上昇、晩婚、晩産化によるものだと指摘しているため、昨年は女性手帳の発行だとか婚活支援だとか、違和感アリアリな対策が発表されていた。

根本的に政府が問題視していることが個人レベルに当てはまるわけではないのは十分承知しているが、安倍総理の「育休3年」表明についても「だから違うんだってばー!!!」と机をバンバン叩きたい気持ちでいっぱいだった。

じゃあどうしてほしいんだろう? 結局何が問題で、どうあるのが理想的なんだろう、と考えてみたのだが、子育てにしても、女性の活用にしても、社会問題となっている事柄や言葉が溢れ返り過ぎて、情報の「交通整理」みたいなものがうまく行われていないように思えるのだ。

そして交通整理がされないまま、それぞれの議論が進んでいって収拾がつかなくなっていっているような気がする。問題の概要や相関、優先度が分かるような全体図があればなあ。ちょっと自分で書いてみようかとノートとペンを取り出したが、すぐ行き詰まって早々に投げ出してしまった。


女性誌などでは「婚活」に次いで「妊活」という言葉もメジャーになった今、「保活」「卵活」「温活」なんて言葉も後続で登場しているし、「モラハラ」、「マタハラ」に次いで今回の「パタハラ」。どこまでみんな本気で取り扱っているんだろうと首を傾げつつ、毎日ネットニュースを眺めている。

そして、自分自身もキャッチアップに必死になりすぎて、若干混乱しているのも事実。
ちょっと今は、むやみに情報を追い求めるのではなくて、何が自分にとって必要なのか、目下の自分の悩みや問題は何かなのか、くらいに留めておいたほうが良いのかもしれない。ここらへんで一旦距離を置いてみるのも手だ。

と思った矢先に購読しているニュースサイトのメルマガを受信……。気になるけど今日は開封せずにおこう。明日じゃ早すぎるかな。来週くらいに読んでみようか。忘れたら忘れたでもういいやってことで!

真貝 友香(しんがい ゆか)真貝 友香(しんがい ゆか)
ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。現在は夫・2012年12月生まれの娘と都内在住。