大人のみなさんに送る、乳幼児向け番組ガイド。
前回は『おかあさんといっしょ』『いないいないばあっ!』『みいつけた!』(NHK Eテレ)の3本を取り上げましたが、今回はもう一歩踏み込んだ内容をお届けします。

【関連コラム】はじめての乳幼児向け番組ガイド2014
http://mamapicks.jp/archives/52151992.html

■ポップな子ども番組とそのルーツ


筆者が20代のころに大好きだった『テレタビーズ』『パワーパフガールズ』など、海外の子供番組復活のニュースが入ってきて、日本での放映はあるのかが楽しみな昨今です。そういった“ポップな子ども番組”は日本にもいろいろあり、90年代以降が顕著なように思います。

たとえば『ウゴウゴルーガ』(1992~1994年・フジテレビ系列ほか)などは、当時の最新技術と若手クリエイターの実験の場としても重要な存在となることもあるのですが、同時期に放送されていた『ポンキッキーズ』(1993~2001年、2005~2006年・フジテレビ系列)も忘れられません。


スチャダラパーの『GET UP AND DANCE』をベースにしたオープニングテーマが使われ、メンバーのBOSE、あるいはピエール瀧らがレギュラーになり、小沢健二がゲストに出て、モダンチョキチョキズの曲が使われるという、今にして思えばカオスなキャスティングになっていたのを、多感な時期に楽しみにしていたのを思い出します。

さらにさかのぼって『ひらけ!ポンキッキ』(1973年~1993年・フジテレビ系列)では、田原俊彦ら、その時の旬な歌手が歌うことも多く、ビートルズなど国内外の楽曲をキャッチとして使っていました。
(そのほかの使用楽曲には、ドイツの電子音楽グループ「Kraftwerk」、バンドでは「有頂天」やテクノポップの「プラスチックス」、さらにはタモリまで!)


そう考えると、じつは大人がそっとニヤニヤする子ども番組作りは、今に始まったことじゃないことがわかります。そしてそういう番組で育った子どもが、90年代のカルチャーシーンを過ごして現在親になっているわけなので、私たちの子ども世代も、今の番組を見て育ったらどうなるのかが非常に楽しみであります。

■自由すぎる!? ――BSの番組たち


NHKの子ども番組はEテレ以外にもBSプレミアムでいくつか放送されているのですが、どれもなかなかのツワモノです。

●『ワラッチャオ!』
(NHK BSプレミアム 毎週日曜午後5:30~6:00ほか)

今年3月には大人のための『夜のワラッチャオ!』も放送され、すっかり「おねえさん」が板についてきた桑子真帆アナウンサー(NHK広島放送局)が、単独で新聞の取材を受けるなど、じわじわと人気が広がっているのを感じています。

先日放送された、ゆるキャラとレギュラーキャラクターとの大運動会では、ぜったい運動に適さない形状のみなさんがはりきって出場するという、大人もじゅうぶん楽しめる内容でした。

来年もどうかこのままで面白い番組を! そして誰からも怒られませんように……。

【参考コラム】『ワラッチャオ!』に見え隠れする『ウゴウゴルーガ』の影
http://mamapicks.jp/archives/52130413.html


●『おとうさんといっしょ』
(NHK BSプレミアム 毎週日曜午前8:00~8:30ほか)

今年2年目を迎えたこちらの番組。『おといつ』の略称もそろそろ定着してきたでしょうか。当サイトでも過去数回取り上げておりますが、みどころはなんといっても「イチジョウマン7」。

特別編でイチジョウマンブラック(演・浪川大輔)なる謎のキャラクターが登場しており、「アナキン・スカイウォーカーの声優だった人が“ダークサイドに堕ちていく役”をやっているという小ネタなのかな?」と想像しながらも楽しめます。

シュッシュ(声・操演:柳原哲也)とポッポ(声・操演:野口かおる)のコント部分も、すっかり中の人とキャラクターが一体化してきて、いい座組になっているように感じます。

ワンワン、サボさんなど、近年のキャラクターは声の人が操演を兼ねることが増えていますが、そのほうが役者とのコント部分やコンサートを考えたときに機動力がいいからなのだろうか……と考えたりしますが、実際はどうなのでしょうか。

【参考コラム】Eテレ新年度「ゆく番組くる番組」(2013年度版)
http://mamapicks.jp/archives/52107105.html


●『ワンワンパッコロ!キャラともワールド』
(NHK BSプレミアム 毎週日曜午前8:30~10:00)

NHKの歴代のキャラクターたちが宿泊しにやってくる「ワンパコホテル」を舞台に、ほのぼのさん(山崎樹範)と娘のめいちゃん、ワンワンが、お客様たちをもてなしながら、どたばたの大奮闘……というのがあらすじですが、だいたいがスタジオでの“レジェンド着ぐるみ”たちと山崎樹範による、親世代向けのコントです。

ワンワンにチョーさんが会いに来たり、はに丸とワンワンが並んだときに一瞬だけ『ONE PIECE』のような語り口になったりと、中の人が誰かをわかっていると3倍楽しめるのではないかと思います。

番組では視聴者からのリクエストを受け付けており、懐かしい番組や意外な曲などを再発見。UAが出演していた『ドレミノテレビ』(2003年~2005年)や、『みんなのうた』でかかっていた、タモリが歌う『ミスターシンセサイザー』(1980年)など、20~40代の幅広い“親世代”にマッチする内容となっているのではないかと思います。

さらに、「意外とすごいぞ!どーもくん」。
“想像を超えたチャレンジをするキャラクター”には、宇宙空間も経験している、あの有名な緑色の恐竜の男の子(5歳)……という存在があるわけですが、どーもくんがなかなかどうして負けていません。

想像してください、土手をダンボールのそりで滑り降りるどーもくんを。ダンスチームに混ざって発表会に出るどーもくんを。あの体型で無茶を繰り返すどーもくんを……。


ちなみにどーもくんは、スタジオパークなどにて「比較的簡単に会いに行けるアイドル」なので、もしご興味をもたれましたら会いに行ってみてはいかがでしょうか。

■そうだ、会いに行こう!(いっそのこと出よう!)


「会いに行ける」という話をしたところで、キャラクターたちに会いたくなったらどうしたらよいのか、番組別にご紹介します。


●『おかあさんといっしょ』 難易度:5

スタジオパークのイベントにポコポッテイトの3人が登場することがありますが、3ショットになることはまれです。そこで番組の収録に応募してみてはいかがでしょうか。現在はハガキでの応募ではなくなっており、NHKネットクラブプレミアム会員への入会が必須となります。応募期間は3歳のお誕生月~4歳のお誕生月の13ヵ月間。

じつは、収録の模様はスタジオパーク内から、一般の方でも運がよければ見ることができます。もちろん応募に当選してスタジオに入らないと、至近距離で見たり触ったりはできませんが、見学窓からもそこそこ見えました。週の前半、お昼くらいに行くと、収録の合間にブラッシングされて気持ちよさそうにしているムテ吉も見られるかもしれません!

★参考1
放送される曜日によって、お子さんの登場回数が異なります。月曜と金曜は子どもの参加がないコーナーが入り、月曜は祝日に当たると夕方の放送がなくなるケースもあります。火~木に当たるとラッキー。まれに東京の収録で土曜日の放送に当たるケースも?

★参考2
「おかあさんといっしょファミリーコンサート」が毎年全国で開催されます。地方公演は東京と内容が異なるぶんチケットが取りやすいかもしれません。

さらに、毎年夏休みに行われる「おかあさんといっしょスペシャルステージ」は、番組をまたいだキャラクターも出てきますし、一般販売でもチケットが購入できるため、入門編としては最適ではないかと思います。

コンサートに行かれる場合は『ぼよよん行進曲』のサビ「♪ぼよよよ~ん」のところでお子さんをたかいたかいする“お約束”だけでも覚えていくときっと楽しめますよ!

【参考コラム】はじめての「おかあさんといっしょ・ファミリーコンサート」ナビ
http://mamapicks.jp/archives/52112468.html
【参考コラム】夏休みの一押しイベント! 「おかあさんといっしょスペシャルステージ」
http://mamapicks.jp/archives/52118271.html


●『おとうさんといっしょ』 難易度:3

「おかいつ」の対象年齢を超えてしまったらこちらに応募してみましょう。
NHKネットクラブプレミアム会員への入会が必須となりますが、応募期間は4歳のお誕生月~5歳のお誕生月の13ヵ月間。

体操の最後で保護者もスタジオに入ることになるので、映ってもいい格好で行ったほうがいいでしょう。


●『いないいないばあっ!』 難易度:10

ワンワンを生で見るのはかなりハードルが高いです。
スタジオパークの屋外イベントなど、方法はいくつかありますが、

1.ワンワンとはいポーズ!(2ショット撮影会)などのイベントに応募する
こちらも要ネットクラブプレミアム会員です。

2.「あつまれ!ワンワンわんだーらんど」に応募する
地方にお住まいの場合、有効な方法かもしれません。都心部での開催はあまりなく、あってもチケットがなかなか取れません。

3.スタジオに子どもを参加させる
一般公募はしていないため、どうしても子どもを体操コーナーに参加させたい!という場合には、0歳のうちに番組に出演実績のある児童劇団に所属する必要があります。

各プロダクションのサイトにある「主な出演実績」に『いないいないばあっ!』の名前があれば、オーディションの連絡が来ることは確かでしょう。

リズム感のいいお子さん、親から離れても泣かない、ワンワンを怖がらない、などの条件が考えられますが、どんなオーディション内容かは明らかにされていないため、当日の運という部分も大きい気がします。ご検討をお祈りいたします!

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さて、かけ足でお送りしましたがいかがでしたでしょうか。もっとご紹介したい番組は山ほどありますが、それはまた改めて、ということで……。

ワシノ ミカワシノ ミカ
1976年東京生まれ、都立北園高校出身。19歳の時にインディーズブランドを立ち上げ、以降フリーのデザイナーに。並行してWEBデザイナーとしてテレビ局等に勤務、2010年に長男を出産後は電子書籍サイトのデザイン業務を経て現在はWEBディレクター職。