サイゾーが運営する本と雑誌のニュースサイト「リテラ」が、9月8日に公開した、「母乳強制、DV擁護、中絶禁止…安倍内閣・女性閣僚の「反女性」発言集」という記事が話題になっている。
http://lite-ra.com/2014/09/post-444.html

9月3日に発足した第二次安倍内閣においては、安倍首相が掲げている「女性の活用」をアピールするために、過去最多となる5名の女性閣僚が名を連ねた。

数字だけ見れば「過去最多」だが、本当に「女性の活用」のために有用な人選なのか。
同記事では、山谷えり子拉致問題担当相、高市早苗総務相、有村治子女性活躍担当相、そして閣外ではあるが、政権与党である自民党三役の要職に就いた稲田朋美自民党政調会長の過去の発言から、女性の権利拡大に適任な人物なのかを考察している。

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まず、山谷えり子氏については、トンデモ理論の代表格という評でもっぱらの「親学」を推進していることをはじめ、母親を家に縛り付ける提言をしてきた過去、さらに「過激な性教育」を取り締まり、「性教育は結婚してから」などというお花畑発言で教育現場に混乱をもたらしたという。

続いて有村治子氏は、「『子どもができた』ではなく『神様から授かった』という表現にするべきだ」というスピリチュアルな主張を繰り広げているらしい。また、雑誌の対談では専業主婦推進論者と意気投合するなど、女性活躍担当相を担っているにもかかわらず、女性の社会進出とはかけ離れた考えを持っていることが露呈している。

そして高市早苗氏は、本人は結婚後も旧姓を名乗っているものの、選択的夫婦別姓には反対の立場をとっている。女性の社会進出については、「女性だからという理由で優遇されるのは不平等」とし、下駄を履かせでもしないと女性の登用などありえない圧倒的男性優位の現状をまったく把握していない様子。

さらに稲田朋美氏については、男女共同参画社会の方針に対して疑問を呈しているどころか、雑誌のインタビューでは、「DVといえばすべてが正当化されては家族の崩壊を招く」などと、DVを擁護するかのような発言も。また、徴兵制にも高い関心を示しているとのことだ。

「女性の活用」をうたい文句に登用された女性閣僚たちの発言を振り返ってみて考えると、安倍首相の掲げる「全ての女性が輝く社会」では、ごく一部の人しか輝けないのではないか、と記事は締めくくっている。

この記事についてツイッター上では、
「記事の語り口が過激だけど、女性の社会進出のための人選として酷いのは確か」
「『女の敵は女』とかいうオッサン達に都合がいい言葉で片付けられたくはない」
「そもそも女性の『活用』という言葉の選択が気持ち悪い」
「『活用』されたくないし、『輝き』たくもないんだが。」
「これは確かに『SHINE!(死ね!)だわな…』」
【注】SHINE!とは『輝く女性応援会議』オフィシャルブログのキャッチコピーhttp://ameblo.jp/kagayaku-josei-blog/
「女性に下駄を履かせる、というのは無理に無能な女性を管理職にするわけではなく、本来管理職になる能力を有しているにもかかわらず、女性だという理由ではじかれることをなくすことだと思う」
「こういう発言をするような女性を上に立たせて女性の力を削いでいくわけですね」
「いくら形だけ『女性閣僚』を増やしたところで、男性中心の仕組みを変えていけなければ意味がないと思う」

女性の権利を守るどころか、むしろ逆の思想を持った人々が選ばれてしまったことに、多くの女性アカウントから恐怖の声が上がっている。安倍首相の掲げる「女性の活用」がいかに表面だけのものか、今後の日本に絶望する声も多くみられた。

OECD加盟国での男女賃金格差がワースト2位、世界経済フォーラムの男女平等ランキングは対象国136ヵ国中105位という圧倒的な男性優位社会である日本の現状において、「男性に気に入られること」は重要事項だ。

そのなかで、女性が生き残るためには同じ女性に対する「踏み絵」的な行為が幾度となく要求される。踏み絵を繰り返しそれでも残った者だけが、こうやって閣僚にまで登りつめたと考えれば当然の結果なのだが、おっさんのご機嫌取りのために数多くの日本女性が踏み絵にされるのは勘弁してほしい。


山本 佑美山本 佑美
フリーライター。在宅テレビ評論家。インターネットを軸として結婚、出産、子育てにまつわるあらゆる情報を収集、分析、発信している。自宅を中心に精力的に活動中。家族は夫と2歳の娘。江東区在住の愛鳥家。うずらとインコの飼育経験有り。