短期間の間に大幅割引をする「フラッシュセール」という言葉は、流行りのネットショッピングに敏感な層には浸透しつつあるが、「フラッシュ・ファンディング」(=flash funding)という言葉はまだ珍しいようだ。

フラッシュ・ファンディングとは、前触れなく何かに資金(寄付)を提供すること。あのグーグル社がシアトル地域で行ったフラッシュ・ファンディングは、約300人に及ぶ公立学校教師からの教材などのリクエストに応じたことで話題になった。
【参考】Flash funding grants wishes to 300 local teachers|KOMO News
http://www.komonews.com/news/local/Flash-funding-grants-wishes-to-300-local-teachers-275208271.html

企業が教育を支援するにはこういう形もあったのか。

この教育支援でグーグル社がコラボしたのは、DonorsChoose.org( http://www.donorschoose.org/ )というチャリティサイト。ニューヨーク・ブロンクスの一教師が2000年に立ち上げたこのサイトは、授業でのプロジェクトに何かを必要としている公立学校の教師と、それを支援したい人を結び付けるものだ。

image
寄付は1ドルからできることが、たくさんの人が参加する流れを作るのに大きく貢献している。これまでに寄付した「サポーター」は通算156万3,568人、寄付を受けた教師は20万9,809人、そしてその寄付がサポートした生徒は1,311万8,030人。(※本記事執筆時)
寄付した人にはプロジェクトの進行状況や資金の用途の明細などが公表されるようになっている。


今回、シアトルのあるワシントン州キング郡、そしてその隣のスノホミッシュ郡とピアス郡の教師約300人のリクエストすべてに応じたグーグル社は、合計33万8千ドルで3万6千人の生徒たちをサポートしたことになった。そのうちの一校ではシアトルの市長が訪問し、この朗報を伝えるというパフォーマンスも。

グーグル社はシアトルのほかにも、ワシントンD.C.、オースティン、カンザスシティ、デトロイト、ロサンゼルス、ボストン、ケンブリッジなどの教師のリクエストにも応じた。


じつはDonorsChoose.orgは、「そんなものまで寄付でまかなわなければならないのか!」という驚きのアメリカ教育事情を映し出している。地域格差の激しいアメリカでは、公立学校の質の差も激しく、資金のない学校には誰かが寄付をしなければ何も変わらない。

政府を待っていてもいつになるかわからない。寄付というと、売名行為だとか、税額控除目的の節税対策だとか言う人もいるが、子どもたちの役に立つというそもそもの目的を実現し、子どもたちにとっては学びと思い出が増え、それによって新しい未来が作られれば、それに越したことはないだろう。

大野 拓未大野 拓未
アメリカの大学・大学院を卒業し、自転車業界でOEM営業を経験した後、シアトルの良さをもっと日本人に伝えたくて起業。シアトル初の日本語情報サイト『Junglecity.com』を運営し、取材コーディネート、リサーチ、ウェブサイト構築などを行う。家族は夫と2010年生まれの息子。