もしも「計画妊娠」なるものが許されるのだとしたら、6月~11月あたりに産みたい。


つわりの時期が暑くないというのも理由のひとつだ。離乳食を保育園のサポートを受けながらスタートできるのもある。
そして、ワーキングマザー的に言えばこれに尽きるだろう、“保育園に入りやすい”。

長男が生まれたのは4年前の10月のことだった。
当時、筆者はハローワークに通いながら失業保険で暮らしていた。
その後なんとか保育園申し込みまでに内定が取れ、第6希望まで記入した認可保育園のうち、第4希望の園に、0歳児の4月入園で入ることができた。

家からは近い園だったので問題はなかったが、古い、駅から遠い、開所時間が短いなどの理由で人気薄だったのかもしれない。

産前産後で家にいた半年弱。だんだんメンタルを蝕まれ、引きこもりになり、自分がダメになっていくさまがはっきりとわかった。

「やっぱり私、外で働いたほうがいいかも。」

そう思って、まだ寝返りも打たない5ヵ月児を保育園に預けたが、「まだ小さいのに」という声も一部からは聞かれた。しかし、そういう類のものにいちいちめげていてはこの先やっていけない。「うちはうち。」を合言葉にここまできた。

開所時間に関しては、産みたての頃はどこまで働けるかわからず、乳も張るから早く帰りたかったのもあり、それでいいと思っていた。

しかし、体が慣れてくるとともに、「私、もっとできるのに!」という思いをだんだん堪えきれなくなるのを感じたのだ。

お迎えを頼んでいた母が、子どもの体重増加に伴い、息子を抱っこして2階から階段を下りられなくなったこともあり、総合的に判断して、ワンフロア設計であるもともとの第1希望園に転園申請を出した。そして認可園から認可園への1歳児転園は、拍子抜けするほどあっさり通ったのだった。

■胎児を抱えての保活がスタート


当時、都内の中でも待機児童数が少ないほうであった筆者の居住地域も、この数年でどんどん家やマンションが建ち並び、保育園も近くに1軒増えたが待機児童数も増えた。

ちなみに来年度、区内では認可4月入園の申込者が前年比30%増(10月現在)というウワサも聞かれる中、我が家にも年度末に赤ちゃんがやってくることとなった。

まだ産まれてもいないし、このまま無事に育つかどうかわからない胎児を抱えての保活がスタート。不安がないわけではなかったが、「中に人がいる」とわかった以上、どんどん話を進めていかなければならない―― 賽は投げられたのだ。


認可保育園の4月入園に滑り込むには2月3日(※)までに子どもを産まないといけない。
(※4/1に入園する子が生後57日以降であることが条件の自治体の場合)

「産まないといけない」という表現もいかがなものかと思うが、実際そうなのだから仕方がない。とりあえず今できることを考え、保育課に相談の電話をかけた。
「育休が取れそうであれば育休明け予約というシステムもあるのですが……。」

“育休”。
非正規雇用者でも取れることがあるその制度に一縷の望みを託したが、結果からいうと無理だったので、その段階でおのずと産休明けの職場復帰が決まる。

さすがに産後2ヵ月での復帰は不安だ……。
しかし復帰しないと雇用契約は打ち切り、失業となると上の子の保育園残留が怪しくなる。一度退園したらなかなか入ることはできないのが保育園だ。

同じクラスのママさんたちに聞いてみると、意外に産後すぐ復帰した方が多く、アドバイスをいただいた。その話の流れで知った事実がある。
「うちのクラスだけでけっこういるでしょ? 今年ほかのクラスでも妊婦さんいっぱいいるから、兄弟枠で全部埋まっちゃうよね、来年の0歳」

■認証保育での挫折


幸い、住んでいる区には都内の認証保育所に通っても助成金が出るシステムがあり、認可の料金とさほど変わらないことがわかった。

しかし筆者宅の近所は認可保育園ばかり。それはそれで恵まれているのだが、今のニーズは満たさない。そこで、かろうじて一番近い駅前の大手認証保育園に電話をかけてみた。

「来年度? 来年度のことなんかわかりませんよ。私、園長ですけど、転勤で動くかもしれないんだから」

電話はガチャっと切れた。
それは8月のある晴れた、暑い午後の出来事であった。

「私立は園ごとに違うからちゃんと見たほうがいいよ」といろんな方にアドバイスいただいたのだが、息子の通う公立認可園との対応の違いにびっくりして、一旦保育園探しから足が遠のいてしまった。


しかし「修行だ、修行」。
営業の新人研修気分で、その後3ヵ月間で30軒ほどの認証保育園と保育ママさんに電話をかけていった。その対応はだいたい以下のパターンに分かれた。

・産まれてからお子さんと一緒に見学に来てくださいね
・取り急ぎウェイティングリストに乗せちゃいましょう
・申し込みをするには見学が必須ですが3ヵ月待ちです
・見学会に参加するための予約電話日が決まっている
 (そしてなかなかつながらない)
・1月中に応募締め切るので間に合いませんね
・認可の合否が出てから見学と応募を受け付けるので2月までお待ちください


いずれにしても9割方のところからは、しばしの沈黙のあとに、「4月1日入園に間に合わないとなると無理ですね」と、苦笑いで言われるのであった。

■12月、「子ども・子育て支援新制度」ショックに見舞われる


各保育園に電話をかけられるだけかけたが、すぐ見学に行けるわけでもないところが多く、今できることは思いのほか少なかった。しかしそれでも夜遅くまでやっている保育ママの施設などを見学した。

マンションの1室で隣が怪しげなマッサージ屋さんだったところもあれば、衛生面に大変気を使い、先生たちも本当のお母さんのように服装やメイクも気を遣うんです、と説明してくれたところなど、行ってみないとわからないことは多かったが、働きながら全部見学に行くには明らかに日数が足りないということもわかった。

大半は終了時間が早い保育ママさんだが、そのなかでも「ここなら!」という園に2~3あたりをつけた。本当ならば希望園が全部夜間園であるほうがポイントは上がる。しかし入れないことには何も始まらない。お迎えに間に合わない分はファミリーサポートを使うか……?


12月1日には4月開所の保育園や、新制度に伴う保育ママの変更点などが発表になるとのことだったので、さっそく区のサイトをチェックした。

すると、お願いしようと思っていた保育ママさんは認可事業になったのに伴い延長時間が大幅に短縮。電話すると園にもその事実が伝わっておらず、当日の混乱ぶりが垣間見られた。気になったので、「在園児の延長時間は今後どう対応するのですか?」と聞いてみたが、これから保護者の方にご説明するので……と、担当者も困惑した様子。

また、区内では認証園だったところが、一軒認可に変わることになり、認可の在園要件に満たない子が退園を迫られているとのこと。

どちらも、「この新制度、本当に大丈夫だろうか」と思わせるエピソードである。

■結局、早生まれの保活はどうしたらいいの?


筆者は再度、入園相談課に電話をかけてみた。

●産まれる日の関係で4月1日の入園は難しい
●産休明け復帰が決まっているので5月1日には入園したい
●認証も大半は難しいと断られている


という事情を伝え、どんな選択肢があるかを教えてもらおうと思ったのだが、「2月生まれで産休明け復帰は聞いたことがなく、5月入園はまず無理なので、シッターさんを使ってはいかがでしょうか?」という答えが返ってきた。

ちなみに計算してみたが、シッターさんを1日利用すると長男の1ヵ月分の保育費が飛ぶ。
ファミリーサポートはどうなのか聞いてみたところ、乳児はお迎え程度ならいいが、フルで預かるのは嫌がられるので提供会員が少ない、という答えで、なるほどなと思ったが、同時に脳裏を、

\(^o^)/

という顔文字がよぎったのだった。……お手上げ。


ではどうしたらいいのだろうか?認可外保育園はどうか。
ざっと見たところ、月額13万という数字が見えた。補助金がない上に人件費を考えたら妥当な線かもしれないが、かといってさすがにこの額は厳しい。

託児所つきの仕事も念のため探してみたが、1歳以上からしか預からないと明記されており、転職も許されない。隣接区の新規認証園に問い合わせてみるも、どれも6ヵ月や4ヵ月からの園で、きっと4月のあたまには埋まってしまうだろう。

―― ネットで探す格安ベビーシッターに頼りたくなる気持ちは、わからないでもないのだ。


最後にひとつだけ、保育課の人がアドバイスをくれた。

「保育ママさんであれば年度途中に開設も可能ですし、年度内に認可の新規園ができる予定ですので、そこまで何かでつないでいただければ……。」

この件、まだまだゴールが見えない話ではあるが、まずは無事に出産することが第一である。その後どうなったかに関しては、おそらく5月以降に、可能であれば“吉報”のほうをお伝えできることを祈って……。

ワシノ ミカワシノ ミカ
1976年東京生まれ、都立北園高校出身。19歳の時にインディーズブランドを立ち上げ、以降フリーのデザイナーに。並行してWEBデザイナーとしてテレビ局等に勤務、2010年に長男を出産後は電子書籍サイトのデザイン業務を経て現在はWEBディレクター職。