また病院だ。1月だけでもう3種4回目。12月もなんだかやたら病院が多かった。子どもの体調不良は緊急性が高くなければ、たいてい薬が出て「様子を見ましょう」。薬を出してもらうたびに、そこそこ真面目に飲ませるのだけれど、良くなったかなぁと思うとやめるから、細かく飲み残しがどんどんたまっていく。

■薬は捨てずにためやすい


咳、鼻水、お腹、吐き気、熱……そういう、症状に対する薬は、いざっていう時にとっておきたくて、治った途端に捨てるっていうのは、なんだかどうしてもできない。古いものはダメ、勝手に判断してはダメ、というルールの内側でも、実際持っていて助かったことは多い。

とはいえ、この数ヵ月分だけでけっこうな飲み残し量だ。とりあえず、薬を置いている棚に適当にぽいぽい置いておくものだから、ごちゃごちゃ。最近小2の息子は粉より錠剤の方が好みで、希望して錠剤にしてもらうことが増えたので、大人の薬と見分けがつかない。急いで何かの拍子に子どもに飲み間違いでもさせたら大変だ。

これはもう、今、整理しよう!と思い立ち、半年以内の対症療法系の薬は、とりあえずキープして、それより古いのは潔くこの際どんどん捨てていくことにした。


■でてくるでてくる古い薬


これは1年前、これは2年前じゃないか。あぁそういえば、あっちの棚にも「厳選された古い薬」のケースがあったなぁ。時々、整理してはまた棚に戻すのだけれど、最後に「選定」したのはいつだったか。確か引越しの頃だから、3年前ぐらいかなぁ。

厳選の上キープされた薬ケースを開けてみると、なんとも歴代標本のごとく薬が保存されている。

子どもの薬は体重の変化とともに処方量が変わるものだから、同じ薬の1回分の量が、ずいぶん変わってきた。そうだ、この薬、最初はこんなに少なかったんだよなぁ……。薄紙に包まれた粉の量の変化が成長を物語っていて、感慨深い。

あぁ、この薬はあの時のだっ、こっちはあの大変だった時ので……。薬を見ると、処方された時の状況やら先生の顔までずいぶんはっきり覚えているもので、どんどん当時のことが思い起こされる。アルバムを見ているがごとき振り返り。

過去何回かは本気で厳選しているはずなのに、なんと、最古で2008年5月28日の袋を発見!実に、6年半以上前!!……まだ息子が1才半くらいの時じゃないか!!!

なんだってこんな昔の薬をとっておいたんだ、とあきれるよりも前に、「うわぁ~これまだあったんだ」と懐かしい気持ちでいっぱい、なのである。

■本当に使うわけはないのだけれど


昔の薬を、今同じ症状だからといって飲ませるか、といったら、それはない。古さからしても処方量的にも、もうとっくに使えない。

でも、こうやって古い薬をしまいこんでいたのって、きっと多分、お守りみたいなものだったんじゃないのかと思うのだ。子どもの体調不良は「初めての症状」に出会うたびに緊張して、本気で心配して、対処して、慣れてくる。 その繰り返しの不安を、なんとなく遠くでじんわりと下支えしてくれていたのかもしれない。

過去何度も選別を生き抜いてきた2008年の薬だけいっそ記念に……と一瞬キープしそうになったものの、ここは決然と捨てることにして、古い薬はきれいさっぱりなくなった。


大整理をした3年前には捨てられなかった薬コレクションを、今回あっさり捨てられたのは、 私の「子どもの病気慣れ」がそれなりに積み重なってきたからなのかもしれない。いつの間にかだんだんそうやって慣れて気にならないことが増えて、変化しているんだなぁ。

……と、同時に別の新たな悩みや心配事は尽きず、現在進行形ではあるのだけれど。そして、きっとその今の心配事は、あと6年半後にはまた棚の奥からひょっこり出てきて、笑って俯瞰できるようになっているのだろう。

で、その時はその時でさらにまた何か別のことを心配しているんでしょうね、やっぱり。

狩野さやか狩野さやか
ウェブデザイナー、イラストレーター。企業や個人のサイト制作を幅広く手がける。子育てがきっかけで、子どもの発達や技能の獲得について強い興味を持ち、活動の場を広げつつある。2006年生まれの息子と夫の3人家族で東京に暮らす。リトミック研究センター認定指導者。