1月5日から筆者の息子が通うプリスクールの新学期が始まって、早や1ヵ月。ちまたではもうバレンタイン商戦が始まり、バレンタイン・デーのチョコレート詰め合わせのセールや、バレンタイン・デーのディナーのコース料理のメニュー予約のお誘いがメールで届く。

もう20数年前のことだが、アメリカに来て、カルチャーの違いというか、外国のものがこうも変えられて日本に輸入されてたのかと驚いたことのひとつが、バレンタイン・デーである。


アメリカのバレンタイン・デーは、大人同士の場合はカップルのもの(告白する日ではなく)とする商売の面が表立っているものの、幼い子どもの世界では、親と子、祖父母と孫、幼稚園や小学校などの先生と教え子、そして子どもたち同士など、大好きな人にカードなどをあげる日だ。

もちろん全員ではないが、「大好き!」というノリで、そして「いつもありがとう!」とかいった言葉を添えたり、ちょっとしたプレゼントをあげたりもする。学校行事にするところもあれば、ある程度の年齢になると行事ではなく、子どもが自分で判断してあげるようになっていく。

そのためカード売り場には、カップルのロマンチックな日というものの横に、"I Love You, Mom!" "Happy Valentine's Day, Mommy!" みたいなカードも並んでいるし、DIY系のウェブサイトでは、いろいろな相手への手作りのデザインがあったりする。

昨年、息子が通うプリスクールから、子どもたちがクラスメート全員にカードを作ってくる、というお題が出た。想像力と創造力を育てるモンテッソーリ教育のスクールだし、息子はハサミで紙を切るのも糊で貼り付けるのも大好きなのだが、なぜか数種類の紙を大きさの異なるハート形に切り、糊を塗って重ねていく、ということになった。

20人に作るとなると、紙が3種類なら60枚もハートを切らなくてはならない。結局、親子3人でカードの量産をすることになり、なぜか余ってしまったハートで、マミーの分、ダディの分、グランマの分、グランパの分……と、カード作りにハマった3歳児との工作が終了したのはすっかり夕方であった。でも、「えー、カード?めんどくさーい」なんて言い出すよりもはるかにいい。

そして、バレンタイン・デーの前にクラスから持って帰ってきたのは、ティッシュの箱をバレンタイン・デーらしく飾り付けた工作物に、クラスでのカード交換でもらったカード。

3~5歳の縦割りクラスなので、まだ字が描けない子は絵、もう字が書ける子は「○○くんへ またあそぼうね!」といったメッセージを書いてくれている。成長のすごさを実感するタイミングでもある。

今年はどんなカードを作るのかな。一年経っても、「前はこんなカードを作ったよね」と息子が思い出せるほどの経験を作るチャンスを大事にしていきたい。

大野 拓未大野 拓未
アメリカの大学・大学院を卒業し、自転車業界でOEM営業を経験した後、シアトルの良さをもっと日本人に伝えたくて起業。シアトル初の日本語情報サイト『Junglecity.com』を運営し、取材コーディネート、リサーチ、ウェブサイト構築などを行う。家族は夫と2010年生まれの息子。