2月の終わりに次男を出産してから1ヵ月ちょっとが経過した。
帝王切開での出産となったので、しばらくは痛い日々が続いたものの、傷もやっと気にならなくなった頃合いである。

ところで「帝王切開ってどんな感じ?」ときかれることが多かった今回の妊娠中。

日本では現在、出産件数の約2割が帝王切開術によるものだと言われている。
“二人目出産”では、帝王切開後の経膣分娩(=VBAC)という方法もあるが、妊婦の体調が整っていること、病院の受け入れ体制が万全であるなど、いくつかの条件があり、すべての病院が対応できるわけではない。

筆者が出産した病院は大きな総合病院で、麻酔科医もいるところだったが、NICUがないなどの理由でVBACは行っていなかった。

なお、反復帝王切開もVBACもそれぞれにリスクを伴うので、事前に医師の説明を聞き、納得した上で出産する病院を決めたいところ。

前回は大学病院での緊急帝王切開、今回は総合病院での予定帝王切開と、種類の異なる帝王切開術を2度経験しているので、それをふまえて「帝王切開での出産ってだいたいこんな感じ」というのをお伝えしたい。


■いつごろ出産になるの?


胎児の成長具合によるが、経産婦ということで、今回は37週の終わりで手術日を設定された。
初産ならば38週のどこかだろうか。候補を数日提示され、その中から選ぶ形だったが、“子どもの誕生日を選べる”という発想がなかったので新鮮だった。

しかし、終盤の診察で「お産の進みが早いのでは?」と指摘され、手術日を前倒しにするかどうかという話に。この場合、万が一手術予定日より早めに破水したり陣痛が来た場合は、緊急帝王切開になると説明されていた。

なんとか手術日まで持ちこたえたので、予定通り手術は行われたのだが、予定帝王切開の場合、「誕生日を選ぶことはできるが、あくまで赤ちゃんの都合でお産が進むことに変わりはない」……ということだ。

なお、前回の出産時は逆子だったので、8ヵ月の頃に帝王切開を勧められたが、経膣分娩を希望していたため、逆子になるたびに外回転術を行い、無事に出産日を迎えることを目指した。

しかしお産が進まず、41週6日まで待ち、陣痛促進剤を使うも胎児の心拍数が下がってしまい緊急帝王切開となったため、結果的に長男と次男で出生週数が1ヵ月違う我が家である。

出産というのは本当にその都度異なるし、子どもひとりひとりにドラマがあるなあと思うのだ。

■どんな手順で出産するの?


病院によって異なるが、自身の“サンプル数2”でいうならば、だいたい以下の流れである。

1)前日入院
2)翌朝から禁飲食
3)浣腸をし、剃毛(助産師が担当することが多い)
4)点滴をつけ、手術着に着替えて待つ
5)手術室へ
6)麻酔を入れて効きを確かめる
7)手術開始
8)赤ちゃん誕生
9)傷の縫合
10)病室に戻る

これは予定帝王切開の場合であるが、緊急の場合は直前にレントゲン検査、同意書のサイン、必要に応じて血液型の検査などが追加され、陣痛に苦しみ、時間が迫るなか、バタバタで書類にたくさんサインしたことを覚えている。

■麻酔は全身?局部?


筆者の場合は2回とも下半身の局部麻酔で行った。
麻酔科医が最初に背中に針を射し、麻酔を入れていく。効き具合を確かめ、心拍数や血中酸素など、異変がないか確かめつつ手術を行っていった。

初回の手術はとにかく陣痛を止めてほしい方が先で、麻酔が効いていくとともに安堵したのだった。なので、同時期に予定帝王切開で出産した方と話した時に、「麻酔でパニックになった」ときき、そんなまさか!と思ったものだが、なんと今回、自分がまったく同じ状況に陥ったのだ。

心の準備がある程度できた状態で手術になると、そうなりやすいのだろうか。麻酔が効きはじめ、体の自由が奪われていくとともに、海で溺れるような苦しさを覚え、息が吸えなくなってきたので必死にジタバタして訴えた。

「落ち着いて!深呼吸して!」と言われ、とっさにヨガの呼吸法を思い出せたので、無事にその後手術に挑むことができた。

余裕があるならば、帝王切開の予定がある方はマタニティヨガに通っておくことをおすすめしたい。合言葉は「呼吸、忘れずに」である。

■産まれる瞬間は見られるの?


結論からいうと、産まれたての赤ちゃんに触れることは可能だ。
筆者は2回とも、産まれたあと、きれいにしてもらった赤ちゃんに触れることができているが、赤ちゃんの体調によるところなのは経膣分娩も同じだと思う。

文字通りの「産まれる瞬間を見る」ということで言えば、今回は見ることができた。

手術室の天井に付いているライトが鏡状になっており、お腹の周辺は布で覆われているものの、上を見れば自分のお腹が今どういう状態なのか、はっきり見ることができたからだ。

「産まれました!男の子ですよ!」と先生に言われ、「はい、今ちょうど股間が見えてます」と答えられる程度には、はっきり見えた。

これは病院によって手術室のライトが異なると思われるため「見られることもある」が正解だろう。

参考までに……帝王切開でも立ち会い出産できる病院というのがあるという。出血量や傷がパッカリ開いていることを考えると、なかなかハードな立ち会いだなあと思ったのだが、安全性が確保されているのならばそれも貴重な体験かもしれない。

■痛いのはいつまで?


“痛い”の種類によるだろう。
帝王切開の術後は傷が痛いのと後陣痛のダブルパンチになる。

病院によっては、手術時に背中にプッシュ式の麻酔を付けられ、術後数日そのままということがある。筆者の初産の時がそうだったのだが、傷が痛いのか後陣痛かがわからないので、手術当日にその麻酔を使いきってしまったのだが、後陣痛による痛みだったのであまり効いた気がしなかったのを覚えている。

今回はプッシュ式の麻酔を使わない病院だったので、飲み薬と座薬で乗り切った。
しかし、よく言われるように2回めの出産は後陣痛が激しい。陣痛なんてもんじゃない痛みに襲われ、麻酔が切れた直後はかなり苦しんだ。漫画みたいだが、脳裏に亡くなった祖母が一瞬チラついたほど、である。

鎮痛剤は決められた間隔をあけないといけないので、使うときは事前に戦略を立てておく必要がある。医師・助産師などに相談してみるといいだろう。

「手術、怖いよ! 痛いんでしょう?」
これはホントにたくさんの方からきかれた質問であるが、初日こそ点滴の棒につかまらないとどうにも歩けないが、5日目には何もなしでスタスタ歩ける。大丈夫。それだけ覚えておけば見通しが立つので、最初の痛い数日も乗り越えられるのではないだろうか。

── 明けない夜はないのである。

■傷はどうなるの?


帝王切開には縦斬りと横切りがあり、どちらになるかは状況や体調、手術歴などで異なる。

筆者の場合は2回とも横切りで、その場合、表面は横に切っているが、子宮は縦に切っているのだという。

今回は二度目ということで、傷がどうなるのかが気になっていた。
事前にされた説明では、だいたい同じ場所を切り、前回の傷のミミズ腫れ部分を切り取り縫合する、とのこと。

前回は傷をホッチキス状のもので止めており、術後4日目あたりに抜糸があったのだが、今回は溶ける糸を使って内側を縫い、皮膚の表面は横の傷に対して縦に細かくテープで止める、という方法だった。鏡で見ると、『ナイトメアー・ビフォア・クリスマス』に出てくる「ジャック」の口のよう。シャワーはテープを貼ったまま入ることができる。

1ヶ月健診の後、テープを剥がしてはじめて自分の傷を確認した筆者なのであるが、ところどころ2ミリ間隔で傷が2本あるように見える箇所があり、うーん、こんなもんなのかなあと思ったのだが、数日後確認すると、傷が1本につながっていた。経年によってきれいになっていくのかもしれない。

■赤ちゃんとはいつ会えるの?授乳はいつから?


これも本人と赤ちゃんの体調によるところだが、早くて翌日からの授乳になると思われる。

初産の時は翌日に車椅子で新生児室に行った筆者。今回は車椅子になかなか乗せてくれない病院だったので、がんばって翌日、歩いて赤ちゃんに会いに行ったが、直接授乳の開始までは長い道のりとなった。

筆者の次男は出産直後に過呼吸の症状が出て、しばらく保育器管理となった。予定帝王切開で週数が早い場合には、肺の羊水が抜けきらずにそうなることがあるという。スポイトで数滴の授乳からはじまり、搾乳を与え、哺乳量が増えるたびにほっとした。

そのような経緯もあり、退院の前日ではあったが、母子同室になった日は大変に嬉しかったのだ。「無事」という言葉の持つ重み、ありがたみを感じながら、チャイルドシートに乗せた次男の手を握りながら家に帰ったのだった。


長男を出産した頃に比べると、帝王切開での出産に対して“下から産めない”ということをわざわざ言ってくる人もだいぶ減った印象だが、どうだろうか。

仮に今後どこかで言われたとしても、「しばらく痛いし大変ではあるけれど、けっして“かわいそう”ではない」ということを都度言っていきたいのである。

「おなかから出ようが下から出ようが関係ない。大事なのは、産まれたあとだよ」。

子どもたちにはそのように伝えていこうと思うのだ。

ワシノ ミカワシノ ミカ
1976年東京生まれ、都立北園高校出身。19歳の時にインディーズブランドを立ち上げ、以降フリーのデザイナーに。並行してWEBデザイナーとしてテレビ局等に勤務、2010年に長男を出産後は電子書籍サイトのデザイン業務を経て現在はWEBディレクター職。