NHKの教育テレビ(Eテレ)、子どもがいる家庭では、幼少期の『いないいないばあっ!』→『おかあさんといっしょ』というゴールデンルートを経て、いくつもの番組に親しんでいるケースが多いでしょう。うちでもずいぶんお世話になっています。

乳幼児期を過ぎるとEテレを卒業するケースもあるかもしれませんが、Eテレには「学校放送」という枠組みの学習番組があるのをご存知でしょうか。そうと意識せずに見ているかもしれませんが、Eテレの番組のいくつかは、例えば小学生向けの国語、算数……等々、学校の学習内容に合わせて教材として意識して作られています。

■「基本概念の理解」は意外と苦労する


小学生ぐらいになると、「新しい概念」を身につけるのに苦労するシーンが増えてきます。例えば算数。足し算とか引き算って何なのか、時間とか時刻とかって?……大人にとっては「そんなこと」でも、これを初めて子どもが理解するときというのは実際にはなかなか大変なものです。でも、ここを飛ばして概念がわからないうちに反復練習させられたら嫌になってしまうでしょう。

かといって、親がいくら噛み砕いた説明でフォローしようとしても、「親だからこそ」聞くのを嫌がる「お年頃」にちょうど差し掛かっていたりもします。「お勉強系」アプリは敏感に察知して回避する経験値も。

私が困った頃に思い出したのがこの学校放送系番組。『さんすう犬ワン』という番組があるらしい、そうだ、母親からの解説なんて聞きたくない子だって、大好きな四角い画面の動画なら受け入れるに違いない! 見せてみたいなぁ……。

■小学生が見られない時間にやる小学生向け番組


……ところがですね、これら学校放送系の番組は、平日午前を中心にやっているため、小学生自身は学校や学童で過ごしている時間帯でリアルタイムでは見られないのです。小学生向けなのに風邪で休んだ時にしか見られないという、この時間枠の怪。実際には、録画機器もない時代に、先生が教材として教室でリアルタイムで使えるように時間が組まれたからなのでしょう。

うちにはテレビを録画できる機器がありません。そして『さんすう犬ワン』は「NHKオンデマンド」にも見当たりません。でも大丈夫、こんなに劇的に良心的で便利なものがあったのです。

NHK for School
http://www.nhk.or.jp/school/


■先生向けの番組視聴ツールが便利だった!


これ、Eテレ学校放送系番組だけを集めた動画視聴ツールといえるサイトです。学校の先生が教材として使いやすいように配慮して作られたものですが、もう、そのまま、家庭にもぴったり。会員登録不要、無料で利用できます。

見たい番組は、番組名で選ぶことも、教科や学年で番組を選ぶこともできます。

動画の視聴画面右側には、内容がシーン別に細かく分けて表示されていて再生もできるという優れもの。問題の部分だけ見直すとか、ドラマ仕立てのところだけ見るとか、そういう見返しも簡単です。

先生が資料としてだけ短く解説で使いやすいように、そのバラしたシーンを「クリップ」と呼び、個別に検索することもできるようになっています。

もともと番組が10分程度と短くて、子どもがやめられやすい(やめさせやすい)のも、親としては助かるところ。

タブレット端末だと、なんだかhuluのような有料動画視聴サービス感覚で好きに選べる特別感も演出でき「画面好き」な息子は喜んで「さんすう犬ワン」を楽しみ、とりあえず楽しさだけは保ち、算数嫌いにはならずにすみました。

すくどう ― スクール動画アイランド」(http://www.nhk.or.jp/school/sukudo/)というサイトにもなっていて、同じ動画がみられるようになっています。こちらの方が派手で、「特集動画」というまとめた切り口もあり、子どもが自分で見るには楽しいかもしれません。

ページの作りとして、番組を選びやすいのは「NHK for School」なので、親が選ぶときはこちらがおすすめ。先生向けに作られているので、教材やちょっとしたゲーム/ドリルもサイト上にあり、家庭でも使えます。(使っている技術の関係で、タブレット端末ではほぼ使えません。)

■逆上がりアプリなど、活用できるものがいろいろ


『大科学実験』など、学年横断的な大人が見ても面白い番組も入っていたり、また、『ストレッチマン ファイブ』になる前の『ストレッチマン ハイパー』など、以前の番組も一部入っていて、Eテレ好きの方にはたまらない側面もあります。

教材の質、教え方としても何かと進化していて、注目なのは『はりきり体育ノ介』という体育番組。運動ができないサイボーグ「体育ノ介」に、例えば体操のメダリスト冨田洋之さんを「インストール」して前転をできるようにする、という、インドア派の男児感覚にぴったりきそうな若干乱暴な設定です。全方向から撮影した画像が使われ、ダメなポイントいいポイントがビジュアル的にとても把握しやすくなっています。

鉄棒の逆上がり限定ですが、自分の逆上がりを撮影して、見本動画と自分の映像を比較できるアプリも公開されているので、こんなものもどんどん利用して家庭で楽しんではいかがでしょうか。


親子で真剣に向き合いすぎるのは限界が来てしまいます。有料の教材を購入して消化不良に陥るのもなかなかストレスでしょう。学校の宿題+こんなものを足していくだけでも少し目先が変わっていいかもしれません。


ICT toolbox記事提供:【ICT toolbox】feat.狩野さやか
ICT toolboxでは、家庭や教育現場でICTツールを「適度に」「効果的に」使うアイデアをご紹介しています。子育ての当事者、制作の当事者(デザイン・プログラミング)としての現場の実感を大切にした記事を発信します。 http://ict-toolbox.com