大手100円ショップでは今、アニメや映画のDVDが売られていることをご存じだろうか。ディズニー作品、あるいは名作『トムとジェリー』、そして昔の洋画まで……。

立ち寄ったお店でびっくりして、「今のうちに捕獲しておかないと」という謎の使命感から、つい買い揃えてしまった我が家。


▲子どもか夫が開封の際に破いてしまったとみえて、ジャケのないものも。
ついでなのでDVDケースも100均で買っておくといいだろう。

真っ先に頭をよぎったのは「これは……権利的に大丈夫なのだろうか?」ということ。

気になったのでこの点を大手100円ショップの関係者にきいてみたところ、「正規品として映画会社が販売している製品とは異なり、著作権の保護期間を終了し、パブリックドメインとなった作品である」とのこと。

また、「オリジナリティーを出すため、販売メーカーが独自にオリジナルの作品に吹き替えや字幕を加えた上で商品化している」という説明であった。

たしかに、そんなアウトな物はおおっぴらに売れないよね!と安心したので、この話を進めていくことにしよう。

■さっそくですが、鑑賞してみた


●メニュー画面
DVDが“紙ジャケ”というか、いわゆる薄手のコート紙に入っていたので、やや不安な気持ちになったものの、通常流通のパッケージ商品と同じようにメニュー画面も存在した。

しかし英語版のタイトルはいいのだが、日本語タイトルのフォントデザインに若干の不安要素が……。言語は日本語、英語、韓国語から選べるが、興味本位で韓国語を選んでしまったら最後、ハングルが読めないため元に戻れない、という事態に陥った我が家である。韓国語が読める方以外は、この点にぜひとも注意していただきたい。

『白雪姫』はタイトルに「白雪姫と七一寸法師」と書かれているなど、いろいろ気になる箇所もあるが、そこはもう、あえて気にしないで行こう。大丈夫、きっと大丈夫……!

(筆者はこのタイトル画面を見ながら「フジエアー」というメーカーのDVDプレイヤーのことを思い出していた……。)

●画質
もしかしたらYouTubeのような画質なのでは?と思いつつ再生してみたが、大半はそんなこともなく、問題なく鑑賞できるレベルであった。何より108円という価格を考えれば元はじゅうぶんに取ることができる。というか、この商品、利益は出ているのだろうか……。

●音声
ひとまず日本語音声で見ることにした。
率直に申し上げると、えーっと、これは……?
元の吹き替えもこんなテンションだったのだろうか。
棒読みというか、独特のイントネーション?訛り……?

『シンデレラ』や『白雪姫』の声が顕著だが、ずっと聞いていると妙にクセになる。
そして、少ない声優さんで複数の役を回しているのだろう、たくさんのDVDを見ているうちに、「あ、これとこれ同じ人だ!」というのがわかってしまう。

ピノキオ役の声は比較的うまいほうであったが、筆者の脳裏には何度も『久保みねヒャダこじらせナイト』(フジテレビ系列)に出てくる「はっちゃん」の姿がチラつくのであった……。

■100円DVD、それぞれの反応


『トムとジェリー』のような短いお話がたくさんあるものはいいが、ディズニー映画に関しては長いので、途中で寝てしまうなど、我が家の4歳児が通しで見ることはまだ難しい。

しかし何度も分割して見るうちにお話を覚え、タイトルも覚えてせがむ日があるが、『ピノキオ』と言えずに『キノピオ』になってしまうのが、なんともいえない幼児クオリティである。

それに対して大人の反応だが、実はわれわれ夫婦とも、まともにディズニーアニメを見たことがなかったのである。もちろん絵本などでお話は知っているも、アニメ化されたものは未見であった。

おかげで新鮮な気持ちで見ることができたが、「このシーン、なんか長く感じるけど尺が足りなかったのかな」など、しょうもない意見を述べながらの鑑賞に、なんだか心が汚れたなと思わざるをえなかった。

それでも、すっかり感情移入しながら見たのもいくつかあり、思っていたストーリーとアニメ版が異なったため「あれ、こんな話だったっけ?」との驚きもあったのだ。

■100円であることが心のハードルを下げてくれる


その後、の話をしよう。

『トムとジェリー』にすっかりはまった長男は、筆者の母がワーナーの正規品を次々買い与える形で、現在流通しているものは、もう全話見てしまったのではないだろうか。

見るたびに、タイトルが出るとともに内容を家族に解説してくれるので、ストーリーもしっかり頭に入っているのだろう。子どもの記憶力というのは大変なもので、中年に両足つっこんだ身からすれば非常にうらやましいものである。

ディズニーに関しては、大人のほうが「本当の吹き替えはどうだったのか」がどうしても気になってしまい、まさかの“完コピ”なのか、もっとエモーショナルな吹き替えなのか、オリジナルを確認しないと気が済まなくなった。

なんとなくきっかけがなく見てこなかった作品の数々も、100円(+税)と言われれば気軽に買えてしまう。

大人になって「え、あの映画見てないの?」と言われるシチュエーションには何度か遭遇した。“100均DVD”はそういった、王道作品を確認する用途には向いているだろう。見て気に入れば、いわゆる「正規品」に手を出せばいいのだから。

正規品を取り扱うメーカー側からすれば、潜在購入者の“参入障壁”を取り払ってくれる役割になっているし、もしかしたらこれ、誰も損しないシステムではないだろうか。

■ヒント:見つけたら即ゲット


今のところ、大きめの店舗から地元の小ぶりな店舗まで取り扱いがあるらしいこの“100均DVD”であるが、本件を問い合わせた際に担当者から以下のように返答された。

「なお、誠に勝手ながら、商品は予告なしに仕様の変更や取り扱いを終了することがございます。」

100均の性(さが)ともいえるが、いつまでもあるわけではないということだ。もし気になったのなら、「見かけたら、とにかく押さえておく!」。それをおすすめしたい。

ちなみに、筆者が吹き替え版でイチオシするのは『バンビ』である。これは声優さんたちが本当にがんばっている。

なお、字幕がそこそこ読める年齢のお子さんであれば、“英語音声/日本語字幕”という設定にして鑑賞するのが最適といえよう。

筆者が観たのは『キャンドゥ』の取り扱い商品であったが、そのほかの100円ショップでも同様にアニメDVDの取り扱いがあるという。

ワシノ ミカワシノ ミカ
1976年東京生まれ、都立北園高校出身。19歳の時にインディーズブランドを立ち上げ、以降フリーのデザイナーに。並行してWEBデザイナーとしてテレビ局等に勤務、2010年に長男を出産後は電子書籍サイトのデザイン業務を経て現在はWEBディレクター職。