雨が多い年のようである。
台風による水害も発生し、各地に大変な爪痕を残した。

我が家の4歳児は保育園の帰り、傘をさしながらこんなことを言っていた。

「あめはさー、ふらないと、おはなが、かれちゃうんだよね?」

……そうだねえ、でも雨が多すぎても枯れちゃうこともあるねえ、と私は返事をした。

「ふーん、むずかしいね。」

長男が傘をくるくると回しはじめ、私と、抱っこ紐の次男が水滴をかぶった。
こら!と叱ると、笑ってごまかすことも覚えた長男である。

しかし子持ちに雨の日はつらい。
このときもすでに、手をつないでいた左腕がずぶぬれであった。


長男が0歳児保育の頃はベビーカー登園だったので、雨の日でも本人はカバーで覆われているし、私がベビーカーを押しながら傘をさしづらいなあ……、という程度だったのだが、次男の園はベビーカーが止められないため、基本的に抱っこ紐での登園となっている。

近場の方は“素手抱っこ”でやってくるが、さすがに片道45分、バス2本乗っていくのに素手はつらい。

■「ガンガンいこうぜ」……とはいかない産後


長男が生まれた頃にそろえた雨具には、そろそろガタが来はじめていた。

ポンチョはいつのまにか行方不明。傘は開いた骨の先端部分が一部折れ、独身時代に買っていたHUNTERのロングブーツは、最初の産後太りにより、ふくらはぎが入らなくなっていた。

そこで、ミドル丈のレインブーツを愛用していたのだが、2度目の出産がとどめとなったのだろうか、それとも珍しく素足で履いたせいだったのか、ふくらはぎの履き口のところに擦り傷ができてしまい、治るまでに1ヵ月を有した。

そんなバカな!と思い、ふくらはぎを測ってみる。
41cm……?
おかしいな、私の記憶では38cmだったはずなのに。

……おそらくだが。
痩せるより先に、長靴を買ったほうが早い。

下駄箱を探すと、クロッグタイプのレインシューズが出てきた。
ガーデニングシューズみたいな形のものだ。

しばらくはこれでしのぐことに決めた。

■傘を求め、“そして店頭へ…”


そもそも、筆者は去年、傘を買い換えていた。
買って3日後、電車に傘を置き忘れ、その後出てくることはなかった。

壊れた傘を捨てていなかったので、そちらを使い続けていたのだが、赤子を抱っこ紐に入れて毎日過ごしていると、気になるところが出てきた。


▲軸の突起
赤子の頭に刺さるのではと気が気ではない。



▲開いた傘の先
これも何かの拍子に赤子に刺さってはと気になる。
さらに、長男を連れて歩くとき、彼に刺さる気がしてヒヤヒヤする。


前者は、コンビニで急ごしらえに買った折りたたみジャンプ傘でクリアできた。しかし、折りたたみでは心もとない。
私のニーズを全部網羅した夢のような傘などないだろうなあ……。


──いや、あった。

BLUNTというニュージーランド生まれの傘である。


LOFTで取り扱っていることがわかったのでさっそく入手した。
柄の部分は、電車に傘を置き忘れた反省から、絶対に手すりに引っ掛けられないストレートのものを選んだ。

惜しむらくは小径であること。親骨が58cmと小ぶりだ。それをのぞけばパーフェクトなのであるが、実際に使う際にはポンチョを着ているので、さほど苦にならない。

ちなみに65cmのもあるので、いつかそちらも購入しそうな気がしている。

■長靴に導かれし者たち


さて問題の長靴である。

しばらくはローカットの靴で大丈夫だったが、豪雨が続き、長靴でないと戦えない気がしてきた。ひざから下がびしょぬれになるからである。

下調べをして、「日本野鳥の会」の“バードウォッチング長靴”はどうかと考えていた。
しかし、不安なのはふくらはぎの太さである。
HUNTERが受け付けなかった、私の立派なふくらはぎを受け止めてくれるものはあるのだろうか。

そりゃ、なんでもいいならあるだろう。
しかし……どうしてもデザインが気になる。

そして、乳児の親として見逃せないポイントは、手を使わずにさっと脱着できるかどうか。横着ではあるのだが、抱っこ紐の状態であまりしゃがみたくないというのが本音である。

近隣のテナントに行ってみることにした。
まずは話題の“野鳥の会”を試着してみることにしたが……入らない。
普段23.5cmを履いているので、Mサイズを試させてもらったのだが、無理やり履くことができても、ルーズソックスのようにクシュッとしないと入らない。

「お似合いですよ!」
と声をかけられても、思っていた履き姿にならなかったバツの悪さで苦笑いなのである。
苦笑いのまま、「すみません……」といいながら失礼させていただいた。

《筆者は にげだした!》

とセリフの書かれたバトルシーンが、ふと脳裏をよぎるのである。


次に、別の店でコロンビアのレインブーツ「ラディII」を試着してみた。
ロングブーツスタイルなのだが、履き口はベルトで調節できるようになっており、プラスチックの留め具なのでチュールのスカートをはいたとしても、金具が引っかかるという心配もなさそうだ。

よし、これに決めた!と思っていたところ、長男から意外な横槍が入った。

「ねえ、おんなじの、はきたい!」

何でも私とおそろいにしたがる長男が、長靴もおそろいじゃなきゃ嫌だとゴネはじめたのだ。

親子がお揃いで履けるサイズ展開ではないことがわかり、似た感じのやつで妥協できないか、こちらは依然として継続審議中なのである。

■雨を楽しむ心の余裕を求めて


ポンチョはPLAZAなどで入手できたので、現時点での装備品をすべてつけた状態がこちらである。



抱っこ紐にリュックというスタイルのため、なんだか……全体に樽のようなシルエットなのはご愛嬌だ。

早速雨が降ったタイミングにおいて、この格好で保育園の送迎をやってみたが、今のところなかなか悪くない。

あえて言うなら、ポンチョは完全防水のものが望ましいだろう。なくしたほうのポンチョは防水のものだったが、それと比べると、豪雨の際にやや難があるのだ。


子どもが出来てからというもの、自分が身につけるものを選ぶのは、ファッション性よりも機能性重視になってしまうのは認めざるをえない。その中でもどこか、意地でもファッション性を求める、己の“煩悩のようなもの”と日々戦っているのだ。

この煩悩は残念ながらなかなか消えることはない。
さっさと“ダサいおばちゃん”になってしまえば、ラクなことはきっとたくさんある。わかってはいるのだ……。


そんな雨の帰り道、長男はこんなことを言い出した。

「あめふりのひはねー、あめつぶのおとも、すてきなんだよ!」

突然のポエムに笑ってしまったが、そういう感性からは遠く離れてしまったなあと、少し反省した。

雨の子連れ移動は心が荒むことも多いけど、それを楽しむ心の余裕がほしいところだなあ……と考えていたら、長男が水たまりに思いっきり飛び込んでおり、はねた水で、ひざから下がずぶぬれになる筆者なのであった。

うん、ロング丈の長靴は、早めになんとかしたほうがよさそうだ。
冒険はまだまだ続くのであった……。

ワシノ ミカワシノ ミカ
1976年東京生まれ、都立北園高校出身。19歳の時にインディーズブランドを立ち上げ、以降フリーのデザイナーに。並行してWEBデザイナーとしてテレビ局等に勤務、2010年に長男を出産後は電子書籍サイトのデザイン業務を経て現在はWEBディレクター職。