今クールのドラマで楽しみにしていた、TBS系『コウノドリ』(毎週金曜22:00~)の初回放送を鑑賞した。
http://www.tbs.co.jp/kounodori/

原作は『モーニング』(講談社)にて連載中の同名の漫画(鈴ノ木ユウ・著)であり、2012年8月の短期集中連載時の大好評を受け、2013年春から週刊連載として戻ってきた人気作。ネット上での評価も高く、待望のドラマ化となった期待大の作品である。


「ペルソナ総合医療センター」を舞台に描かれる、いわゆる「医療モノ」であるが、その中心は産婦人科。その産婦人科の医師である鴻鳥サクラを綾野剛さんが演じている。

夜は「BABY」というステージネームでライブハウスに立つ天才ピアニストでもあるサクラは、どんな救急患者も受け入れる、まさにヒーローのような存在。同僚スタッフに、「他の妊婦さんに迷惑がかかるかも知れないんですよ」と制されても、「生まれてくる赤ちゃんに罪はないよ」と優しく微笑む姿に、思わず「こんな先生がいたらいいな~!!!」と心の声が漏れてしまった。


第1話のテーマは「未受診妊婦」。妊娠してから一度も検診にかかっていない妊婦のことを指す言葉だ。

ネットカフェで破水した女性が、「救急車を呼んで」と店員にお願いし、搬送される。数年前、ネットカフェで出産した女性のニュースを思い出す、ドキっとするシーンだった。

ドラマに登場した未受診妊婦は、サクラたちの力により帝王切開で元気な女の子を出産するが、ソーシャルワーカーの「なぜ検診を受けなかったの?」「お金がなくても母子手帳をもらえば、無料の検診チケットがもらえるし、出産費用を支援してくれる制度もある」という呼びかけに、「それはまっとうな人間のためのもの、家もない、借金もある人間が行けるわけない」と拒絶するような態度を取る。

検診を受けなかった理由は想像に難くなく、「貧困」が問題だった。

恋人の借金を返すために風俗店に勤務するが、妊娠が発覚すると恋人に出て行かれてしまう。自身も母親からDVを受けていたトラウマから、母親になっていいのかというためらいや後ろめたさを感じ、検診を受けることができなかった。

決してドラマの中だけではない、現実でもある話なのだろうと思う。


子どもが生まれてからというもの、役所に出向いたり、支援センターに遊びに行ったりするたびに、「子育て支援」「1人で悩まないために」といったチラシやポスターを目にした。

自治体のHPを開き、「子育て」のカテゴリを見てみると、さまざまなイベントが実施され、想像していた以上にいろんなことをサポートしてくれることが分かる。ドラマのソーシャルワーカーが言っていたように、たとえ経済的に余裕がなくても、地域の協力を借りれば子育ての負担を軽減することは十分可能だ。

だけど、一番のネックになっているのはその「情報」にたどり着くまでの過程であって、そこにたどり着けないまま脱落してしまう、情報があることを知らないまま悲しい結果を
迎えてしまうケースもままあるということだ。

一度、自治体の子育て課の人と話す機会があった際に、「もっと誰でも情報を取得しやすいようにならないんでしょうか?」ときいてみたことがある。その回答は、「メルマガに登録してもらえれば、こちらから情報をお送りしますよ」というもので、「うん、メルマガ登録ね。その登録は自分でしなきゃいけないですよね……」と肩を落としてしまった。

メルマガ配信があることまで分かっていれば、そう困りはしないかもしれない。
ただ、それを知らない人の救済措置はないものか、ということが知りたかったのだ。

このことを友人に話したときに、「どん詰まっている人はアンテナが鈍っちゃうものだし、それをユニバーサルサービスな行政に全部フォローしてもらうっていうのは無理じゃないかなあ」と言われて、「そりゃそうですよね……」とガックリしたものだった。

子育て課の人が言っていることも友人の言っていることもごく当たり前の話で、自らアクションを起こさずに情報を得るなんてことは到底無理だ。

だけど、何度も子育てでどん詰まりそうになった身としては、どうにかならないのかな、孤立しているお母さんたちを助けられないのかな、ともどかしい気持ちもあった。


ドラマで主人公のサクラが発したセリフは印象的だった。

「検診を受けないのはあなたの都合であって、検診を受けないということはお腹の赤ちゃんを虐待しているというのと同じです。」

いつも当事者としての意識が強すぎた私には目の覚めるような言葉だった。
そして、八方塞がりで周りが見えなくなっている人にとっては、このような冷静で、現実に引き戻してくれる言葉が必要なのかもしれないと感じたのだ。

第1話を見ただけでも「ペルソナ総合医療センター」の人間関係が一筋縄でないことも分かる。

星野源さん演じる同僚の産婦人科医はサクラとは正反対でクールでシビアなタイプだが、お互いを認め合う良きライバルでもあり、「院長にヘッドハントされてきたの!」という助産師はピアニストとしてのサクラの素性も知っていてどうやらワケありっぽい。

院長も腹にイチモツ抱えた様子で、新生児科部長は優しい父親の一面も見せつつ何だか陰があるような……。

普通の医療モノなら現場の人間関係にフォーカスして、やられたりやり返したりを期待するのだが、やはり「産婦人科」が舞台なのだから、1人でも多くの妊産婦と赤ちゃん、その家族に光を当ててほしいなと思っている。

劇中のセリフにもあったが、「お産の現場は人生の縮図」まさにその通りだ。
人の数だけ出産があってドラマがある。

そして「よくこれだけ生まれたてホヤホヤの赤ちゃんを集めたなー!!」と思うくらい、新生児がわさわさと登場する。まだ大きな声で泣くこともできない、か弱くて、無垢な存在だ。

これが多くの視聴者の萌えを刺激すると思うので、できるだけいっぱい新生児を愛でさせてくださいと願うのであった。

放送終了後1週間、『TBSオンデマンド』で無料視聴できるので、初回を見逃した人はぜひ!
http://tod.tbs.co.jp/item/3776/

真貝 友香(しんがい ゆか)真貝 友香(しんがい ゆか)
ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。現在は夫・2012年12月生まれの娘と都内在住。