アメリカから1年半ぶりに日本に一時帰国をして、10日目の14日に熊本で発生した大地震。
16日には、1995年の阪神淡路大震災の1.4倍にのぼるエネルギーという、M7.3の「本震」が発生して被害が拡大し、断続的に余震が発生している。

この地震に関しては、気象庁が「今までの経験則から外れている」「今後の地震がどう展開するかわからない」と発表する、“想定外”のことが起きているという。


今回の帰国ではポケット WiFiを借り、アメリカにいる時と同じく、少なくともスマホで常時ネットにつながるようにしている。なので、最初の大きい地震はインストールしておいたYahoo! JAPANのアプリの速報で知った。

16日には「本震」が起き、さらに被害が拡大し、避難生活が長引いている。子を持つ親であり、日本語を解さない夫を持つ身として、まず考えるのは子どもや外国人への対応だ。

外国人に関しては、「避難所には外国人観光客もいる」「ネットに接続するための英語での説明書が配布されている」といった報道があり、17日には韓国政府が多数の韓国人観光客が、福岡空港から帰国する飛行機の手配を終えたと発表した。また、福岡市の企業が10ヵ国語の無料電話通訳サービスを行っており、15・16日で約100件の相談を受けたという。


私の場合、阪神淡路大震災で神戸市内の家族親戚全員が被災し、その影響が後々まで続くのを見ているからだろう、親になってから親子で日本に行く場合、とくに地震の可能性が頭の片隅にある。

「大げさ」「深刻になりすぎ」と笑われてしまうこともあるが、誰かの期待に合わせて自分の感情を押さえ込んで前に進むことはしなくても、自分の納得のいく形でやっていければ、と思う。

2011年の東日本大震災で被災した友人知人も、今回の地震の報道にはまず津波のことを考え、そして自分の記憶が呼び起こされてしまっていたりする。

彼らはみんな、その時から何かしら新しいことを始めたり前に進んだりしているが、身近には亡くなったりした人や、災害を境に悪化したりしている状況があったりするとあっては、そうした精神的な動きは自然なことだ。

「自分の人生であんなことが起きたらどうなるかなんて、経験した人でないとわからんわ」という母の一言がいまだに重い。


そんな折、東日本大震災の復興支援に携わっている友人が、「未経験者でも自分ごととして考えやすいから読んでみて」と、さとなおの通称で知られるコミュニケーション・ディレクターの佐藤尚之さん(https://twitter.com/satonao310)が、阪神大震災から学んだ教訓をまとめたブログをSNSでシェアしていた。

かなり臨場感があって、自分の生活環境をあてはめやすい。「もし東京で直下型地震が起きたら」と、その友人も考えている。私の一時帰国でのホテル滞在中でも、できることがある。
http://www.satonao.com/column/variety/jishin.html
http://www.satonao.com/column/variety/jishin2.html


日本滞在中の安否確認の方法も両親に改めてシェアしておいた。NTTコミュニケーションズの災害用伝言ダイヤル「171」もいいが、外国の携帯を持って日本に来て、ネットはできても電話がかけられないプランの場合、「web171」(https://www.web171.jp)が使える。

一方で、東洋経済オンラインでは、「回線交換容量に負荷をかけるLINEの音声通話機能『LINE Out』を使っての安否確認はしないように」(http://toyokeizai.net/articles/-/113928)という記事もあった。

19日朝には、ANAの臨時便が羽田から熊本に到着し、5日ぶりに熊本空港の機能が一部再開したことが報じられた。こうしたニュースが被災者のみなさんを元気付けることになればと願わずにいられない。

大野 拓未大野 拓未
アメリカの大学・大学院を卒業し、自転車業界でOEM営業を経験した後、シアトルの良さをもっと日本人に伝えたくて起業。シアトル初の日本語情報サイト『Junglecity.com』を運営し、取材コーディネート、リサーチ、ウェブサイト構築などを行う。家族は夫と2010年生まれの息子。