「お母さんにやさしい国ランキング」で2014年の第1位となる(セーブ・ザ・チルドレン「母の日レポート2014年」調べ)など、“お母さんにやさしい国”と称される国、北欧のフィンランド。母子保健にまつわる福祉制度の充実や教育水準の高さなど、ママ・パパや子どもへのきめ細やかなケアが行き届いていることから、世界中の注目を集めている。

来たる6月4日(土)昼14:00~14:55にBSフジで放送される、『AI LOVE ベイビー 子育て王国フィンランドSP』は、そんなフィンランドから気になる子育て事情をお送りするドキュメンタリー。2015年夏に女の子のママとなった歌手のAIさんが、スタジオゲストとして出演。歌手としてではなく、私たちと変わらないひとりのママとして見せる素直なリアクション、飾りっ気のない言葉も印象に残る。


さて、フィンランドといえば、筆者は昨年秋に、初の子連れ海外旅行で行ってきた国でもある。番組で映し出される首都・ヘルシンキは、歩いても十分回れるぐらいコンパクトな街で、「ここ行った!」「この通り分かる!」と、既視感のあるところばかり。そしてどこを歩いてもベビーカーで出かける家族連れが多かったことを思い出す。


日本にいても、最近は子連れで出かけている人が多いなと感じるが、フィンランドはその比ではなく、石畳の道&冬の凍結に備えた車輪の大きなガッシリしたベビーカーの数々がこれまた目立つのだ。

「これ、ちょっと小柄な大人なら乗れるんじゃない?!」と思うような軽車両レベルのベビーカーも目撃した。日本でなら、「こんなベビーカーを押して、電車やバスに乗るときどうする?」と考えてしまうところだが、フィンランドではその心配はご無用。地下鉄やバスにはベビーカー用のスペースが用意されており、乗車時にベビーカーはたたむ必要はない。しかもベビーカーに乗っている赤ちゃんはもちろん、ベビーカーを押している人も運賃は無料なのだ。

「赤ちゃん連れでどんどんお出かけしてください!」と言ってくれているかのようなこの手厚さを思うと、あらゆる媒体で繰り返されている「公共の乗り物ではベビーカーはたたむべき」「ラッシュ時には乗るべきではない」といったベビーカー論争って一体……という気持ちになってしまう。

スタジオゲストのAIさんも、「この間子連れでバス乗ろうとしたらすっごく大変だった~」と嘆いていて、「あ、有名人でもバス乗るんだ~」とちょっと親しみを感じる一場面であった。


また、フィンランドの子育て支援で有名なのが、赤ちゃんが生まれるのに際してKELA(フィンランド社会保険庁事務所)から無料で支給される、育児パッケージ。


ベビー服をはじめケアアイテム一式のほか、タオルや布団に絵本、赤ちゃんをお風呂に入れるときの水温計に至るまで、約50点ものアイテムが揃えられたこのパッケージは、何と約80年も前から法制化されている制度とのこと。経済的に裕福でない家庭でも、分け隔てなく平等に赤ちゃんを育てられる機会を与えることになっているそう。

そして育児パッケージを受け取るには妊婦健診の受診が必要になるため、健診への動機付けとしても効果があり、妊産婦リスクの早期発見・予防にも貢献しているとのこと。


国から支給されるものだとデザインはちょっと期待できないのでは……という懸念点もあるが、こちらはパッケージや中身も非常にかわいらしく、しかも男女どちらも着用できるように作られており、さすがデザイン大国フィンランドといったところ。

ちなみにパッケージになっているボックスはベビーベッド代わりにもなるようで、一度ボックスに赤ちゃんが収納(?)されている様子をネット上で見たときは、あまりのかわいらしさに悶絶してまった。

これにはスタジオゲストのAIさんも「私もこれほしい~!」とうなっていたが、本番組制作局のテレビ新広島(フジテレビ系列/広島県)では、この育児パッケージに着想を得た「はじめてばこ」というプロジェクトを2015年から実施、すでに1万人以上の赤ちゃんに届けたという。


はじめてばこ - TSSテレビ新広島
http://www.tss-tv.co.jp/thankyouforzero/
(※応募資格は広島県に在住の生後6ヵ月以内の赤ちゃん)


このような取り組みは全国各地でもどんどん取り組んでみたら、きっと普及していくのではないかな?という前向きな気運を感じた。


さて、ここまで「無料!」「赤ちゃんにもママパパにも優しい!」と強調してきたが、何もせずにこの恩恵を受けられるかというと残念ながらそうではない。北欧諸国に共通していることだが、とにかく消費税率が高いのだ。

フィンランドでは何と24%! 現在8%の日本人からすると「うーん……」となってしまう数字ではある。食料品など生活必需品とされているものは、軽減税率で比較的が低めの税率に設定されているが、いわゆる嗜好品、アルコール類などはものすごく高い税率で、おいそれとは飲めない雰囲気もあった(飲んだけど)。

しかし、税収による財源が確保されていることによって、国家予算の約12%が教育費に充てられていることは素晴らしいと思うし、就学前教育から基礎教育、高等教育、そして大学院教育費まで無償というのも、学費のことをつねに念頭に入れておかなくてはいけない日本で子育てをする親の立場からすると非常に魅力的だ。

もちろん決してフィンランドがすべて正しくて、日本は何もかもダメ、という話ではない。この番組では、フィンランド流の子育てをエッセンスとして取り入れたら、日本の子育て環境がより良いものになるのではないか、という示唆に満ちているし、ママ・パパにも赤ちゃんにも優しいのは、ただのボランティア精神ではなくて、とても合理的な理由に基づいているというのも感じられる。

何より筆者としては、フィンランドの街並みや一般家庭の様子を見ているだけでも、「また行きたい~!」と旅に対する欲を刺激された。次行けるのはいつだろうか……。

AI

BSフジ『AI LOVE ベイビー 子育て王国フィンランドSP』
放送:2016年6月4日(土) BSフジ 午後2時00分~2時55分
番組サイト
http://www.tss-tv.co.jp/thankyouforzero/ailovebaby.html


真貝 友香(しんがい ゆか)真貝 友香(しんがい ゆか)
ソフトウェア開発職、携帯向け音楽配信事業にて社内SEを経験した後、マーケティング業務に従事。高校生からOLまで女性をターゲットにしたリサーチをメインに調査・分析業務を行う。現在は夫・2012年12月生まれの娘と都内在住。