新年会や送別会などのパーティーシーズンに、子連れママ会の幹事の頭を悩ませるのは「場所」の問題。居酒屋やレストランの個室を借りても、幼児が3人以上集まればおとなしく座って食事を楽しむなんてことは不可能になる。

子どもたちは部屋の中を走り回ったり、個室を抜け出してお店の方や他のお客さまに迷惑をかけたりするので、「待ちなさい! そっちはダメ!」と、ママは子どもを追い掛け回さなければならず、大人同士の会話は常に分断され続け、「で……なんだっけ?」の連続である。また、乳児連れのママがいる場合、授乳やオムツ替えスペースのことも考えなければならない。

そんななかでもやはり、“お店の方や他のお客さまへの迷惑”がママにとってかなりのストレスになるため、本音を言えば、子どもフリーにしておける“誰かのおうち”での開催が望ましい。とはいえ、子どもが2人以上になってくると、ママの頭数×3以上の人数を収容できるおうちというのもなかなか厳しい。

そんななか、筆者は昨年の子連れ忘年会を、話題のネットサービス『SPACEMARKET』×『MyChef』を利用して企画実施してみたところ、母子ともにかなり満足度の高い会食になったので、その活用事例を紹介したい。


■母子の集まりに使える『SPACEMARKET』


今回利用したのは、以下のような開催条件の会合。

▼メンバー:
元職場の同僚女子&ママ(大人10名+乳幼児7名の総勢17名)
▼日時:
日曜日の昼間3時間
▼場所:
メンバーの居住地がバラバラなので都心が有り難い

この条件から通常のお店を探すのであれば、居酒屋個室の横に長~い席になってしまうのが関の山であるが、『SPACEMARKET』で見つけたのは、白金台駅・徒歩3分にある開放的なオープンスペースのあるカフェ。

通常はカフェ運営されているところなので、座席や食器は十分過ぎるほどあり、とてもゆったりと寛げた。バックミュージックの音響設備もあり、好みの音楽を流すことも可能。

PCからプロジェクションできる大型テレビもあり、事前に用意した“メンバーの近況報告プレゼン”を投影しながら近況報告タイムを作ったりと、素晴らしい貸し切り空間であった。

当日は『MyChef』でお気に入りの出張シェフを呼び、子どもも食べられるイタリアンのビュッフェを作ってもらった。デザートのケーキは3種類もついて、親子共々大満足!

飲み物はお酒の量販店『カクヤス』で手配。メンバーのリクエスト(種類と量)を確認して注文したビール・ワイン・チューハイ・お茶・フルーツジュースなどが、当日冷えた状態で届けられるので、普通にお店で宴会をしているのと変わらない便利さであった。

これで会費は大人一人あたり7,000円(子どもは無料)。3時間の子連れ貸し切りで、飲み放題状態のドリンク付きなので、心理的負担の軽さを考慮すると「むしろ安い!」という感覚値であった。

レストランやスタジオ、誰かのおうちなどのアイドリング時間を、個別に切り出して流通させるレンタルスペース提供サービスの『SPACEMARKET』であるが、走り回ったりしがちな子どもを連れた母子の集まりには本当にうってつけである。

もちろん各会場のルールは守らなければならないが、“お店の方や他のお客さまへの迷惑”がないだけで、ママの気持ちは一気に軽くなるということを実感した。

また、会場のトイレにオムツ替え台の設備がなくても、“他のお客さま”が居なければ、オムツ替えエリアや授乳エリアを自由に設定することができるし、キッズスペースのようなエリアを設けて、たとえばあらかじめ100均ショップでクレヨン・画用紙・折り紙・風船などを用意して並べれば、子どもたちも楽しい時間を過ごすことができる。

■レンタルスペースならではの注意点


全体的にとても満足度の高い子連れ忘年会ではあったが、実際に使ってみて、「お、これはこれは……」と感じた注意点もあるので、ご紹介しておきたい。

【1】キャンセルに対応しにくい
『SPACEMARKET』に流通しているほとんどの場所が、予約成立時からキャンセル料が発生する規定になっているので、体調不良などでメンバーが減っても開催自体をキャンセルすることは難しい。

欠席したメンバー分の代金を他のメンバーで負担するか、「欠席しても会費はいただきます」という前提で、あらかじめメンバーから確度の高い出欠を取る必要がある。今回は風邪が流行る忘年会シーズンだったため、前日までメンバーのうち数人が体調を壊していてハラハラしたが、欠席は1組で済んだ。(あいにく欠席者には後日会費をお支払いただくことに。)

【2】撤収作業の時間配分
レンタルスペースの場合、「原状復帰」が原則になるので、お皿を洗ったりゴミをまとめたりする作業が発生する。その作業自体はママにとっては日常的なものなので、大変ということもないのであるが、その作業時間をちゃんと確保しておかないと、「やばい!もう5分前!」みたいなことになってドタバタしてしまう。

最後の20分は撤収作業になることを見越して、予約時間を検討したほうが良かったなと反省。3時間よりは3時間半で予約したほうが、もう少しのんびりできたかもしれない。

【3】残り物持ち帰り用のドギーバッグの用意
当日のご飯が大量に余ってしまうことがあり、「美味しいから捨てるのは忍びないし、晩ご飯に流用したい」というニーズが発生。今回は会場の近くに100均ショップがあったので、ダッシュで使い捨てプラスチックパックを買って対応したが、事前にお持ち帰り用のドギーバッグ的なものを用意しておいたほうが良かった。

【4】プロデューサーが必要
今回は、イベント企画大好き人間の私がプロデューサー役を買ってでたが、メンバー召集や予算管理、料理や飲み物など、さまざまな発注作業と調整が必要になるので、最低一人はプロデューサー的な人間が必要になるだろう。

【5】スペースのキャパの見積もりは「倍」に

各スペースが公表している最大収容人数は、実際にその人数を集めたらぎゅうぎゅうになってしまう人数である可能性が高いので、メンバーの人数の倍くらいの最大収容人数の会場を選択することをオススメしたい。

今回私たちはまさにそのような見積もりができたのでゆったりと楽しめたが、他の人のレビューを読んでいると、「人数に対して狭すぎた」というような書き込みもあったので、教訓として残しておきたい。

以上である。

いくつかの気をつけなければいけないポイントもあるが、大人数の子連れ会食には本当に有り難い仕組みだと感じた。乳幼児連れグループの集まりにおいてはまだまだ選択肢が少ないという現状であるが、『SPACEMARKET』のようなサービスを使ってアレンジしてみるというのも一考である。次は総勢50~60名規模となる保育園の卒園式アフターの謝恩会企画でも使ってみたいと企てている。

SPACEMARKET
https://spacemarket.com/
MyShef
http://mychef.jp/

森田 亜矢子
コンサルティング会社、リクルートを経て、第一子出産を機にフリーランスに。現在は、Baby&Kids食育講師・マザーズコーチング講師・ライターとして活動中。3才長女と0歳長男の二児のママ。