お父さんが女の子を連れてお出かけしたときに、トイレをどうしたものか? けっこうみなさん、頭を悩ませておいでなのですね。

男の子だったら、お母さんが女子トイレに連れて入るのにとくに躊躇(ちゅうちょ)はありません。うちもそうでしたが、せいぜい「何歳くらいから、ひとりで男子トイレに行かせるべきか?」というのでちょっと悩むくらいかと。

なので、筆者自身はあまり真剣に考えたことがなかったのですが、以前トイレトレーニングの本をつくった際、困難に遭遇したお父さん方の話を聞いて、なかなか驚きました。

まずよくある悩みは、「男子トイレにおむつ替えの台がない(少ない)」というもの。昔よりは徐々におむつ台設置の男子トイレも増えてはいるようですが、それでもまだやはり、お父さんが困ることは少なくないようで。

「女の子を男子トイレに連れて行くことに抵抗を感じる」という声もよく聞きます。ほかの男の人たちがおしっこしてるところを、わが娘に見せたくない、と言うんですね。

それも言われてみたら、まあたしかに。目に入り得るのは、おしっこという排泄ブツだけではない。排泄器官も見えかねず、そんな光景を娘にさらすのは気がひけましょう。

また意外なことに、男の人にも、「おしっこしているところを異性に見られるのがいやだ」という気持ちもあるようです。

わたしらが子どもの頃には、そこらで“立ちション”してる男の人は珍しくなかったですから、「え、気にするの?」と、ちょっと驚きます。

あとは、お父さんが娘を連れて女子トイレに入ることが許されないのが不公平だ、という声も、たまに聞きます。これも、最初に聞いたときは驚きました。「え、そんなこと当たり前じゃない?」と。だって、お母さんたちだって男子トイレには入らないですからね。

が、よく聞いてみると、高速道路のパーキングエリアなんかで、女子トイレの混雑時におばちゃんたちが男性用トイレの個室に進出することがあるといいます。それで、「どうしてそれはよくて、逆はダメなんだ」という思いがあったりもするようです。

小便器のスペースがある分、男子トイレの個室は、たぶん女子トイレの個室の数より、だいぶ少ないんですよね。だから、男性が個室を使う用をもよおしたときに、運悪くそれがみんな埋まっちゃっていて、かつ隣の女子トイレがガラガラだというとき、「あっちに入りたい!」って思うんだけれど、それはダメなわけで……。むしろ、つかまっちゃう!? その非対称性にカチンときてたりするようです。

まあ、パーキングエリアに関しては、逆もアリかもしれません。男性用の個室が混んでいて女性用が空いているときは、ちょっとスペースを区切って、できれば警備員もつけたうえでなら、男性も女子トイレを使えるようにする、というのもいいかもしれない。

いやむしろ、どこにあるトイレでも、空いてたら男女関係なく入れる、ということにしたほうが効率はいいか? うーん、でもそれはやっぱり女性からするとコワい……。

そんな感じで、女児連れパパのトイレどうする問題を詳しく聞いてみると、なかなか奥深いです。

もちろん、子どもが急にもよおしたときに困るのは、お父さんだけではありません。お母さんだって同じです。子どもの排泄緊急時には、男子トイレでも女子トイレでもすみやかに活かされるような、新しいシステムか運用ルールが発明されるといいのですけれどね。

大塚 玲子大塚 玲子
編集者&ライター。都内の編集プロダクションや出版社に勤めたのち、妊娠を機にフリーとなる。以来、書籍やムックの企画・編集・執筆などを行い、2014年からはWeb媒体にデビュー。結婚、離婚や子ども、家族をテーマにした仕事を数多く手がける。