「朝起きてから寝るまで、ノンストップ」

典型的な6歳児とは、たいていそんなものだろうか。電池が切れかけギリギリでも、「この本、読んで」と催促したり、「まだこれやってるから」と寝るのを先延ばししようとして、電池が切れる瞬間まで何かしている。

息子の場合、最近は「あ、眠くなってきた」「ちょっと疲れたみたい」と、電池切れを自分なりにわかって伝えてくれるようになってきたが、先日、筆者の夫が子ども向けのアクティビティトラッカーを買ってきたときは、「基本いつも動いてる子どものアクティビティをトラッキングする意味はあるのか?」と思ってしまった。

筆者自身、「君は睡眠時間が明らかに足りない。これならゲーム感覚で、日々のアクティビティを管理できる」と、これまた夫が数年前に買ってくれたウェアラブルデバイスの「Fitbit」に一時はかなりハマッた。しかし、そもそもゲームをしないし、手首に何かつけるのが嫌で腕時計もつけないので、付け忘れたりする日の方が多く、反省するばかりなのだ。

しかし、息子は夫が買ってきた、赤色で恐竜のティラノサウルスが画面に表示されている、ガーミン社の子ども向けデバイス「vivofit jr.(ヴィヴォフィット ジュニア)」を、一目で気に入った。軽いし、手首にはめるだけで(リストバンド式)、防水対応なのがいいらしい。「遊んでる時に落としたりしないし、スイミングにもつけたままでいい!」


使い始めると、時刻が表示されるのが一番嬉しいようだ。「今は……3時20分!」「あと10分で9時だよ」といきなりお知らせしてくれたり、従兄や友だちとの待ち合わせまで待てず、「まだ1時間もある」と待ち時間を考えたりしている。

親にとっては、なんとなく見ていた子どもの行動が、歩数や運動時間、睡眠時間という形で数字化され、お互いに比べあうこともできるようになった。親子のコミュニケーション促進なんて大それたものではなく、ただ比べあうのが面白いだけなのだが。

とくに、自分が同伴していない日中のクラスではどのぐらい動いているのか知ると、「80分! 何してたの?」と聞いたりして、「今日は晴れてたから、みんなで大きいプレイグラウンドに行ったんだよね」と、こちらが知らなかったこともわかったりする。

タイマー機能もあり、「今から30分たったらやる」と、30分後に鳴るようにして、それまで遊ぶことだけに集中していたりするようだ。

あらかじめリストしたお手伝いを完了してチェックすると、デバイス内でコインがもらえる「お手伝い」機能はいかがなものだろうか? うまく使える人もいるのだろうが、筆者がもしこの機能を子どもがお手伝いというものをするようになる前に与えていたら、コイン(ご褒美)ありきになってしまったかもしれない。

子どもが持っている「役に立ちたい」「役に立ってうれしい」という思いがまずあって、そして二次的にこの機能を使うのならいいだろうか。今のところ、「お手伝いをして早く家のことが終われば、一緒に遊ぶ時間がもっと増える」方が気になる息子は、ものすごく一緒に遊びたい時はとくにテキパキと手伝う。自分が役に立つことが素直に嬉しそうだ。

しかし、「これ、キンダーにもつけていきたい」と息子が言ったときは、「こういうものをキンダーにつけて行ってもいいものか? モンテッソーリらしくない?」と考えた。ところが案ずるより産むが易しで、登園した時に先生にきいてみると、「いいですよ!」と言ってから、「もちろん、集中を妨げられないならですが。私も同じようなものをつけてますから、一日の終わりに歩数を比べて、どちらが多いか引き算の練習にもなりますね」。

その日、迎えに行くと、先生は「結果を聞いてみてください」と言い、息子は「先生より400歩も多かったよ」と嬉しそう。デバイスも使いようによって、いろいろな展開に持っていけるのだ。

大野 拓未大野 拓未
アメリカの大学・大学院を卒業し、自転車業界でOEM営業を経験した後、シアトルの良さをもっと日本人に伝えたくて起業。シアトル初の日本語情報サイト『Junglecity.com』を運営し、取材コーディネート、リサーチ、ウェブサイト構築などを行う。家族は夫と2010年生まれの息子。