大和ハウス工業では、子どもを持つ共働き夫婦を対象に、「家事」に関する意識調査を実施し、その結果を発表した。調査対象は、全国の20~40代で同居の子どもを持つ共働きの夫婦、計600名。

調査ではまず、家庭での家事負担の割合について質問。調査対象は共働き夫婦にも関わらず、全体では「妻10割」と回答した層が11.0%にのぼり、「夫1割:妻9割」と「夫2割:妻8割」を合わせた≪妻の家事負担が8割以上≫が61.7%と過半数を超え、≪妻の家事負担が7割以上≫となると80%を超えることが明らかになった。

なお、この質問について妻と夫とで比較すると、妻の認識では「夫1割:妻9割」が37.3%で最も多かった一方で、夫の認識では「夫3割:妻7割」(27.0%)がもっとも多く、そもそも家事負担の意識に差があることが浮き彫りとなった。


次の質問では、一般的にどこの家庭でもやっている、「ごみを分類する」「手洗い場のタオルを取り替える」「トイレットペーパーがなくなった時に、買いに行く」といった家の仕事30項目(※下グラフ参照)について、「家事と思うか」についてきいた。すると、全30項目のうち18項目で、妻は「家事」と認識している割合が夫より高いことがわかった。つまり、妻が「家事」として日常的に行っているにも関わらず、夫がそれを家事と認識していない【名もなき家事】の存在が、夫婦の家事負担割合の認識の差につながっているようである。

なお、先の質問における家の仕事30項目について、夫が家事として認識しているにも関わらず、実際に行っている割合の落差がとくに大きいものとして挙げられたのは、「アイロン掛けをする」「食事の献立を考える」であった。



今回の調査結果に対して、住宅ライター・アドバイザーの藤原千秋氏は、「仕事と同様、『家事』ひとつひとつにも、さまざまなプロセスと工程がある」ことについて指摘。「洗濯ひとつとっても、『汚れた衣類を洗濯機に放り込む』=『洗濯』ではなく、汚れた衣類を観察して仕分けることや、洗剤・仕上げ剤選びおよびその補充管理、洗濯後の適切な干し方、乾いたものを畳んで収納するなど、さまざまな作業プロセスが必要で、そこまで含めての『洗濯』であり、『家事』の内容の詳細はひとくくりにできない」ということを強調する。

そして、「周辺のこまごました、家事と認識されない【名もなき家事】は、『洗濯』のようないわゆる“名のある”家事と常にセットで存在しており、【名もなき家事】自体にも限りない多様性があり、それぞれの家庭によっても手間(プロセス数)が異なり、妻がこれらの作業を家族に黙って抱え込んでしまうことは、図らずも『家庭の危機』を招いている」ことについても言及する。

【名もなき家事】を抱え込まないためにも藤原氏は、「家事のプロセスを分解して家族に振り分ける」「【名もなき家事】の簡略化を試みる」「『夫の家事100%ウィーク』を設ける」といったことにより、家事プロセスのすべてを夫に自分ゴト化してもらうことが大切であると述べている。