先日、2歳1ヵ月の息子を連れてニューヨークへ行ってきました。2歳の子どもとの遠征ということで一番心配だったのが、長時間フライト。飛行機という途中下車できない密室で14時間もの間、周りに迷惑をかけずに過ごせるか非常に不安に思い、さまざまな物を用意していきました。

その中でも、「これがなければ無理だった!」というマストアイテム、JetKids社の「ベッドボックス」をレビューします。


子ども用の引っ張りやすいトランク、乗れるトランクというものはよくありますが、これは引っ張りやすく、乗ることもでき、さらに機内ではベッドになるという優れもの。大きさは高さ36cm、横幅46cm、奥行き20cm。機内持ち込みが三辺の合計サイズ100cm~115cm程度なので、問題なく持ち込めます。

中には付属のマットレスが丸まって入っているためあまり多くの物は入りませんが、塗り絵、シールブック、絵本数冊、お菓子各種、粘土など、子どもが喜ぶものを細々と詰めて出発しました。

まずは空港で。2歳というとなんでも親の真似をしたがる、自分でやりたがる時期ですが、そんな子どもにこれは抜群のアイテムでした。空港内のフラットな床ではなんの引っかかりもなくすいすい進むので、息子は紐を引いて連れ回したり、上に乗って親が引っ張ったりと、とにかくこのスーツケースがお気に入りになりました。


何かと慌ただしく、機内で落ち着くまでは極力おもちゃやお菓子を出したくないと思っていましたので、これには助かりました。チェックインやセキュリティゲートなど列で待機する時には、紐を引っ張ってふらふらとどこかへ行きそうになるので注意が必要ですが、泣き叫ばれることを考えれば大した問題にはなりません。

機内に搭乗して離陸、やがてシートベルトランプが消えたところで、いよいよベッドの出番です。取り出し方はいたって簡単。トランクの蓋を開けて上下逆さまにし、本体から伸びた棒に刺して蓋の裏にあるスライドを伸ばします。そしてその上に付属のマットレスを乗せるだけ。たったこれだけの作業なのに座席が伸びてスペースを広く使うことができます!


それまでは狭い座席に早くも飽きて歩き出そうとしていた息子が、この広がったスペースで足を伸ばしてすっかりリラックス。スーツケースの中から取り出したお菓子や玩具、パーソナルモニターに映し出されるアニメ映像に夢中になってくれました。

座席で座っているだけならあってもなくても一緒かな、と思い一度しまってみましたが、体勢を変えるだけで落ちてしまうほどの狭いスペースと、簡易とはいえマットレスが敷かれたスペースがあるのとでは、こちらのストレス具合が大きく違いました。


そして気になる就寝時。「ベッドボックス」との名の通り、ベッドになるということで期待を込めておりましたが……結論から言えば、向きを間違えなければ安定したベッドになり、大変重宝します。

当初、座席にくっつけるようにトランクを置き、前にスライドを伸ばしていました。しかしこれではどうもスライドがすぐに動いてしまい、寝ていても寝返りを打つだけで突然足場がなくなりなかなかうまく熟睡できなかった様子。

往路の飛行機ではラッキーなことに3席分の座席を息子と私の2人で占領することができたので、結局はひじ掛けをすべて上げて横になった私の上に息子が寝る、という体勢で落ち着きました。ただ、この時も私の足を置くことができたので、「まぁあって良かったな」という感想。

が!復路の飛行機では、トランクを前の座席にくっつけるように置き、座席に向かってスライドを伸ばしました。するとこの方が安定してスライドを使うことができ、息子もこのベッドの上でしっかり眠ることができました。飛行機の中ではいかに長く眠ってくれるかがカギとなるので、これはやはり大変助かりました。


ベッドボックスの説明書はイラストのみの大変シンプルなものなので、どの言語でも理解はできますが、こういった細かい向きまでは説明が足りないようです。また、スライドやマットレスを固定するものが何もないため、スライドは上述の通り向きによっては動きやすく、マットレスも座席に乗せるだけなので、体勢を変えるたびにずれてしまいます。これらのスライドとマットレスを固定する工夫があればもっといいのに、と思った次第。

もうひとつ面白い発見が、滞在先のホテルにて。ちょうど同じくらいの歳の男の子と一緒に滞在していたのですが、部屋のなかでふたりしてこのベッドボックスを引っ張りまわして大はしゃぎをしていました。押して歩くベビーカーなどとも違い、紐をもって歩けばついてくる箱、というのは彼らには新鮮だったようです。あまり多くの玩具を持ち運べない旅先では、「トランクが玩具になる」というのは親としてありがたい発見でした。

このように旅の途中や旅先でも使い倒した結果、マットレスはお菓子や飲み物の染みだらけに……。帰宅後は特に汚いところを手洗いした後、ネットに入れて洗濯機で洗うとしっかりきれいになってくれました。子どものものというのは絶対に汚れるものなので、簡単に洗濯できるのはとてもありがたいですね。

総合的に考えて、少し改善点はありそうとはいえ、これだけ旅を助けてくれるアイテムは、約2万円を出してもその価値があると言えるでしょう。現在インターネット上では生産待ちの予約販売となっています。夏の予定を立てるのと同時に、早めにこちらの購入も検討することをオススメします。

Jet Kids Bed Box オフィシャルサイト
http://jet-kids.jp/

福井彩乃
2015年3月生まれの息子の母。新卒でIT系ベンチャーに就職、「意識高い系」として働くも心を病みかけて退職。その後PR代理店、大手不動産系事務派遣などで働く一方、声優として事務所に所属。出産をきっかけにフリーランスとして働き始める。