毎年夏恒例のアンパンマン映画が今年もやってくる。第29弾となる2017年は、7月1日(土)公開、タイトルは『それいけ!アンパンマン ブルブルの宝探し大冒険!』。

宝探し一族のライオンの男の子・ブルブルが、一人前になるためにお父さんから渡された宝の地図を持って冒険の旅に出かける、というストーリー。強がっていても本当は怖がりなブルブルが、アンパンマンたちと一緒に冒険することで成長していく物語だ。

今回はゲスト声優であるキャイ~ンのおふたり、主人公ブルブルのお父さん役を担当した天野ひろゆきさんと、宝の門番「いいかげんに城」を担当したウド鈴木さんに話をきいた。


――― お二人ともアンパンマンに初出演ということですが、出演が決まっていかがでしたか?

天野:いやー嬉かったですね! 僕はまわりにずっと「アンパンマンに出たい」と言い続けていたので、念願叶っての出演で本当に嬉しいです! 今回はとくに奥さんも喜んでくれて。他のお笑いのお仕事とかはあんまり関心なさそうですが、これだけは喜んでくれましたね(笑)

ウド:僕も嬉しかったですね! 僕は小さい頃からアンパンマンに憧れて生きてきましたので……

天野:アンパンマンのアニメよりウドちゃんの方が先でしょ!

ウド:いやでもね、アンパンマンの大きな背中っていうのは憧れますね! じつはアンパンマンが映画になったのと、ブルブルの声優役の多部未華子さんが生まれたのと、僕がウド鈴木としてデビューしたのがほぼ同じ年なので、感慨深いですね。



――― 今回のテーマは「冒険」ということですが、おふたりは子どもの頃の「冒険」の思い出はありますか?

天野:ありますね! 小学生か中学生の頃かな、友だちと鈍行列車に乗って甲子園まで行ったんですよ。その時は泊まるところなんか全然決めずに行って、野宿したんです。しかも春の甲子園だったので、ものすごく寒くて……まさに「ブルブルの大冒険」でしたね。

ウド:僕が小さい頃は、近所をもうどこでも遊んで走り回っていたんです。そんななか一軒家を建て替えているおうちがあって、その敷地内に仮住まい用の簡易トイレがあったんです。当時の簡易トイレはタンクに貯めるというよりも、ただ穴が掘ってあって肥溜めになっていて、そこにベニヤ板みたいなもので蓋をしてあったんです。そのあたりで遊んでいて、わーって逃げる時に、その板がバターン!ってなって、肥溜めに落ちちゃった! そのまま家に帰るのも忍びないので、公民館の水道でじゃーって流してから帰ることにしたんですよ。

天野:それで水で洗った後どうしたの?

ウド:ブルブル!!ってね(笑)



――― 小さな子どもにとっては映画館に行くのも大きな冒険ですが、初めて映画館に行った時のことは覚えていますか?

ウド:覚えてます、小学生でした。

天野:僕もそうですね。当時の流行っていたアニメ映画が観たくて親父に連れていってもらいました。ただ、多分親父はまったく興味がなかったんでしょうね。となりで爆睡してましたから(笑)。でも僕はものすごい興奮してたのを覚えてます。映画館に行く、ということがすでにひとつのアドベンチャーというか。

ウド:僕もたしか小4ぐらいで、観たのは「男はつらいよ」でしたね。

天野:映画館デビューで行く映画か?それは(笑)

ウド:寅さんはいつもふらふらしてるけど、女の人と出会って恋をしたりして、うらやましいなって思ってました、小4ながらに。その時はわからなかったけど、だんだん大人になってくると「男はつらいな」ってわかるようになってきましたね。

――― 天野さんのお子さんは映画館デビューされましたか?

天野:してないんですよ。まだ1歳なのでなかなか連れて行けなくって。でもね、この映画だったら連れて行けそうなので、多分この映画が映画館デビューになると思いますよ。まだ映画館デビューしてなくて、何に連れて行こうかと思っているお母さんにはぜひ、この作品で一緒に映画館デビューしたいですね。

――― お子さんはアンパンマンは見ていますか?

天野:内容まではわかってるかわかりませんが、動いてるところをじーっと見たり、ぬいぐるみで遊んだりしてます。あと今回の前売券を買うと付いてくるリュックがあるんですけど、それをずっと背負って歩いてますよ。リュックを下ろそうとすると嫌がるくらい気に入っちゃってます。

――― 現在1歳を過ぎた頃かと思いますが、もう歩いているんですね?

天野:歩いてます! ハイハイの時期がものすごく短くてびっくりしました。今はルンバと赤ちゃんの後を僕が追いかけてますね。速くって焦るんですよ。さっきあっちに一回置いたのに、もうこっちに、と。ついこの間までつかまり立ちだったのに、子どもの成長は早いですね。そのうちスキップするんじゃないかと怖いんですけど!

――― おうちでのほほえましい姿が目に浮かびます。子育てについて、何かこだわりや方針はありますか?

天野:うちの子はすごく自分でなんでもやりたがるんです。食事も食べさせられるより、自分でフォークを持って刺して食べたがるんです。自立心が強いのか、たまにこちらが手を添えようとすると「まぁまぁまぁ、待て待て」と(笑)。うちの小さなすべり台に登ろうとして僕が抱っこしようとすると、「まぁまぁまぁ、できるから」みたいな感じでたしなめられたりしてね。

ウド:どっちがお父さんか!みたいなね。

天野:そうそう、それで自分でちゃんとすべり台に上がって、ラク~な感じでスーッと降りてきますけどね。なので危険がないようには見てますが、なるべく本人の意思に任せるのがいいのかな、と思ってます。

――― 子育てをする中で、こんなことをしたらママに喜ばれた、ということはありますか?

天野:子どものことはほとんどママに任せっきりですが、自分の行動は少し変わったかも。今まではお風呂上りなんかは裸で家の中をふらふらしたりして、自分が子どもみたいな生活をしてましたかたから(笑)このままじゃいけないんだ、ってのがわかって。

ウド:天野くん、体形が赤ちゃんみたいで可愛いんですよ!

――― 今回の映画を通して伝えたいことはありますか?

天野:子どもに聞かせるために改めて絵本を読んでいたら、やなせさんの、戦争を経験された方たちの思いみたいなものを感じるんです。食べ物がいっぱいある幸せとか、まずアンパンマンをはじめ、いろんな食べ物をキャラクターにしたのがそうでしょうし。そして自己犠牲というか、困っている人がいたら自分が持っているものを分け与えるんだ、とか。

とかく現代は守りに入ってますよね。テレビ業界なんかも、「あんなことを言われるかもしれない」ってどんどん守りに入っちゃって。でも、アンパンマンはそんなことも気にしないで体が動いちゃうんだ!って言っていて、そういう素直な思いが大切なんだなっていうのを、大人も感じてくれるんじゃないかと思います。



――― 今回の役を演じる中でどういうところに気を付けましたか?

ウド:自分は「いいかげんに城」という城の役なので、城の気持ちになって……それを念頭に置いてやりました。

天野:城の気持ちってなんだよ!


ウド:自分も城になったことはなかったんですが、城は1日にしてならずという気持ちで、日々の積み重ねの中で、できるならば石垣を積むように徳を積んで生きていきたい。そういう質実剛健な気持ちを大切に、重心を深くしっかりして、そこに、ふぁー!っと。城の気持ちを体現できるように、大きい声を出してやりました。

天野:結局やったことは大きい声を出しただけじゃない(笑) 僕は今の自分の状況にかなり近い役柄だったので、子どものことを思いながら演じました。でも、改めて聞くと多部ちゃんのブルブルの声が非常に可愛いんですよ! 僕がアフレコした時はまだ多部ちゃんの声は入ってなかったんですけど、もし多部ちゃんの声を聞いてたら、もうちょっと優しくなっちゃってたかな?って。

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――― 息子さんには、演じられたように「一人で冒険に行け!」ってできますか?

天野:いやー、どうだろう? でも、さっきも言ったように、そんなことわざわざ言わないでも一人で行くわって感じの子なんでね。多分来年あたりは一人で冒険するんじゃないですかね(笑)

――― 最後に、子育て世代のママたちへの応援メッセージをお願いします。

天野:妻を横で見ていても、夜中に起きたりとかもするし、ほとんどちゃんと寝られてないと思うんです。だから知らない間にストレスなんかもたまっちゃってると思うんですよ。アンパンマン映画の劇場はそういったママさんたちの味方ですから、ぜひとも羽を伸ばして子どもたちと一緒に楽しんでもらいたいと思います。時折大きな声も出しちゃってもいいと思うんですよ。一緒に歌うとこもありますしね。

ウド:ぜひ、ドキドキワクワクの始まりだ!ということで、みなさん一緒にこの映画を観ていただいて、映画の中で家族みんなで大冒険!と、ストーリーの中に入っていただきたいですね!

天野:映画館に行くこと自体も大冒険の子どもたちがいっぱいいるからね。

ウド:そうだねー!ぜひみんなで同じアンパンマンの作品を共有して、癒されていただきたいと思います!

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インタビューに先立って行われた公開アフレコの場では、ブルブル役の多部未華子さんも、「アンパンマンに出るといったら小さな子どもがいる友だちが『映画館デビューする!』と喜んでくれました」と言っていたとおり、この作品で映画館デビューとなるお子さんも多くいることだろう。

かく言う筆者も2歳の息子がいる。初めての映画館となると場所見知りだけでなく、暗くなることや大きな音など、親は子どもが泣かないかと心配になるが、天野さんの言うようにアンパンマンたちと一緒に歌ったり、時には大きな声で応援したりして、周りの友だちとも一緒に楽しんでもらいたいと思う。

本作の主人公・ブルブルと一緒に画面の中で冒険を楽しみ、ひとまわり大きくなったわが子を映画館で見られる日を楽しみにしたい。


(c)やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV (c)やなせたかし/アンパンマン製作委員会2017

『それいけ!アンパンマン ブルブルの宝探し大冒険!』公式サイト
http://anpan-movie.com/2017/

福井彩乃
2015年3月生まれの息子の母。新卒でIT系ベンチャーに就職、「意識高い系」として働くも心を病みかけて退職。その後PR代理店、大手不動産系事務派遣などで働く一方、声優として事務所に所属。出産をきっかけにフリーランスとして働き始める。