2018年11月26日の出来事だが、NASAの無人探査機「インサイト」が無事、火星に着陸した。米国時間では水曜の昼間だったため、中継を見られなかった息子は、学校から帰宅してiPadで中継動画を見つけて、着陸の瞬間のミッションコントロールセンターを見て、画面の前でパチパチパチパチと拍手していた。
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「他にないの? もっと見たいよう」

平日はやることが山積みだが、せっかくなのでこの探査機に関連する動画を次々見ていると、「宇宙飛行士は、ミッションの間に何時間寝るの? ぼくは夜に10時間ぐらい寝るけど」と、息子。「それは気になるね。何時間ぐらいだろう。調べてみようか」と言いながら、たまたま NASA LIVE TV を見たところ、「ツイッターでいただいた質問にお答えします」と、一般人からの質問に答えているNASA職員が写っていた。

どうやら #AskNASA というハッシュタグをつけてISSとNASAに質問をツイートすると答えてもらえるかもしれない……らしい。


■さすが、NASA!


シアトルの航空博物館などでもNASA関連の展示はあるが、たまたま図書館で手に取った漫画『宇宙兄弟』にハマり(漢字にフリガナがないので、息子には私が音読するハメになって大変だった)、「ムッタがNASAに行った時にさあ……」「NASAではね……」といった感じで、登場人物の名前や場面を日常会話に盛り込んでくるほどNASAに親近感を抱くようになった息子のためだ。これはもう「8歳児の質問」として、宇宙飛行士の睡眠時間についてツイートしてみる以外にないだろう。

「NASAが質問に答えてくれるんだって。ママがツイートしてきいてあげるよ」

インスタは知っていてもツイッターを知らない息子は、なんだかよくわからないけど、ママがNASAにきいてくれるんだなということはわかったらしい。



“My 8-year old asking how many hours do astronauts sleep to stay healthy during the mission? #AskNASA”
(我が家の8歳児が、宇宙飛行士はミッションで健康を保つために何時間寝るのですかときいています)

asking の前に is が抜けてしまったが、出だしに「我が家の8歳児がきいている」と書いたのは、「NASAなら子どもからの質問に答えるのでは」という私の打算である。

「ほら、ツイートしてみたよ」と見せると、「もう答えてくれた?」と、息子。「すぐには答えてもらえないだろうけど、答えてくれたら教えるね」と言った後、すぐその日の宿題に取り掛かったので、この件についてすっかり忘れてしまっていた。

5日後、朝起きてスマホを見ると、たくさんの通知が来ている。なんと私のアカウントがNASAのツイートに含まれていて、それをたくさんの人がLIKEしている! そしてそのツイートに埋め込まれているのは NASA LIVE TV の動画。私の送った質問に答えてくれたのだ!



“This question is coming in from Takumi asking on behalf of her 8-year old, how many hours do astronauts sleep to stay healthy during a mission.”
(これはタクミからの質問で、彼女の8歳のお子さんに代わって質問してくれています。ミッションの間、宇宙飛行士は健康を保つために何時間寝るのですか)

答えは、「宇宙飛行士の1日のスケジュールには、だいたい通常8時間の睡眠が組まれています。そうすることで、地上のチームが彼らにしてもらう必要のあるさまざまなアクティビティに睡眠時間を奪われないようにします。さらに、地球への帰還に備えて骨密度と筋肉量を保つため1日2時間のワークアウトをします」とのこと。

回答してくれたことはもちろん、職員の方の声がとてもきれいで、私の名前をちゃんと発音してくれているのも感動だ。

さすが、NASA!

さっそく息子に、「このあいだNASAに質問したの、覚えてる? NASAが答えてくれたよ!」と言って画面を見せた。

息子は一瞬ポカンとして、「あー!」と思い出し、「えー! 答えてくれたのー?」と言って、動画を再生して聴き入っている。

「すごいねえ、NASA!」

こんな簡単なことで、子どもにとってNASAがぐんと身近になった瞬間に立ち会えた気がする。ソーシャルメディアは気疲れすることもあるが、こうしてポジティブに子どもの世界を広げられると、そこには感謝しかない。

大野 拓未大野 拓未
アメリカの大学・大学院を卒業し、自転車業界でOEM営業を経験した後、シアトルの良さをもっと日本人に伝えたくて起業。シアトル初の日本語情報サイト『Junglecity.com』を運営し、取材や教育プログラム
のコーディネート、リサーチ、マーケティングなどを行っている。家族は夫と2010年生まれの息子。