とても個人的なことですが、もうすぐ40歳になります。
節目の年にやりたくなるのは、「振り返り」と「これからの構想(ビジョン)」と相場が決まっていて、行き着いたのは「わたしの自己肯定感、ダダ下がり」という事実。
ということで、このすり減った自己肯定感の原因を振り返り、満たす方法を探りたい。

■自己肯定感ってなあに?


自己肯定感とは、読んで字のごとく、自分を肯定する力。「私はいるだけで価値がある」と前向きに肝が据わっている状態だ。人生をサバイブする上で、いま最もみんなが欲しがる最強アイテムといっても過言ではない。

なにせ、自己肯定感があれば!勉強、恋愛、仕事、人間関係が、すべてうまくいくらしい!ほんのりスピリチュアルを香らせつつ、子育て、教育、ビジネスでも大人気。裏返せば、みなさん病み気味で、何かを見失い気味ってことなんでしょう。

「ほんとかな~」と疑い半分、「とりあえずゲットしとけ~」が半分。ここから先はバラ色の人生が待っているかもしれない。


■なぜ私は自己肯定感がすり減ったのか


ズバリ、「負け感」を積み重ねてきたから。
熱しやすく冷めやすい私は、田畑をコツコツ耕し、種をまき、毎日水をやって、成長具合を気にして見返りを求めない「子育て」というもののハードルがもともとすこぶる高い。もうね、首くらいの高さまであるイメージですよ。

それに加えて「ワンオペは無理ゲー」と知りつつ、改善策や仕組みづくりに着手できず、酒と根性とママ友への愚痴をガソリンに、行き当たりばったりの生活をしてきてしまった。

結果、子どもの体力に敗北し、新しい仕事に敗北し、家の整理整頓、家事に敗北し、結局のところ脱・ワンオペに敗北した。

頭を使って改善しようにも、す・べ・てが、めんどくさく、「それをダメだな~」と思っても、ハードルはとっくに頭の上。立ち上がる気力がなく、ストレスが毒となって回ってきた。なんか、去年、一気に老けたし。

で、もうじき40歳になるにあたり、これまでの結婚生活10年が、これからまた10年続くと思うとゾッとしたのだ。子どもに手がかからなくなるとしても、だ。

同時に、自己肯定感が低く、余裕のない母親のカミナリを浴び続けてきた長男の「ゆがみ」がとても気になった。「背が伸びたね」と言おうものなら「伸びてない!」と大音量で怒り、「ご飯できたよ、食べよ~」と言えばふてくされる人。それを決して父親にはやらない人。

ワンオペ育児の被害者か、母親へのゆがんだ甘えか(多分両方)。
おそろしいことに自己肯定感は幼少期に培われ、それが一生続くという。高い人は、高いまま、低い人は低いまま。おいおい、このままだと長男の将来が暗いじゃないか(長女もその気アリ)。

■自己肯定感は積み重ねられるのか


自己肯定感の高め方については諸説あり(ファジーなものですからね)、以下の方法で少しずつ回復に向かうらしい。

▼自分へ積み重ねる
・好きなものを肯定する。
 (日本酒好き、友だち好き、買い物好き!と書いて毎日見て脳に焼き付ける)
・自分を抱きしめていつくしむ。
 (セルフハグというらしい。ぬいぐるみでもいいと思う)
・人に感謝をする。
・呼吸を整え、深呼吸し、今生きている自分に集中する。
 (マインドフルネス)
・思い込みとバイアスをできるだけ消し、事実を素直に確認する。
 (ファクトフルネス)
・成功体験を積み重ねる。
・自分を褒める。
 (アルピニストの野口健さんも登山中に自分を褒めるらしい)

▼他者(子ども)へ積み重ねる
・ありがとう、助かったよと声がけして感謝する。
・好きだよ、大切だよ、と伝えて存在自体に感謝する。
・抱きしめる。
・「○○しているね」と認める。
 (例:宿題しているね、食器を片付けているね)
・何かを達成したら褒める。
・喜怒哀楽に共感する。
 (特に哀しみと怒り)
・目を見て子どもの話を聞く。
・母親が笑ってイキイキ生活する良き例となることで、世界はいいものであることを示唆する。

▼他者(子ども)へやってはいけないこと
・ちょくちょく怒る。
・怒鳴る。
 (このご時世だと虐待)
・文句を言う。
・人と比べる。

どうでしょうか、自分へ、子どもへ、やってますか?
私は「自分を褒める」と「目を見て子どもの話を聞く」以外、やっているつもりでした。
子どもへやってはいけないことも、ほぼやっていましたけど!

■まよわず、余裕を買え


ふわっとしたマインドセットの次は、具体的な施策を考えてみた。
私が子どもへできていない項目「喜怒哀楽に共感する(特に哀しみと怒り)」、「目を見て子どもの話を聞く」が、なぜできないのか。簡単そうなことなのに?

それは子どもと一緒にいる時間(平日約4~5時間)は、ほぼ家事か支度をしていて、時間と心に余裕がないからですね。
(家事を中断して「ふんふん、へえ」と聞くだけじゃ我が子たちは満足できないらしい)

朝夕のごはんづくりと片付け、洗濯物を干す、畳む、ちょとした掃除。
中でも一番面倒な夕食づくりとその片付けだ。だから、前回書いたように食事は家事代行の方へ委託を決定。月2回(合計:約7,000円/約28品)頼むことが、気持ち/体力/金銭のバランスが良いことが分かった。あ~本当に助かる。

だが、それだけでは足りない。
我が家の「遊んでモンスター」は、私が絵本を読むくらいじゃ満たされない。学童と保育園のあとに公園でひと遊びしないと、家で暴れまわって、苦情がすぐそこまで来ているのが見える。どんだけ体力あるんだよ!?

だから、そのへんもできるだけ委託しようと思っている。
週1~2程度、送り迎えをファミサポや民間サービスに、週1は夫に委託し、公園経由で帰宅してもらいたい。(ついでに夕飯も食べてきてほしい)

大げさかもしれないが「喜怒哀楽に共感する(特に哀しみと怒り)」、「子どもの目を見て話を聞く」ならびに「母親が笑ってイキイキ~」と「怒鳴らない」を両立しようとしたら、時間と心の余裕を得るために、これだけ手が要るのだ(灰)。少なくとも私には!(灰)

「自己肯定感」は、お手軽に記事やコラムで扱われ、親の恐怖をあおる体裁でお見掛けするときもある。
……が、母親だけの気の持ちようで、一朝一夕で、タダで、自然に、育つわけがない。農作物と一緒で、人の適切な手入れがないと育たない。

だがサービスを買えば、ある程度対応できるのだから朗報である。これで一生子どもたちのメンタルが本当に安泰ならば、コスパはめっちゃいいはずだ。
「腹を決めて、金をぶっこむ」。これがようやく到達したこの夏の結論だ。

■認めます、褒めます


最後に、私を含め、読者のみなさま一丸となって、認めて、褒めて、幕引きとさせていただきます。

・生きている。
・子どもを生んだ、または養子にした。とりあえず親子だ。
・いろいろあっても、子どもから慕われている。
・子育てのヒントを何かしら得ようとしている。
・子どもにお友だちがいる。
・最低限の清潔を保ち、子どもに食事を提供している。
・ママ友といい関係を培ってきた。
・子どもが保育園、幼稚園、小学校などに通っている。
・子どもと一緒に子育てイベントや子育てセンターに行っている。
・かかりつけ医、ファミサポなど地域のサポーターといい関係を築いている。
・子どものことが好きだ。
・ほぼワンオペでようやってる。ワンオペじゃなくても、ようやってる。
・全国のお母さん、お父さん、ようやってますぞ! おつかれさーーーん!!

……なんだかちょっと気持ち悪い。灰にならないが、ハイになっている。
だが、ある到達点を迎えてパッカーン!と開けそうな予感もある。40代、ひらけゴマ。
これからのビジョンは、親子の自己肯定感を上げて、私は陽性のエネルギーで仕事の幅を広げることです。押忍。

斎藤貴美子
コピーライター。得意分野は美容・ファッション。日本酒にハマり、Instagramの#SAKEISAWESOMEkimikoで日本酒の新しい切り口とコピーを思案中(日本語&つたない英語)。これからの家族旅行は酒蔵見学。二児の母。