「これぞ次世代の名作!」と思えるような素晴らしい絵本を紹介すべく、100人以上の絵本作家を取材した経験を持つ筆者が、独断と偏見からいちおし絵本作家にフォーカスする、「今どき絵本作家レコメンズ」。

第3回のレコメンド作家は、新井洋行さん。年間10冊以上というかなりのハイペースで作品を生み出している人気絵本作家だ。


『れいぞうこ』
作:新井洋行(偕成社)


書店の絵本コーナーをときどき訪れる人なら、こちらを向いてにっこり笑う『れいぞうこ』を見かけたことがあるだろう。赤ちゃん向けのコーナーで平積みされていることが多い、新井洋行さんの代表作「あけて・あけてえほん」シリーズの一冊だ。ほかにも『おしいれ』『おふろ』『ひきだし』など、シリーズは全部で7作品、出版されている。

『れいぞうこ』は、表紙がそのまま冷蔵庫の扉になっていて、開けると中には、牛乳や卵、野菜など、おいしそうなものがいろいろ並んでいる。「ぎゅうにゅうさーん」と呼びかけると「はーい」と元気にお返事。とっとっとっ、とコップに注がれる。呼びかけと返事、擬音語が繰り返されて、最後はにっこり笑顔で「いただきまーす」。

この絵本を初めて書店で見かけたとき、「おもちゃみたい」という印象を抱いたのだが、新井洋行さんの絵本の特徴はまさにそこ。おもちゃ感覚で楽しめる赤ちゃんのための絵本を、新井さんは数多く生み出している。今回はその中から、特におすすめの3作品を紹介する。

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