「これぞ次世代の名作!」と思えるような素晴らしい絵本を紹介すべく、100人以上の絵本作家を取材した経験を持つ筆者が、独断と偏見からいちおし絵本作家にフォーカスする、「今どき絵本作家レコメンズ」。

第4回のレコメンド作家は、tupera tupera(ツペラ ツペラ)さん。カラフルな色使いと遊び心あふれるアートな作品の数々で人気を集める、亀山達矢さんと中川敦子さんによるご夫婦ユニットだ。


『かおノート』
作:tupera tupera(コクヨS&T)

人気作『かおノート』は無印良品でも販売されているので、書店の絵本コーナーにあまり足を運ばない人でも見かけたことがあるかもしれない。この『かおノート』、お話があって絵があって……という、いわゆる「絵本」とは違う。顔に見立てたイラストや写真に、目や鼻、口、ひげなどのシールを貼って遊ぶワークブックで、手に取った人が好きなように、それぞれの「かお」をつくることができるのだ。


シールの種類も多様だが、同じシールを使ったところで、貼る位置や角度が少しでも違えば、できあがる顔は千差万別。1~2歳の子がつくる顔はパーツの位置がはちゃめちゃだったりして、おもしろいものに仕上がることが多い。色鉛筆やペンを使って描き加えれば、さらに独創性がアップ。この一冊があるだけで、赤ちゃんからおじいちゃんおばあちゃんまで、誰だってどこでだって、気軽にクリエイティブな体験ができる。

tupera tuperaさんの絵本はほかにもさまざまなものがあるが、どれにも共通しているのは、「楽しさ」と「新しさ」。自由な発想で生み出される作品の数々を見ていると、つくり手本人がとことん楽しんでつくっていることが伝わってくる。だからこそ見ているこちらもワクワクするし、その斬新さや意外性にドキッとしたりクスッと笑わされたりするのだ。

今回は、そんなtupera tuperaさんの作品の中から、個人的におすすめしたい3作品を紹介する。

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